桜咲く

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一昨日、受信した1通のメール。

以前「パソコンのお医者さん」のお客さんとして知り合ってから仲良くさせていただいているMさんからだ。

連絡が取りたかったが電話番号を無くしてしまい、連絡ができず、パソコンのメールを掘り返したらメールが残ってて連絡してきてくれたそうだ。

僕はてっきりMさんのことだから連絡する暇もないくらい活発に動いていらっしゃるんだろうなあと思っていました。

そう言うわけで再び連絡が取り合えるようになり、昨日はMさんと目黒川沿いの桜を眺めながら散歩してきました。

ぼくはMさんが大好きだ。出会った頃は、Mさんがご主人を亡くしてまだ1年経ってなかった頃だ。ご主人の形見のノートパソコンをなんとか使えるようにしたくて、僕に連絡をくれたのがきっかけ。

元気に振る舞うMさんの姿から、ご主人への想いで前に進めなくなってしまわないように一生懸命、前に進もうとしていることが伺えた。目の前にあることに全力でチャレンジし続けてきて、今もチャレンジし続けている彼女の生き様を見て、僕は感銘を受けた。人はこうあるべきだと言う理想の姿を具現化したような方だと思った。

どうやら人というものは一般的に、歳を重ねるほどにチャレンジすることが怖くなるらしい。チャレンジだけではないのかも。人生で安全であると確信しているものに囲まれ、そうでないものには効きを覚えるのは、生き物として当然のことなのかもしれない。

しかしMさんは果敢だ。恐怖と向き合い、己の弱さから目を背けず、輝く瞳で前に進もうとするその姿勢には、心から尊敬を覚える。

Mさんは決して自分を飾らないし、常に謙虚である。しかし自分がやってきたことにはしっかりと等身大の自信を持っていらっしゃる。

そんなMさんと、午前の目黒川を中目黒方面へと歩く。花見をしている人々を次々と追い越しながら、速いペースで歩く。

中目黒の手前で、目黒川にも鷺がいることを教えてもらった。そこには2羽の美しい白鷺がいた。

Mさんが探しているものを僕は持っていた。そして僕が探しているものをMさんが持っていた。このタイミングで再会できたことには、何か人知を超えたものがあるに違いないと思えるほどに、ざまざまなことが符合した。

イタリアンレストランのテラスで昼食をとり、目黒川を今度は下流に向かって歩き出す。

午前中には八分咲きだった染井吉野が、満開になっていた。

桜には心を洗われる。今年も僕に春を告げてくれるこの花は、日本人の心だ。儚くも凛として、主張するのはこの短い時期だけ。色とりどりではなく、限りなく白に近い桜色。

桜が満開するその瞬間を目にしたのは、初めてのことだ。

近日中の再会を約束して、日が暮れる前に家路に着く。

情熱的に語り尽くしたあとだったので、自宅でにゃーちゃんとゴロゴロしてたら、うっかり昼寝をしてしまったらしい。目が覚めたら日が暮れようとしていた。

その瞬間、FくんからLINEがあった。今仕事が終わったから向かいますと。そうだ、Fくんと食事に行く予定だ。タイミングは完璧だ。

会社を共に起こしたFくんとはいろんなことがあった。昨年12月からつい先週まで、今後のあり方について散々悩み抜いた。そしてFくんが会社を離れることで最終的な合意に達した。そこまでの道程で、僕はFくんがただ友人として僕と関わっていたいのだという結論に辿り着いた。それは、行き詰まりから感謝へと変わる瞬間でもあった。時には感情をむき出しにして言い合うこともあり、悶々としながら過ごす日々もあった。しかし彼はそんなことを超えて、まず友人としての関係を続けることの価値に重きをおいてくれたのである。

僕が今まで神頼みをしたことはそんなにないと思うが、いくつかはっきりと天に願ったことがある。

ひとつは、「世界中に友達を作りたい。名前ばかりの友達ではなく、本当の、心通じ合う友達を」。

もうひとつは、「みんなが笑顔で暮らせる世界をつくりたい」。

どうやら神様が実在することを僕は証明しつつある。

願ったことは現実になる。

願っていれば、己がやるべきことは、欲求というごく自然な形で現れ、その欲求に忠実であることによって成就する。

やりたい事をやるというのは、深い話だ。

心と心、魂と魂がつながっている感覚に満たされる。

深夜、KくんからLINEが届いた。

久しぶりに会いたいという。

僕は聞いた「何か面白い話があるなら会うけど」。

彼は何もないと言った。彼と再び関わるようになって3年。彼は前に進もうとしていない。まだ葛藤の段階にある。この段階において必要なことは孤独になって自分と向き合うこと。他人に優しい言葉をかけられたり馴れ合いの場を得ることは彼に取ってプラスにならないばかりか、毒になる。

そう思って、断ることにした。

僕は彼のことを見捨てたわけでもないし、人格や人生を否定してるわけでもない。本人がそれを感じてくれるかどうかは知らないけど、今は少し距離をおいた方がいい。

毎日いろんなことが起きる。

後になって振り返れば、今この瞬間こそが幸せそのものだと感じるのだろうということがわかる。

欲しいものは、手に入れるまでの過程が楽しいのだ。

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