UGC

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Universal Guidance Computer

Ultra-reliable multi-tier processing

By Hiro Hayashi, 2023-03-30, Revision 0.2

宇宙航行、とくに長期間の自律制御を要する惑星間航行や恒星間航行における宇宙機の統合制御を高い信頼性で実現するためには、地球の地表で想定されない様々なリスクへ対応可能なシステムが求められます。

URMTP(Ultra-Reliable Multi-Tier Processing)は、異なる複数の層を実装することにより、高機能性と高信頼性を両立します。

原理

URMTPシステムにおけるすべての制御ビットの最優先は電気信号です。統合制御レイヤーによって通常管理される制御ビットは、非常時によりレガシーなサブシステムによる独立自動制御へと切り替えが可能です。サブシステムはグルーピングされており、階層制御が可能であるとともに、独立したセルフチェック、予兆監視、リアルタイム動作検証機能を備え、統合監視システムにトラップ通信をすることで全体状況の統括的な把握を補助します。さらに下層には、制御ビットのアドレス毎に物理的なアナログスイッチを実装するCRMS(Control-room Module Switch)を持ち、手動による優先制御の切り替えが可能です。これらは非静電型の物理スイッチを使用しており、強い電磁波や重力等の影響下でもUGCの動作を確実なものにします。

統合制御レイヤー

高度自立分散フレームワーク

UGCは一般的な自立分散フレームワークをさらに一歩進めた独自の分散アーキテクチャを採用しています。これは、全体システムを止めずに高レベルな拡張性・保守性・障害耐性を実現するアーキテクチャで、個別機能グループの集合がサブシステムを形成し、サブシステムの集合によって全体を構成します。

特徴

UGC最大の特徴は、超長期間にわたって100%オンラインであることです。UGCの機能停止は宇宙機における人命や目的遂行において高度のリスクとなります。高度自律分散フレームワークは、オンラインでシステムの拡張・保守を可能としています。また、緊急度の高いデータを優先的に処理するリアルタイム性を実現し、不具合発生時にも影響を最小限に留めながら全体の運用を止めずに対応を可能にします。

拡張性・冗長性

回帰型エラー検証・第三者型エラー検証

意思非決定制御・意思決定制御

自動制御レイヤー

グループ制御・階層制御

セルフチェック

予兆監視

リアルタイム動作検証

自動制御シーケンス

手動制御レイヤー

インタフェース

分離構造

制御支援サブシステム

System Control Interface

UGCのSCI (System Control Interface) はプログラミングにおけるAPI (Application Programming Interface) と似たような概念です。UGCの統合制御レイヤーや自動制御レイヤーでは実際それはAPIですが、手動制御レイヤーにおいてはAPIと同様の機能を果たすものの、それはよりエレクトリックな仕様となるため、これらを統合してSCIと呼んでいます。

UGCの標準SCI

  • ロケットエンジン作動・燃焼管理
  • 姿勢制御
  • 航法管理
  • 資源管理
  • 施設管理
  • 生命維持管理
  • 通信管理
  • 工数管理
  • リスク管理
  • 危機管理
  • 指揮系統管理
  • 支援管理
  • 教育管理