これからの「正義」の話をしよう

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マイケル・サンデル(Michael J. Sandel)の本を読んでいるけど素晴らしいね。

Justice: What's the Right Thing to Do?」の和訳本。

マイケル・サンデル
Michael J. Sandel

1953年生まれ。ハーバード大学教授。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。専門は政治哲学。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員を務める。
1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。主要著作に『リベラリズムと正義の限界』、Democracy's DiscontentPublic Philosophyなどがある。
類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は、延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学依頼初めて講義を一般公開することを決定、その模様はPBSで放送された。この番組は日本では2010年、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。

この人の講義で使用されるテキストも和訳発売されているが、実際の講義がどのように進行しているのかが気になったのでiTunes Uで検索してみたら、あったあった。素晴らしい時代になったもんだ。

201011260342.jpg

上記リンクから講義の動画が無料で手に入る。

こんな人の授業が受けられる若者の将来は素晴らしいな。

それから動画見てて思うけどやっぱりあっちの大学は講義の進行がインタラクティブで生徒も大勢の受講者がいる中で躊躇なく自分の考えを発言し、教授の受け答えも絶妙だ。かなりの自信に裏付けられていなければできないよね。
こうした教育の差が実際のビジネスの場でも顕著に現れているんだよなあ。

「あなたは時速100キロで走っている列車を運転しており、ブレーキが壊れていることに気付いた。前方を見ると線路上に5人の人がおり、このまま直進すれば間違いなく5人とも列車に轢かれて死亡する。
そこであなたは、脇道に逸れる線路があることに気がつく。幸いなことにあなたは列車をどちらに進ませるかコントロールすることができるようだ。
しかしそちらの線路上には1人の労働者がいた。
あなたならどうする?
そのまま直進して5人を殺すか、それとも脇道に逸れて1人の労働者を殺すか?」
(意訳)

講義はこのようにして進んでいく。
学生たちの回答から矛盾を導き出し、やがて何が正しくて何が間違っているのかという答えは簡単には導きだすことができるものではないことに気がついていく。

【おまけ】

Being Boring - Pet Shop Boys

PSBの優しい歌声は癒し系。

コメント

  1. らーちゃん より:

    どっちが正義なんだろうね。。。
    自分としては被害者が少ない方がいいけど、ひかれるハズがない線路にいる人がひかれるのは理不尽かな?
    よってそのまま直進します。。。

  2. よも より:

    5人を殺しても、1人を殺しても、自分が生きている限り“人の命を奪った”という事実に向きあっていかなきゃならないからなぁ。
    ところで、この列車には運転手以外は誰も乗っていないのだろうか。
    自分しか乗っていない列車だとすれば、脱線させるって手もあるってことだよね。
    コントロールは可能なんだから、別に2択しかないわけじゃない。

  3. うずら より:

    @らーちゃん
    面白い回答をありがとう。講義では「直進しない」を選ぶ人が多かったんだ。
    ちなみに、「その5人に自分の家族が含まれていた」らどうするかな・・・。

    それから、よもへの返信で続きを書きます。

  4. うずら より:

    @よも

    面白い回答だね。でも哲学的前提を無視してるよw
    どちらかしか選択できないという状況なのだ。
    ちなみに講義では、「脇道に逸れて1人を殺すほうを選ぶ」って人が多かった。理由は「犠牲者を減らすため」が多かった。「9.11のときもビルに突っ込まずに自分たちだけが犠牲になることでビルにいる人たちを救うという選択をした人たちがいた」

    > らーちゃん・よも
    この講義の続きをちょっと書いておくから、この回答も教えて!

    「やはり同じように線路上に5人の人がいる。そこに列車が向かっている。しかし今回、あなたは運転手ではなく傍観者。どこから見ているかというと、線路が通っている橋の上から見下ろしてる。このままでは5人は間違いなく死ぬ。ふと横を見ると、物凄く太った人が自分の横にいる(笑)この人を線路に突き落とすと、列車は彼を轢き殺してしまうが、列車はそれで停止するので5人の命は助かる。さてあなたはその人を突き落とすか?」

  5. よも より:

    @うずら
    なんだよ。
    哲学ってメンドクサイな。w

    次も「ただ見ているだけ」か「太ったお方を突き落とすか」の2択しかないの?
    すんごく太った人を突き落とす力的自信もないし、ただ見てるだけなのもアレなので、とりあえず「叫ぶ」なりなんなりの警告をしたいんだが、哲学的にはダメなのか。

    ちなみに、すんごい太った人を落としたところで電車って止まるもんなのかね?
    うまい具合に電車の前に落とせないかもしれないし、丁度良く落ちたところでそのまま走り続けるかもしれない。
    ってことは、一人を突き落として殺して、更に5人もひかれて、犠牲者が増えるだけな気がするんだけど。

    うむ。
    私には哲学は向かないってことはよく分かった。
    てか、そもそも「哲学」がなんであるのかが分からなかった!!!www

    そんなややこしいの読んでないで、ひろさちやさんの本でも読みなよ。
    気楽になるから。

  6. うずら より:

    @よも
    ややこしくないよ。選択肢がふたつしか無かったらどちらを選ぶのが正しいと思うか?って話だから。

  7. らーちゃん より:

    5人に自分の家族が含まれていたら、運転手の場合でも傍観者の場合でも5人を助ける方を選ぶよ。
    正義という意味ではダメな選択だと思う。
    罪を背負って生きていくことになるから、こんな場面に直面したくないけど、いつも夢見が悪くて、飛び起きて夢で良かった〜って安堵するよ。
    今も夢見が悪くて目が覚めた。午前2時w

  8. うずら より:

    @らーちゃん
    そういうのあるね、わかる。
    最近よくあるw

  9. 前田忠志 より:

    私も読みました。
    いろいろ考えさせられますね。

    • うずら より:

      >前田忠志さん
      正しいと信じて疑わなかったこととか、考えてしまいますね。
      このような教育を受けられるって、素晴らしいことだなぁ、と思います。