オーディオテクニカ ATH-CKS77

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久々のヘッドフォンレビューになります。

外出用として大活躍していたApple In-ear Headphonesが断線し、相方が持ってた同機を借りて使ってたのだけど、それをどこかで無くしてしまったという大失態。

まともなインイヤー型のヘッドフォンが無くなってしまったので、貯まってたヤマダ電機のポイントで新調することにしました。

そういうわけで今回は選択の制約が多かったです。
ヤマダ電機にはほとんど国産しか置いていませんし、用意されているモデルも売れ筋の安いモデルばかり。たまに高級機が置いてあるんだけど、たいていちょっと勘違いしたものが置いてあります。

そんな中でキラリと光っていたのは以下の3モデル。すべてカナル型、密閉式、ノイズキャンセル機能無しです。

まずは比較から

  • JVC HA-FX3X
    ドライバー形式:Φ10mm ダイナミック型ネオジウム
    再生周波数帯域:5Hz〜25,000Hz
    最大許容入力:200mW(IEC)
    出力音圧レベル:104dB/mW
    インピーダンス:16Ω
    コード長:Y型1.2メートル
    質量:約6.2g
  • SONY MDR-EX510SL
    ドライバー形式: Φ13.5mm ダイナミック型CCAW
    再生周波数帯域:5Hz〜27,000Hz
    最大許容入力: 200mW(IEC)
    出力音圧レベル:106dB/mW
    インピーダンス:16Ω
    コード:ネックチェーン型0.6メートル
    質量:約7g
  • audio-technica ATH-CKS77
    ドライバー形式:Φ12.5mm ダイナミック型CCAW
    再生周波数帯域:5Hz〜25,000Hz
    最大許容入力:100mW
    出力音圧レベル:106dB/mW
    インピーダンス:14Ω
    コード:Y型1.2メートル
    質量:約7g

ここ数年、インイヤーヘッドフォンといえばバランスドアーマチュア型(BA型)に傾倒してきたわけですが、ここにきてダイナミック型の良さを実感したいという気持ちから上記の3モデルを選択しました。また、BA型で1万円を切る価格帯には、あのApple In-Ear以外にろくなものが無いというのが実情でもあります。

再生周波数帯域とか載せていますけど、帯域が広ければ音が良いのかというとそれは違います。100円ショップで売ってるイヤフォンでも似た様なスペックです。それに、人間の可聴域はおよそ20Hz〜20kHz(20,000Hz)程度です。片耳が難聴でやられている自分の場合、もっと低いでしょう。
ちなみにうちのワンコは、15Hz〜50,000Hzくらいまで聞き分けます。犬ってすごいね。

音圧レベル(感度)やインピーダンスについても一応載せましたが、これは出力できる音量に影響します。しかしながら、こんな数字で比較できるのはほんの微々たるもの。

ヘッドフォンは、スペックでは比較できません。(じゃあ載せるな)

実際に聴いてみるのが一番なんですが、それもできない場合、一番役に立つのは:

「カン」と「買ったモデルへの愛情」

です。(笑)

それではひとつひとつのモデルについて調査。

ビクター(JVC)HA-FX3X

米国からの逆輸入モデル。非常にシンプルでかつ剛性感のあるデザインは結構ツボにはまりました。アメリカで受けそうなデザインですね。ケーブルが赤いのはモンスターケーブルが流行らせた気がします。

見た目はともかく音質についてはどうでしょうか。あいにくヤマダ電機のような一般家電量販店では秋葉にでも行かない限りだいたい試聴はできないのでネットで調べてみると、価格.comのランキングでも2位に入っています。レビューを見ると、この価格でコスパ最強といった主張が多いようです。低音強めのいわゆるドンシャリ系ですね。外でロックやクラブミュージックを聴くには悪くないかも。

ドライバーの口径が今回の3機種の中でいちばん小さいのが気になりました。ドライバーが小さいのにボディも小振りなので、低音はチャンバーで響かせているのではなく、ドライバユニット自体が低音寄りにチューニングされているのではないかと想定しました。

見た目は一番好き。

SONY MDR-EX510SL

SONY製品については、本当はXBA-3SLのほうがずっと気になっていたんだけど、あいにく近所のヤマダ電機には置いていませんでした。ちなみにこれの前モデルの500シリーズは、かなり評判が悪い。もちろん改良は施されているんだろうし、なんといっても今回の3候補の中ではこいつが一番値段が高いしドライバーユニットも大きい。SONYのインイヤー型ヘッドフォンといえば、PSPに付属してたしょぼいやつ(PSP-140)しか持っていないから、ちょっと食指が動きましたが、欲しいモデルが無かったし、無理にこのモデルにする必要もないかなと。ネットでのレビューもあまり印象の良いものがありませんでした。実際に持っていて、そんなことないよ素晴らしいよ!と思っている方がいらっしゃったら是非教えてほしいです。

見た目は一番微妙。

オーディオテクニカ ATH-CKS77

そろそろヘッドフォンマニアと自称できるかなと思えるくらいヘッドフォンだらけの我が家にあるラインナップのうち、国産のヘッドフォンで一番数が多いのがオーディオテクニカ製品です。マーケティングは下手だけど、作るものは値段以上の価値があるものが多いという印象を持っています。そして何故か相方はオーディオテクニカのファン。

とはいえ、今まで同社のインイヤー型を買ったことがないので、インイヤー型としてはこれが初めての検討になります。

インイヤー型でこのように低音チャンバーがついているモデルは今まで所有したことがなかったため、ちょっと気になります。

選択

JVCのHA-FX3Xにほぼ決定したのですが、横で相方が選んだのがやっぱりオーディオテクニカ。「同じやつのほうがイヤーピース交換できて良いよ」という一言に負けて、一緒にATH-CKS77を選択してしましました。比較もへったくれもない落ちですいません。

余談ですがうちの相方は耳穴のサイズが非常に小さく、SSとかXSといった大きさのイヤーピースしか耳に入りません。というわけで一緒に購入して、付属していた大きいイヤーピースと小さいイヤーピースを交換。

付属していたイヤーピースは、最初から装着されていた通常サイズ(たぶんMサイズ)、大きなLサイズ、小さいSサイズ、さらに小さいSSサイズと、4種類でした。
また、ヘッドフォンやイヤーピースをしまっておけるポーチも付属しているところが、国産らしい心配りですね。

再生10時間後のレビュー

Amazonで買えば5,000円を下回るという価格帯にあるこのヘッドフォンですが、なかなか好印象です。

音の味付けですが、この価格帯のヘッドフォンでは全体域を高音質にすることば難しいので、「割り切る」設計が必要で、その割り切り方の良し悪しがそのヘッドフォンの良し悪しそのものになります。同価格帯でよく売りにされる「重低音」を、このモデルも売りにしています。確かに低音は良く出ていますが、バキバキにブーストされている感じではないので、耳障りと感じる人は少ないのではないでしょうか。良いと思います。低音のパンチ力は結構ありますがキレはちょっと不足気味です。低音にリバーブがかかったように(エコー気味に?)聴こえるのがちょっと残念です。これは低音を増幅するための構造(サブチャンバー)のせいでしょうか。正直、好みの問題だとは思いますが。このエコーのせいで解像度が犠牲になっている気がします。

全体的に低音寄りというより、全ての音がサブチャンバーを経由して耳に届くため、ドライバユニットで再生できている音は中高音も含めてすべて低音の鳴りに負けてしまっているという印象があります。

しかしながら、全体のバランスとしてはそれが意図的なものであるかどうかはわかりませんが、かなり聴きやすい(耳に入りやすい)部類に入ると思います。味付けされている音になるので、モニター用途には向いていません。おそらくモニターとして選ぶ人はいないと思いますが、カナル型のモニターヘッドフォンならSONY、Ultimate Ears、AKG、Sennheiserあたりをお勧めしておきます。

このヘッドフォンの短所が目立ちにくく、長所を活かすことができるのはハウスやテクノ等のエレクトロニカ系ですね。

試聴したのはUnderground、The Chemical Brothers、Clark、石野卓球、Joris Voorn、Richie Hawtinなどですが、かなりノリノリです。

ロック、ヒップホップにもかなり合ってると思われます。

クラシックやジャズを聴くとよくわかるのですが、中高音がこもり気味です。アコースティックなライブ音源もあまり向いていない気がします。音場の広がりがほとんど感じられません。あらかじめ人工的に空間調整された音源を再生する分には全く問題がなく、迫力のある音を楽しむことができます。

ボーカル系(特に女性ボーカル)を試聴していて気がついたんですが、このヘッドフォンは、ボリュームによってかなり音のバランスが変わります。いまMacBook Proに繋いでiTunesで音楽を再生すると、iTunesのボリュームがMAXの状態でMac OSのボリュームを20%〜30%くらいで再生すると、低音から中音のバランスがとても良いと感じました。それ以上ボリュームを上げると、低音の主張がものすごく強くなり、イコライザーの調整無しではちょっときついです。ボーカルもきちんと通っているんですが、最近のCDはかなり低音強調されたレコーディングされているので、そのまま再生するとボーカルよりも重低音(バスドラやベース)が目立ちすぎてしまいます。
ボリュームを40%前後に上げると、音の解像度が急に良くなります。
なので、いまのところはボリュームはちょっと大きめで、低音を少し削ってやるようなイコライザー調整をしてやるといいと思います。

装着感が意外にもとても良い印象です。大容量サブチャンバーを搭載しているので装着したら引っかかるかなとか目立つかなと思ったけど、耳介にすっぽりフィットしてしまうので普通のイヤフォンと装着した見た目は変わりません。左右非対称の形状なので間違えることがないのもいいですね。また、イヤーピースの固定位置は2段階に調整可能なので、耳の中に入る深さを変え、ベストなリスニングポジションを探ることができます。

これからエージングをしていくと確実に音が変わるはずなので、気が向いたらまたレビューします。

▼購入したのは黒+赤モデルですが、真っ黒のモデルも存在します。

コメント

  1. らーちゃん より:

    私も最近買ったのだ。
    ゼンハイザーのCX300IIというモデル。
    こっちのアマゾンの売れ筋で知っているメーカーで安いものから選択しました。
    ザンハイザーは実は良く知らないのだけど、ウズラさんの記事見てランニング用にずっと使ってます。
    今度のはSWTOR用。フルボイスのヒヤリングが厳しく少しでも良く聞こえるようにって、そうゆう問題じゃないか。。。

  2. うずら より:

    > らーちゃん
    CX300-II、なかなか良さそうだね。というか、ゼンハイザーは基本的にハズレが無いから安心して買えるよね。ランニング用のアレも、かなり良いよね。
    SWTORは面白いのかな?
    ヒヤリングは、良いイヤフォンのほうがいいと思うよ。
    よくiPhoneにマイク付きイヤフォン付けて電話会議するけど、iPhone純正だと聞き取りにくいw