第31回山日YBS富士吉田火祭りロードレース

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マイミクのらーちゃんにこのレースを教えてもらい、自らの意志でハーフの枠にエントリーした昨年の火祭りロードレースから早一年。残暑厳しい中、平坦路が殆どない坂道だらけのコースを走り抜ける超絶M仕様な大会の季節が、今年もやってきた。

RUNNET等を通じて大会に登録する際には、常に躊躇がある。でもこのレースへの登録には、昨年もそうだったが躊躇わない。なぜだろう。苦しいんだけど、このレースがどうやら好きなようだ。俺は本当はMなのかもしれない。他人に対してはMになれないのだが。きっと大自然という驚異的な存在に対しては、誰もが受け身にならざるを得ないのではないだろうか。大自然の創りだした雄大な地形に逆らわず、ただ自分と向き合い、乗り越えていく。それはとても困難、ましてや普段から練習をサボリ気味な自分のような人間にとっては、本来参加すべきレースではないのかもしれないのだけど、自分の力量不足と練習不足とそれをもたらした心の弱さをしっかりと感じ取ることができる貴重なレースだ。そんな自分でも、ゴールできればきちんと感動を手にすることができるわけだし。

昨年は1番駐車場(会場のすぐ横)が割り当てられたこともあり妻と二人で車で行ってきたけど、今年は遠い5番駐車場(抽選になったらしい)。またラン仲間のOさんが初参加ということで、電車で行って現地集合することにした。

まだ暗い朝4時に起床すると、外は雨。少し肌寒い。

乗る予定だった電車にギリギリで、荷物を背負ったまま駅まで全力疾走!
早くもアップを終えてしまったw

御茶ノ水で総武線から中央線に乗り換え、6時半前には八王子。そこから中央本線の松本行きで大月まで。

景色もいいし、たまには電車もいいよね。中央線は八王子を過ぎると山の景色に一変する。ここまで座って来ることができたけど、車内は明らかに同じレースに出るのであろうランニングシューズの連中と、登山の格好をした人でかなり混雑。

大月で降りたら今度は富士急行で富士山駅(旧富士吉田駅)へと向かう。
列車はすし詰め状態。大勢のランナーの他に、おそらく富士急ハイランドに行くのであろう中学生の集団もいて、ラッシュアワーの山手線状態。

富士山駅からは送迎バス。バスは十分な本数があるので、心配無用。
北麓公園へ向かう道。ここはハーフのコースだ。
昨年の記憶が蘇る。汗、汗、汗。とにかく汗。どのシーンでも、汗だらけ。そして体を射抜かんばかりの激烈な太陽光線。熱いアスファルトにくっきりと縁どられた影。そしてどこまでも無限に続くように思える坂。下りが終われば上り。上りが終われば下り。

昨年との最大の違いは、天気だ。
スタート50分前の9時の時点で、昨年は30度を超えていた。会場内では、こまめな水の補給をすることと決して無理をしないで勇気をもってリタイアするように放送を繰り返していたけれど、今年はそんなこともない。9時の時点で、気温は20度にも達していない。ランナーにとっては走りやすいからいいんだろうけど、それでガッカリしたランナーも少なくないはずだ。だってここは、火祭りロードレースなんだから。みんな猛暑の中、へばりそうになりながら走ることを楽しみにしてきている筈だからw

9:50、スタートの花火が鳴り響く。今年はNETでタイムを計測しよう。
トラックを回って公園から公道に出ると、1キロ。
ここから早くも上り坂が始まる。

林道に入るところが狭いから渋滞するのは昨年走って知ってたけど、渋滞を避けるためには2つしか方法がない。――渋滞しないくらい先頭に近い位置をキープしているか、渋滞しないくらい後ろにいるか、だ。
しかし林道入口はだいたい2キロ地点なのでそこまで頑張りすぎると後がもたない。というわけで渋滞にまかせて行くことにした。

ここまで昨年と大きく変わらない。(昨年の記録を読むと、ここで息が上がってるから、気温が低いことを考慮しても今年のほうがちょっとマシ?)

林道は昨年より走りやすくなっている印象。心もちか道幅も広くなっているような?それでも狭いところでは横に並べるのは3人程度。

この林道を標高1200m付近まで登り続ける。距離にしてスタート地点から4キロほどだろうか。

折り返すと、今度は下り。やがて道はアスファルトになり、いくらでもスピードを出せる。
なんでもっと速く走らないのかな?と思うほど、気持ちよくごぼう抜きした。
やはりまだ普通のランナーより体重があるせいか、上りは非常に辛く、下りのほうが今まで鍛えてきた筋力や心肺能力が発揮できるんだろうな。
500mlのボトルですら邪魔になるから持って走らないのに、それの何倍もの無駄な肉を体にまとって走っているわけだ。

そのまま下り、そして東富士五湖道路沿いの分岐の往復も、そのまま気持ちよく走り抜けた。(去年はこのへんで心肺の限界と太陽光線に負けて歩いた)

そしてまた富士山駅方面へ下る。下りきったところでだいたい標高850メートル。これでだいたい東京タワーのてっぺんから一番下まで下りたことになる。

昨年もこのへんが限界だった。
今年もきつかった。ここから先、走れる気がしない。やはり体重の影響だろうか、足の裏のアーチが痛い。右のアキレス腱の脇が痛い。心肺は余裕。ファームウェアの更新をしてから意味不明な心拍数(240とか)をレポートしてくるようになってしまったGARMINのHRMだが、現在は160〜170あたりを示している。心肺的にはいける。
筋力が厳しい。今まで筋力にボトルネックを感じたことは無かったが、今年は飛ばしすぎたのと上り坂で頑張りすぎたせいか、腿と裏腿がやばい。

18km地点付近で、とうとう本格的に歩き始めてしまった。
(ちょうど2回目の東富士五湖道路の分岐の手前あたり)

一度歩くと、気合が抜けてしまうもんだ。
離脱者。敗北者。
今年のレースは、ここで負けた。自分に負けた。練習不足とか、根性不足とか、いろんな意味で。

気合が抜けるというのは気持ちの問題というよりは、体がそう認識してしまう問題。いったんそうなると火事場の馬鹿力で駆動していた下半身の筋肉組織は弛緩し、急速に力を失う。心臓は戦闘モードから通常モードに切り替わり、必要最低限の血液循環しかしなくなる。走行中に受けた体のダメージが痛み出す。

本来は、ゴールするまでこうなってはいけない。ゴールしたあと倒れたっていい。しかし人間というものは本来、生命の危険にあったときにそういうパワーを発揮するわけで、平常時に生命を危険に冒してまで戦闘モードを維持するようにできていない。そのシステムを騙すのことができるのは、トレーニングを積んだアスリートだけだ。したがって、うまく自分の体を騙してゴールまで走り切ることができなかったのは、練習不足ということだ。

完全なる負け戦。
昨年は、残り3kmの時点で感動がこみ上げた。完走できる感動だ。
今年は、残り3kmで敗北した。自分に負けたのだ。

最後の3kmは、昨年と同じように歩いたり走ったりをちょこちょこ繰り返しながら、かろうじて前に進んでいるような状態だった。

トラックに戻って、自分の前300mくらいを歩いているランナーを抜いてやるぞと思って最後の力を振り絞って走ったけど、20mくらいまで差を詰めたところで惜しくも抜けずにゴール。

いままで大会にいくつも参加して、完走した感動がまったく無かったのは今回が初めてだ。

そろそろ目標を「ただゴールするだけ」ではなく「全区間走ってゴール」に変えるときがきた。

これから秋になり、本格的にランナーのシーズンが到来する。
また大会で感動できるようになりたい。

コメント

  1. らーちゃん より:

    火祭りハーフお疲れさまでした。
    コースがコースなだけにペースメイクが難しいねー。
    最初の長い下りは飛ばすと脚がやばいよね。
    一度歩くと気が抜ける。。。よくわかります。その気持ち。
    なので、私はフルで膝がいってしまった場合、止まってマッサージして走る。
    決して歩かないようにしているよ。気持ちはキープできるよ。
    脚や気持ちをゆっくり休めてくださいね。

    • うずら より:

      らーちゃん
      返信遅れました、うずらです。
      ほんとにペースメイク難しいね。でも、自分と向き合える素晴らしい大会です。
      (ほかにもたくさん、いい大会はあるんだろうけどね)
      なるほど、歩かずに止まる。これはいい事を聞いたぞ。
      次回は「歩かないで完走」できそうですw