手打ちうどん

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手打ちうどんのススメ

ゴールデンウィークに海外旅行に行く暇も金もなく、奥さんやお子さんに甲斐性なしと罵られて肩身の狭い思いをしているお父さん、こういうときは男の手料理だ。ワイルドかつ刺激的なレシピを披露して、お父さんの株を一気にあげるといい。

しかしいきなり手の込んだ料理はハードルが高い。かといってチャーハンとか玉子焼きとかカレーとか小学生の家庭科の時間で作っちゃうようなレシピでは家族の賞賛は得られない。
そこでオススメするのが、手打ちうどんだ。

普段のストレスを開放するかのようにお父さんのパワーを打ち込まれこね上げられたうどんのコシの強さに、家族もビックリするに違いない。
「お父さん凄い!」と、奥さんはあのドキドキしていた頃を思い出し、子供は尊敬に満ちたウルウルとした眼差しを向けてくる、かもしれないぞ。

ちなみにうどんの打ち方しか説明しないから、つゆは自分でなんとかしてくれ。そろそろ春らしい気候になってきたから、ざるうどんなら楽だ。市販の濃縮タイプのつゆを水で割るだけだ。
そういうわけで、ざるうどんの作り方を紹介しよう。

準備

用意するものは以下の通り。

【食材】

  • 中力粉
  • 市販の麺つゆ
  • お好みでネギやおろし生姜など

【調理器具】

  • はかり
  • 麺棒
  • 麺を伸ばすための平らな場所
  • ざる
  • 菜箸
  • 包丁、まな板

とてもシンプルで経済的だ。塩と水くらい家にあるだろうから、近所のスーパーで中力粉だけ買ってくればよい。

作り方はとても簡単だ。流れを大まかに説明すると、

食塩水を作る→中力粉と混ぜる→こねる→寝かす→こねる→寝かす→伸ばす→切る

どうだ簡単だろう。

おいしい手打ちうどんを作る最大のポイントは、よくこねることだ。
それから、なるべくおいしい水を使うといい。カルキの入った水道水じゃおいしくできないぞ。
無いというのなら、ミネラルウォーターも買ってくるといい。

では早速、詳しい作り方の説明をしよう。
こんな作り方を見ながらやっていたら格好悪いから、はじめに全部読んで頭に叩き込んでから、さも初めから作り方を知っていたかのようなフリをしてやるように。

手順

まず水と食塩を混ぜる。

水は、中力粉の半分。中力粉が300gなら、水は150ccでいい。
塩は水の1割。水が150ccなら、15gだ。大さじ一杯だ。
塩が溶けるまで水とよく混ぜる。
決して目分量でやらないように。料理を失敗する最大の原因は目分量だ。分量さえ合っていれば、とりあえず食えるものができる。きちんと軽量カップに水を入れて、そこに計量スプーンで塩を入れる。中力粉ははかりで重さを量る。

中力粉をボウルにあける。
あとで打ち粉としても使うから、少し残しておくように。

上から食塩水をかける。どうせ混ぜるんだから、気にしないで一気にぶちまけろ。

手をよく洗って、ボウルに両手を突っ込む。
長袖を着ているなら、あらかじめ袖をまくっておく。
それから結婚指輪を家族に食べられたくなかったら、外しておいたほうがいい。

ひたすら混ぜる。

手にベタベタ付くけど気にせず混ぜる。

なんだか水の量が少ないような気がしてくるだろう。しかし決して水を足してはいけない

大事なことだから二度書く。水を足すな

はじめのうちは、ネバネバとパサパサが混じってる状態だ。塊はドロドロで指の間にいっぱいくっつくし、ボウルの中には乾いた粉が残ってて、ひとつにまとまってない。
しかししばらく頑張れば、だんだんとひとつにまとまってくる。

まとまってきたら、混ぜ方変更だ。
手のひらで上から押し潰す。塊が潰れたら、折り返す。そしてまた押し潰す。
これをひたすら繰り返す。
最初は乾燥しかけた紙粘土みたいな感触だが、どんどん折り重ねていくうちに、しっとりしなやかになってくる。練り消しゴムみたいになる。
それでも黙って押し潰す。むかつく上司の顔に打ち込むように、渾身の一撃を叩き込め。
全体重をうまく使って潰していけ。腕力だけで練っていたら途中で疲れてしまうぞ。
体力に自信が無ければ、スーパーのビニール袋に入れて足で踏んづけてこねてもいいけど、出したり入れたり面倒だから、手でやったほうがいいぞ。

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練り消しのような塊をさらにこね続けると、今度は反発力が生まれてくる。
まるでゴムのように。これは、小麦粉の中の繊維がどうにかなっているところだから、細かいことは気にしないでこね続けろ。バラバラの繊維がいま、細かく分断されて再構成されているのだ。
ここで頑張れば頑張るほど、素晴らしいコシが出てくるぞ。

反発力をねじ伏せたら、塊をボールのようにまとめて、ラップをして放置だ。
30分休憩。

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30分経ったら忘れずに続きをやること。ここでやめたら家族に「お父さんに期待した私たちがバカだった」って言われちゃうぞ。

30分寝かせた生地は、かなりしっとりしてきたと思う。
紙粘土が油粘土に生まれ変わったような感じだ。お父さんには見えないところで、色々なことが起きているのだ。
ここで最後の仕上げに、もうちょっとだけこねる。

その後また20分くらい寝かせる。

これで生地は完成だ。

完成した生地を冷蔵庫から出して、打ち粉をしながら麺棒で薄く伸ばす。
打ち粉はケチらずたっぷりすること。

とにかくなるべく薄く伸ばす。
これくらいで十分だろうと思っても、茹でてみたら極太麺になっちゃったりするから、薄く薄く伸ばす。
細くてもコシは残る。太すぎると、ほうとうみたいになっちゃうぞ。でも、それが好きなら太くてもいい。
ちなみに極太麺にしたかったら、2〜3mmくらいの厚さにするといい。

このへんで、茹でるためのお湯をわかす。お湯はたっぷりあったほうがいいから、できるだけ大きな鍋に、たっぷりなみなみと水を注ぐ。パスタロボがあると湯から上げるときに楽だ。

伸ばしたら適当に折りたたんで、包丁で細く切る。
折りたたむときも、たっぷり打ち粉をすること。くっつかないように。

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切ったら、打ち粉が湿ってしまう前に茹でる。

ぐつぐつと煮えたぎった湯の中に入れる。

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煮えたぎったお湯があふれないように火力を調節しながら、対流で麺が自然に回るほど十分に鍋が大きくなければ、菜箸でかき混ぜる。かき混ぜ続ける。決して目を離さない。10分間だ。固めがいいとか柔らかめがいいとか言って湯で時間を変えると、家族に生の小麦粉を食べさせることになってしまったり、うどんではなくすいとんを食べさせることになってしまったりするから、そういうのは慣れてからでいい。時計できっちり10分計測するのだ。

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10分経ったら湯からザルに上げる。蒸気が危険だから、湯に触れなくても火傷することがあるぞ。気をつけろ。
湯を切ったら、ザルに冷水をかけながら、手でよく揉んでヌメリを落とす。完全に落とそうとは思わなくていい。きりがないから。

ザルを上下に振って冷水をよく切って、皿に盛り付ける。

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これを自分で作ったのかと疑いたくなるほど美しいうどんが、そこにあるはずだ。

つゆを作って、食卓に並べて、あとは食うのみ。

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手打ちうどんのコシの強さに度肝を抜かすこと請け合いだ。

コメント

  1. らーちゃん より:

    おおー腰抜かす美しさだー!!
    出汁も引けばリスペクト度2倍アップだ!!

  2. Chabo より:

    知り合いのおじさんでそばうちが趣味の人いるけど、打ち粉とかで散らかってかなわないうえに後片付けは奥さんだから、迷惑だっていってたぞ。w