お帰りなさい

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昨晩、7年ぶりに地球に帰ってきた探査機、はやぶさ(MUSES-C)。

胸にこみ上げるものが。感動をありがとう。

というのもこの探査機、もう帰ってこられないんじゃないかというくらいのトラブルが2度3度どころじゃなく、数々の問題を乗り越えて、60億キロメートルの旅を終えて地球に帰ってきたのだ。

60億キロという想像もつかないほど長い距離(地球から太陽まで2往復できる距離)から見ると、地球の大きさも、探査機の目的地だった小惑星「イトカワ」も、空気中に舞うチリのような大きさだ。
広大な宇宙を実際に思い浮かべてみると、それだけでも感動。

はやぶさが帰還した凄さは、この動画を見ればだいたいわかる。


関係者の思い → http://hayabusa.jaxa.jp/index.html

この「はやぶさ」が辿ってきた軌跡↓
以下、Wikipedia引用。

2003年

5月9日

13時29分25秒にM-Vロケットで「はやぶさ」打ち上げ。

9月

搭載するイオンエンジンのうち1基 (A) は出力が不安定なため運転を見合わせたが、残り3基は計画通りの動作をしており、推進時間は1,000時間を越えた。この時点で地球から52,000km 後方を飛行中であった。

10月末 - 11月

観測史上最大規模の太陽フレアに遭遇。搭載メモリのシングルイベントアップセットや太陽光電池の出力低下が発生したものの、幸いミッション遂行への影響は軽微で済んだ。

2004年

5月19日

イオンエンジンを併用した地球スイングバイに世界で初めて成功。

12月9日

イオンエンジンの積算稼働時間が2万時間を突破。

2005年

2月18日

遠日点(1.7天文単位)を通過。イオンエンジンを搭載した宇宙機としては、世界で最も太陽から遠方に到達した。

7 月29日・30日、8 月8日・9日、8月12日

搭載された星姿勢計(スタートラッカー)により小惑星「イトカワ」を捉え、合計24枚の写真撮影に成功した。そしてこれらの画像をもとに、地上からの電波による観測と組み合わせて精密な軌道決定が行われた。

7月31日

リアクションホイール(姿勢制御装置)3基のうち1基が故障したため、2基による姿勢維持機能に切り替えて飛行した。なお、当初より2基の運用も想定されていたため、支障なく運用。

8月28日

イオンエンジンを切り、イトカワ接近に備えた。

9月4日

点状ながら初めてイトカワの形状を撮影。イトカワの自転周期が予想通り約12時間であることを確認。さらに、レーザー高度計の送信試験に成功。9月10日の撮影では、イトカワの細長い形状をはっきり捉えた。

9月12日

イトカワと地球を結ぶ直線上で、イトカワから20kmの位置(ゲートポジション)に静止した。公式にはこれにより、イトカワとのランデブー成功とされた。

9月30日

イトカワから約7kmの位置(ホームポジション)まで接近し、近距離からの観測モードに移行した。

10月2日

23:08 (JST) リアクションホイールがさらにもう1基故障した。残ったリアクションホイールはZ軸の1基であり、これだけでは姿勢制御が不可能なため、化学エンジンを併用して姿勢制御を行い、観測が続行された。

10月28日

リアクションホイールの故障への対応に伴い、帰還に充分な燃料確保が急務の課題となり、検討の結果、エンジン噴射を精度よく制御する方法の目処が立った。これを受けて、サンプル採取の予定が決定した。

11月4日

リハーサル降下中に異常が発生し、降下を中止。

11月9日

再リハーサル降下で高度70メートルまで接近。ターゲットマーカー(ミッション関係者の名前入り)を正常に分離。

11月12日

再度リハーサル降下を行い、高度55メートルまで接近。探査機ミネルヴァを投下。ミネルヴァは搭載機器は順調に機能したものの、重力補償のためのスラスタ噴射の最中、上昇速度を持った時点で分離してしまったため、イトカワへの着陸には失敗した。

11月20日

高度約40メートルで88万人の名前を載せたターゲットマーカーを分離。マーカーはイトカワに着地した。はやぶさは降下途中に何らかの障害物を検出し、自律的にタッチダウン中止を決定し上昇したものの、再び秒速10cmで降下を始めた。はやぶさは2回のバウンド(接地)を経て、約30分間イトカワ表面に着陸した。このときは受信局の切り替えでビーコンが受信できない時間帯であったため、地上局側は着陸の事実を把握できておらず、通信途絶が長すぎることを不審に思った管制室の緊急指令で上昇、離陸した。地球と月以外の天体において着陸したものが再び離陸を成し遂げたのは世界初である。タッチダウン中止モードが解除されないまま降下したため弾丸は発射されなかったが、着陸の衝撃でイトカワの埃が舞い上がり、回収された可能性がある。これがイトカワのものならば、小惑星からの試料採取に世界で初めて成功したことになる。

11月26日

2回目のタッチダウンに挑戦。降下中に前回投下した署名入りターゲットマーカーをイトカワ表面上に確認。新たにマーカーを投下すると2つの目印を見て混乱すると判断し、急遽マーカーの投下を止め、前回のものを用いた。日本時間午前7時7分、イトカワに予定通り1秒間着陸し、即座にイトカワから離脱した。地球の管制室には「WCT」の表示。これは弾丸発射を含めた着陸シーケンスが全て正常に動作したことを示している。離脱の際にスラスターB系から燃料のヒドラジンが探査機内部に漏洩したが、弁を閉鎖し漏洩は止まった。

11月27日

はやぶさへの姿勢制御命令が何らかの原因で不調に終わる。漏洩した燃料の気化による温度低下でバッテリーが放電し、システム広範囲の電源系統がリセットされたと推定されている。姿勢を制御するスラスターは2系統 (A/B) とも推力が低下し、はやぶさの姿勢は大きく乱れる。

11月28日

通信が途絶するが、翌日、ビーコン通信が回復。

12月2日

化学エンジンの再起動を試みる。小さな推力は確認できたが、本格的な始動に至らず。

12月3日

探査機の姿勢が乱れていることを確認。緊急の姿勢制御法として、イオンエンジンの推進剤であるキセノンガスの直接噴射を採用、ただちに運用ソフトウェアの作成を開始。

12月4日

上記のソフトウェアが完成し、キセノンガスの直接噴射による姿勢制御を試み、成功。

12月7日

はやぶさから得られた情報を解析した結果、11月26日の着陸シーケンスになぜか弾丸発射中止のコマンドが紛れ込み、サンプリング用の弾丸は発射されていなかった可能性が高いことがわかった。ただし、はやぶさの電源系統がリセットされていることや、着陸時にサンプラーホーンの温度が上昇していることなどから、弾丸が発射された可能性も残されている。なお、1回目の30分間にわたる着陸により試料が採取されている可能性は残されている。

12月8日

再度の燃料漏れが発生。機体はみそすり運動を始めた。キセノンガスを使っても姿勢を制御することは出来ず、9日以降通信が途絶した。

12月14日

地球への帰還を2010年6月に延期することが発表された。はやぶさは受動的に安定するように設計されているので、2006年12 月までに電力と通信が復旧できる可能性は60%、2007年春ならば70%と計算された。2007年春までにイオンエンジンを再起動できれば、地球帰還の可能性は高いとされた。

2006年

1月23日

はやぶさからのビーコン信号が受信される。

1月26日

状況が少しずつ明らかになる。12月8日の姿勢喪失後、太陽電池発生電力が極端に低下し、一旦電源が完全に落ちた模様。搭載のリチウムイオンバッテリは放電し切った状態。かつ、バッテリの11セル中4セルは使用不能。また、化学エンジンは、すでに12月上旬には燃料をほぼ全量喪失した状態にあったが、この間さらに、酸化剤も新たに漏洩し、残量が全くない状態。イオンエンジン運転用のキセノンガスは、12月に通信が不通に陥った時点の状態の圧力を保っており、残量は約42 - 44kgと推定。

2月25日

ローゲインアンテナで8bpsでテレメトリーデータの受信が可能となる。

3月4日

ミドルゲインアンテナを使用し、32bpsでテレメトリーデータの受信が可能になる。

3月6日

3ヶ月ぶりに軌道の推定に成功し、探査機の位置や速度が特定される。位置は地球から3億3000万km、イトカワから1万3000km。

3 - 4月

機体内部に漏洩した燃料を気化させて追い出すためのベーキング(排出)作業を行う。

5月31日

イオンエンジンBとDの起動試験に成功。

7月

姿勢制御に使用していたキセノンガスの消費量を抑えるため、太陽光圧を利用(ソーラーセイルと同じ原理)したスピン安定状態での運用に切り替える。

7 - 9月

採取試料容器を地球帰還カプセルに格納する作業にはリチウムイオンバッテリの電力が必要であるため、バッテリの使用可能なセルに対し、慎重に充電を行う。9月に充電を完了し、以降は充電状態を維持。

2007年

1月17日

採取試料容器を地球帰還カプセルに格納する作業を開始。翌18日未明に格納作業の完了を確認。

4月20日

スラスタBとDによる2基の同時運転を想定してイオンエンジンをテストしていたところ、スラスタBの中和器が電圧上昇を起こして停止したため、スラスタDの単独運転に変更。

4月25日

地球帰還の為、本格巡航運転を開始。巡航運転に先立ち、姿勢制御プログラムの書き換えを行った。巡航運転時のはやぶさは、ヨー軸・ピッチ軸については、唯一生き残ったZ軸のリアクションホイールと、本来、イオンエンジンの推力軸調整用であるジンバル機構を併用して姿勢制御を行い、ロール軸については太陽光圧を利用して姿勢制御を行う。

7月28日

スラスタCのイオンエンジンが点火に成功。スラスタDを温存のため停止してCの単独運転に切り換える。

10月18日

復路の第1期軌道変換が完了。イオンエンジンおよびリアクションホイール (RW) を停止し、太陽指向スピン安定モードに入った。ここまでのイオンエンジン稼働時間は、往路・復路あわせて延べ31,000時間、軌道変換量は1,700 m/s に達する。復路の軌道変換量は残り400 m/s である。

2008年

2 月28日

3回目の遠日点通過(1.63天文単位)。

2009年

2月4日

リアクションホイールを駆動させ、三軸姿勢制御を確立しイオンエンジン(スラスタD)を再点火させて動力飛行(復路第2期軌道変換)を開始。

8月13日

08:30 (JST) イオンエンジンを停止し、セーフホールドモードへ移行しているのが発見される。原因は宇宙放射線による姿勢監視装置のシングル・エラー・アップセット (SEU) と推定された。軌道計画に変更はあるものの、予定通りの地球帰還に問題はない。遠日点付近であるため、電力事情が改善されるまでは太陽指向スピン安定制御による慣性飛行で運用される。

9月10日

遠日点を通過。

9月26日

イオンエンジンの再点火に成功。動力飛行を再開。

11月4日

イオンエンジン1基(スラスタD)、中和器の劣化により自動停止。

11月11日

スラスタA(打ち上げ直後から使用停止)の中和器と、スラスタB(2007年4月から使用停止)のイオン源の複合モードで帰還運用を再開。スラスタCは万一に備えたバックアップと位置付けられ、以降は基本的にA-Bが使われるようになる。夏以降の軌道計画見直しにより必要なデルタVは合計 2,200m/sと若干増加していたが、この時点で残り200m/sあまり。

12月27日

イオンエンジンを停止し、VLBI観測によって精密な軌道を同定(2010年1月1日まで)。

2010年

1月13日

地球の引力圏内を通過することが確実になる。

2月26日

月よりも内側を通る軌道(約31万km)に入る。

3月5日

対地高度約16万kmを通過する軌道に入る。イオンエンジンを一旦停止し、軌道の精密測定を実施。

3月20日

対地高度約4.6万kmを通過する軌道に入る。この時点では、まだ地球公転軌道の内側を通過する軌道にいる。

地球突入速度を抑えるため、地球の自転方向と同じ向きに進入するように、地球公転軌道の外側を通るような軌道まで変換作業を継続。軌道変換中に一時的にも地球に衝突する軌道とならないように、通過軌道が地球の南極上空となるような経路が選択された。

3月27日

復路第2期軌道変換終了。地心距離約2万km(高度約1.4万km)を通過する軌道に入った。

4月4日

地球外縁部への精密誘導を実施(TCM-0、4月6日まで)。

5月1日

精密誘導に伴う加速の補正のため、減速処理を実施して到着時間を調整(TCM-1、5月4日まで)。

5月12日

星姿勢計(スタートラッカー)が地球と月を捉える。

5月23日

地球外縁部(高度約630 km)への精密誘導のため、接線加速と太陽方向への加速を実施(TCM-2、5月27日まで)。

6月2日

オーストラリア政府が同国内ウーメラ立入制限区域(Woomera Prohibited Area、WPA)へのカプセル落下を許可。

6月3日

地球外縁部からウーメラ立入制限区域への誘導目標変更のため、軌道補正を実施(TCM-3、6月5日まで)。

6月9日

落下予測範囲を狭めるため、さらに詳細な誘導を実施(TCM-4、12:30-15:00JST)。

6月13日

カプセルの切り離し成功(19:54JST)。
地球を撮影(22:02JST)。
地球の陰に入り通信途絶(22:28JST)。
大気圏再突入(22:51JST)。

6月14日

ヘリコプターから目視でカプセル発見(0:05JST)。

コメント

  1. らーちゃん より:

    最後に燃えちゃうのは可哀想だ・・・
    でもやっぱり感動するねー

    • うずら より:

      > らーちゃん
      見事に燃えちゃったねぇ。
      こういったことにもっとお金が使える世の中になったらいいのにな。

  2. そらまめ より:

    うふふ、ちょうど同じ記事ですね

    運用室のみんなは、毎日はやぶさを運用していたけど
    「明日からもうないんだ」って思った時 初めて任務完了した事を実感したそうです。

    今年はあかつき、イカロスが飛び立ったと思ったら
    はやぶさが帰って来たりと、イベント盛りだくさんで忙しかったですが充実していました。

    事業仕訳とかもうさんざんですけどね。
    でもたからくじの役人と、宇宙開発なんかを一緒にしないで欲しい!w

    • うずら より:

      > そらまめさん
      本当に任務お疲れ様です。宇宙かぁ。生きているうちに宇宙旅行ができるようになるといいなぁ。

  3. Chabo より:

    打ち上げのときはテレビのニュースにもなったけど、その後は何も報道を目にしなかったから、半年くらい前にミクの動画を観るまですっかり忘れてたよはやぶさ。

    もうおかえりはやぶさの動画がいくつかアップされてるね。

    • うずら より:

      > ちゃぼ
      ミクの動画なんてあるのか!
      はやぶさ帰還は3年遅れだったからね、普通忘れてるよね。
      しかし無事帰還してよかった。とくにこのご時世、こういったニュースは心強いよなあ。