ひとつの旅の終り

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誰かが言った。

次なる目的地を決めるときがきた。
擦り切れ、焼け落ちた翼を捨て
新たなる翼を授かるときがきた。

構想から2年近く経ち、振り返ることもない。
ただ走馬灯のように、数々のシーンが生活の隙間に湧いて現れる。

不思議と、苦しみも悲しみもなく
悔いも言い訳もない。

ただ、これでいいんだという
高揚も絶望もまったくなく、ただすっきりと
受け入れるような、正しい道を歩いている確信のような
不思議な感覚。

視野は広く、
魂は静寂。

ハートは熱く燃えている。
心臓は力強く、全身の血を巡らせ
次に繰り出す渾身の羽ばたきを待っている。

遠い山嶺が透き通るような空気の向こう側によく見える。
高い高い場所にいる。
空気は凛と引き締まっている。
風ひとつなく、太陽は音を立てずたださんさんと
全身にエネルギーを送り続けている。

やがて夜が染み渡り
月が叡智の光明をもたらす。

群青の雲が流れ
すべての景色、音、臭い、空気の味、肌感覚が
研ぎ澄まされたナイフの先端のようだ。

ああ、そうなんだな。
理解。
確信。
希望。

迸るパワーの奔流に身を任せてやってきたこの地は
まるで何もかもが予定調和のように美しく
そしてはかない。
限られた調和
今しか味わえない、つかの間の荘厳さであることを知りながら
波打際で砂を掬う。

あの空に見える銀河には
いったい、いくつの生命があるのだろう。
いつかそこに、たどり着きたい。

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