車で15分くらい行ったところに「道の駅フォーレなかかわね茶茗館」という施設があります。
そこでは300円でお茶体験ができます。
写真の右上から反時計回りに、お湯のポット、湯冷まし、急須、お茶請け、湯呑み、茶葉。真ん中にある匂い袋は出涸らしのお茶が詰まっており、消臭抗菌効果が期待できる。袋は手作り。
これを使って川根茶の一煎目、二煎目、三煎目……と、煎れ方を教わりながら味の変化を楽しめます。
町外から遊びに来てくれる友人や家族はいつもここに連れて行くことにしています。
理由は、初めての一煎目を口にすればわかります。
おそらく多くの人が衝撃を受けると思います。
僕自身、初めてこれを口にしたときの脳天から稲妻が走るような衝撃を今でも忘れられません。
さて先日、家族がまたここでお茶を飲みたいというので行ってみたところ、たまたまその日はいつもと違うお茶を体験できるイベントが開催されていました。
地元の有名な茶農園さんのひとつ「相藤(あいとう)農園」さんが、全国茶品評会で受賞したお茶です。
800円です。原価割れ赤字覚悟でこの価格ですが、市場に流通しないためこんなイベントでもない限り口にすることができないお茶です。
品評会向けのこの茶は自然栽培で育てられ、みなさんお馴染みの蒲鉾型に育てず、まっすぐ一本の幹の形に育てます。
新芽を摘むのですが、1つの新芽は約0.2グラム。
これを80キロ、40万個も手摘みします。
そこからピンセットで品質の良い茶葉を選別します。
様々な工程を経て、最終的に残るのは4キロ。
その貴重な4キロのうち、ひとり分3グラムのお茶をいただいたというわけです。
この茶を作るために必要な広さは50アールから120アール、だいたい1500坪から3600坪にあたります。
品種はやぶきた。
茶茗館で普段から提供されているやぶきたも高級品で、とても300円で飲めるとは思えない感動の味なのですが、今回初めて口にしたこの最高級茶葉は、一煎目を口にした瞬間、その違いにただただ驚くばかりでした。
一緒に体験した家族も皆、目を丸くして驚いていました。
相藤農園のご主人、息子さん、お孫さんの三世代に迎えられ、茶の話をたくさんお聞きすることもできました。
『川根茶の質を証明するためには、いくら自分たちで主張しても意味がない、きちんとした第三者からの評価を受けて初めて証明できる』と仰っていたご主人の目は子供のようにキラキラしていました。
煎茶の世界の奥行きは、とてつもなく深い。
素晴らしい体験をさせていただいてありがとうございます。
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