なんか、自分はずっと成長してなきゃいけないっていうか、
人間として大人になっていくっていうのと、知識や経験を増していくっていう二つの意味でね、
そういう意識はずーっと持ってやってきました。
だから、下手に弱いところを見せられない妙なプライドみたいなものができちゃったり、
失敗や挫折などを人に見せない、そんな自分が出来ていったんだと思う。
最初は「意識」する程度だったのが、いつのまにか強迫観念と呼んでもいい状態になってた。
これは、大変なことですよ。
常に成長し続けるっていうことが、どんなに大それたことか。
会社だってそうでしょう。創業からずっと利益をアップさせ続けることが、どんなに大変なことか。
創業からそれほどたっていないベンチャーなんかだったら当たり前のようなことかもしれないが、
長い目で見たら、かなり難しいこと。
人間の身体的成長もそうでしょう。
いつしか成長は止まり、老いていく。
ずっと上り坂なんてないんですよね。
それでも自分は、傍から見ればどうだかわからないけどまあ、自分が納得できる形では成長を自分に強いてきたつもりだ。
毎日の成果とはいえないけど、少なくとも毎週という単位では、毎週自己を反省し、良かった点、悪かった点を思い返し、結果、もちろんマイナスになったものもあるが、絶対にプラスになったものもある。そして、月単位、年単位で見るとプラスのほうが多いように計画し、実践してきた。
たとえばこの業界に入って間もない頃の自分は、だいぶ同年代と比べて遅れをとっていた。
それを埋めるということが唯一最大の目標だったわけだ。
どこがどうなったら埋まったという判断ができるかなんてよく考えてもいなかったので、
コンプレックスと焦りと、覚えることや好きなことをできる嬉しさと、ものづくりの楽しさで、成り立ってた。
仕事面ではそうやって、逆境が味方をしてくれたように思う。
では精神面はどうかというと。
これがなんともいえない。
多くのことを20代や、もっと前から棚上げしてきた。
いろんなことに集中することで、棚上げしてもやってくることができた。
でも成長しないというのはありえない話なので、悪あがきのように色んなことをした。
読書もそのひとつだ。小説、ノンフィクション、参考書、学習テキスト、実用書、なんでも含めれば、年間平均100冊を10年キープした。
平均すると3~4日に1冊ということになる。
しかし本というものは、いくら読んだところで、経験がある程度伴わないと頭でっかちになるだけ。
読んでみて、「ほー、なるほど!」と思った本は、いい本かというと、まあ悪くない本だ。
読んでみて、「うわっ、これだ、これだ!」と、心に刺さる、心拍数が上がるような感動のある本に出会うと、本当に嬉しい。
自分の表現力では表現できなかったことをスマートに説明してくれている本。
これ、本当に素晴らしい瞬間なんです。
でもね。
この10年で僕は何が変わったか。
何も変わってないな、と思う。
それでも、前に突き進む。それだけの力は、まだ僕のどこかにたくさんあるんだと思う。
生きてきて、いままで、何度も「成長が止まる瞬間」があった。
焦るだけ焦って、前に進めない状態。
そのときは、いつもうつ状態だった。
うつ病なのかこれは本当に?わかんないけど、とにかく、うつ状態のとき僕は止まる。
止まることで、焦る。
まてまて。
いつも突っ走ってるじゃないか。
まさにウサギとカメだ。
突っ走っても、止まっちゃったら、カメに抜かれるわけで。
僕はいつも、こつこつと地道にマイペースで追い上げてくるカメに追われている気分が抜けなくて、
いつだって焦っていた。今でもそうだ。
ここらへんで、ギアをひとつおとして、まわりの景色をきちんと確認できる速度まで落とさなければならない。
全速力→完全停止 を繰り返していたら、ダメだ。
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