ワクワクの秒読み

初夏の日差しが誘う外の世界。アーケード商店街はマスクをかけた人だかり。人混みを避けるようにアーケードを出れば肌を焦がす光が今年もまたやってきた。

再開した飲食店から漂う様々な匂い。今日は嗅覚がいつもより弱めだ。お腹は空いてるけれどこれといって食べたいものが思いつかない。

靴がボロボロになったので流通センターにスリッポンを探しに行くが、ピンとくるものがなかったので今の靴にもう少し頑張ってもらおう。

思えば3年近く服を買ってない。着ない服をくれる人が何人かいるので、お下がりで用が足りてしまう。今日着ているTシャツはちょっとお気に入りで、群馬のクライミング用ウェアを製作販売している若い夫婦がプレゼントしてくれたものだ。着るだけで少しは宣伝になるかもしれない。

無印良品のスリッポンがお気に入りなのだが、最近店舗で見かけない。それどころかコロナの影響ってやつで店舗が営業してない。オンラインで買ってもいいんだけど、実店舗に出向いて色々見ながら決める方が好きだ。

ずっと頭の中を流れている旋律が誰の何て曲だったのか思い出せないように、降りてきそうで降りてこない素敵なものがここしばらく僕の頭の上の方のどこかにある。

今日という最期をまた迎え、慶に満ちた散歩。仏具店の前を通ると香が鼻をくすぐる。今日の記念にひとつ、匂い袋を買おうと思い、店内を探る。ここのご主人は商品の場所をあまりよく把握していない。奥で接客中だった奥様が、たしかひとつだけ残ってたはずと言って案内してくれた。

京都の山田松香木店のなよびか。藍色の巾着で好みのデザインだったので聴かずに購入。香を身に付けると感覚が鋭敏になり、かつ物柔らかになることができる。

地元のカフェでナポリタンのセットを注文する。ここの料理もコーヒーも特筆すべきものが何もないのだがそれが良い。一所懸命やってるご夫婦の姿を確認しに来ているのかもしれない。

どこかに行きたい欲求が日々強まっているが、バイクに跨ってどこへ行っても満足しない。心当たりはいくつかある。ベトナム、エジプト、南米、それから南会津と八戸。国内はエリーゼに乗って行きたい。もう少し生き延びたら、きっとあの車は僕の元に帰ってくる。

期待はしないけどワクワクはしている。叶わなくても仕方がないなという前提であるからこそ、心からワクワクできるのだ。