宇宙に行ってきます

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image 小さい頃、本物の天の川を見たことがある。
いま、夜空を見上げていくら目を凝らしてみても、天の川は見えない。

正月にかみさんの実家に行ったとき、周囲に明かりのほとんどない田んぼの真ん中で星空を見上げてみたら、うちのほうでは見えない星がたくさん見えた。
でも、天の川は全然見えなかった。

「天の川」でググってみると、日本には今でも天の川を見ることができる場所がたくさんあるらしい。でも、わざわざ天の川スポットまで行かないと見ることはできない。
夜があまりにも明るくなりすぎたから。

大平貴之さんという方がいる。
独力で、世界一の性能を誇るプラネタリウムを開発してしまった技術者だ。

1970年神奈川県川崎市に生まれる。小学校の頃からプラネタリウム作りを始め、日本大学生産工学部機械工学科在学中の1991年にアマチュアとしては前代未聞であるレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」を完成させ、話題となる。同大学院理工学研究科精密機械工学専攻を経てソニーに就職するが、プラネタリウム製作にかける情熱は冷めることがなく、仕事が終わってはプラネタリウム作りを続け、1998年に、当時世界最高の170万個の恒星を投影することが可能で、重量わずか30キログラムの移動式プラネタリウム「メガスター」を個人で完成させた。2003年にソニーを退社しフリーとなる。2005年3月にはベンチャー企業である有限会社大平技研を設立し、代表取締役に就任。

ずっと前にテレビで大平さんのドキュメンタリーを見て、感動した。
ただ「凄い人だ」としか言いようがなかった。
一人暮らしのワンルームで、仕事が終わってから黙々とプラネタリウムを作り続けたのだ。

一般的なプラネタリウムが投影できる星の数は、数千個。
最新鋭のモデルでも、数万個だ。

ちょうど今から10年前に大平さんが一人で作り上げた「アストロライナー」(のちにメガスターと改名)は、なんと170万個もの星を映し出す。いままでのプラネタリウムとは、桁が違う。
大平さんは、このプラネタリウムを作るために恒星の位置を原版に正確に露光する装置まで独力で開発したのだ。制御するのは、ナノメートル(10億分の1メートル)単位。
びっしりと原版に描きこまれた星図をプラネタリウムに映し出すメガスターの本体は、たったの30kg。彼はプラネタリウム高性能化と高度な小型化を同時に成功させ、歴史に名を残すエンジニアとなった。

その後、大平さんは就職したソニーを退社し、プラネタリウムの会社を立ち上げた。
そこでメガスターをさらに改良し、2003年に「メガスター2」を完成させた。
これは大平さんの5番目の作品になる。
メガスター2は、410万個もの星を投影する。

通常のプラネタリウムは、再現できる星の数が少ないため、天の川は星雲の「絵」を投影することで再現している。
しかし大平さんのプラネタリウムは違う。絵など投影しなくても、自然に天の川を再現するのに十分な数の星を映し出すことができる。
このメガスター2は、人間の目では見ることのできない12.5等級の星まで投影できる。

メガスター2は、何台か作られた。

1号機、フェニックス。川崎市青少年科学館で常設展示され、その後、機能改良した2号機のミネルバに置き換えられた。

3号機のコスモスは、性能を上げて500万個の星を投影可能にし、日本科学未来館に2004年から常設展示されている。

ちなみに未来館の館長は、スペースシャトルで宇宙に行ったあの毛利さんなんだけど、このメガスター2の映像をはじめて見たとき、感動に打ち震えたという。
「宇宙から見た星空と同じだ」って。

4号機のタイタンは、移動公演用。愛知博でも使われた。

大平さんが2005年にセガトイズと共同開発して発売された家庭用プラネタリウム「ホームスター」は、2万円を切る実売価格にもかかわらず、一般的な業務用プラネタリウムに匹敵する1万個以上の星を投影するスペックを持っている。うーん、ひとつほしいw

メガスター2は、ギネスブックにも公認されている世界一のプラネタリウムだ。
世界のプラネタリウムの大きなシェアを握る、コニカミノルタプラネタリウムのフラッグシップモデルだって、いまだに2万9000個しか星を投影できない。

プラネタリウム界における大平さんの独走は、まだ続いている。
大平さんは昨年(2008年)6月、最新鋭機「スーパーメガスター2」を発表した。
度肝を抜く性能――2,200万個の星を投影する――!!
一体どんなふうに見えるのだろう。

スーパーメガスター2はまだ一般の人には公開されていないけれど、メガスターやメガスター2は、見ることができる。せっかく日本に住んでいるんだし、いつかメガスターを見てみたいと何年もの間、思っていたんだけど、なかなか行く機会が無かった。
そこで明日、お台場にある日本科学未来館まで行って、見てくることにした!

今月の10日から、すごいプログラムをやっている!

先述した500万個投影の「メガスターII - コスモス」と、日本初の超高精細立体視映像システム「Atmos」を使って宇宙を描く、立体宇宙体験プログラムだ。
どうです、ワクワクするでしょう?

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これは、絶対に見逃せない!!

未来館のプラネタリウムは席の数が112しかないので、かなり行列するらしい。
超早起きして行ってくるよ!

Atomosというのがまた凄い装置で、簡単に言えばディズニーランドの3Dシアターみたいな眼鏡をかけて立体視を体験できるシステムなんだけど、解像度と再現力がディズニーランドの比じゃない。

フルHDの約8倍の解像度、4,000×4,000ピクセル(有効画素数、1,150万ピクセル)で、CGや動画が再現される。
数字だけみてもなんだかよくわからないけど、どれくらい違うのか確認してくる!

3月20日に、完成の記者発表があるんだ。

国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(略称:4D2U)では、このほど国立天文台三鷹キャンパスに完成した4D2U立体ドームシアター(正式名称:デジタル宇宙公開実験棟)において、インタラクティブな3D映像のドーム投影を、世界で初めて実現しました。

このシアターは直径10mの全天周ドームスクリーンを持ち、ドームでのインタラクティブな3D(立体)投影設備としては日本初のものです。世界的に見ても、ギリシアのアテネで米企業によるデモンストレーションが行われたものとほぼ同時に開発されており、世界初の実用化となります。また常設のインタラクティブ3Dドームシアターとしては、確認できている限り世界で唯一のものです。

4D2U立体ドームシアターでは、プロジェクトで開発したソフトウェアである、インタラクティブ4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」を用いて、地球から宇宙の大規模構造までの莫大なスケールを自由に移動しながら、 天文学の最新の観測データや理論的モデルをリアルタイムに視点を変えて観察したり、天文学者たちが行っている最新のコンピュータシミュレーションを科学的に忠実に映像化した、迫力のある立体ムービーコンテンツを鑑賞したりすることが出来ます。

4次元デジタル宇宙プロジェクトは、空間的にも時間的にも膨大で実感しにくい宇宙を立体映像で表現することにより、宇宙の理解を進めようとする、国立天文台による科学プロジェクトです。このプロジェクトは、スーパーコンピュータや専用計算機によるシミュレーションデータや、すばる望遠鏡などの最新の観測データを基に、科学的な宇宙像を4次元デジタルコンテンツとして描きだしています。ここでの「4次元」とは、空間3次元に時間1次元を加えたものを意味しています。

このプロジェクトでは2つの目標をかかげてきました。

第1は、観測データやシミュレーションデータを3次元的に再構成することにより、研究者に現実には得られない時間変化を含む、立体的な視点を提供すること、加えてそれを高速ネットワークで配信することにより、遠隔地にいる研究者にも使えるようなものにすることです。

第2は、天文学の最新成果を基にした宇宙の姿を、わかりやすく楽しくインパクトある立体映像表現で一般の人に伝えることです。この方法は、学校教育はもちろん、社会教育やエンタテインメント等、幅広い応用の可能性を秘めています。

今回4D2U立体ドームシアターが完成したことで、今後は世界中のプラネタリウムや博物館・科学館・学校等で、プロジェクトで開発されたコンテンツが活用されることを目指していきます。また当面は月1回程度の頻度で、立体ドームシアターでの映像作品の上映や、研究者による「Mitaka」を用いた4D宇宙の実況解説等を提供していく予定です。

なお、本プロジェクトの研究開発は、平成14年3月~平成16年11月:JST計算科学技術活用型特定研究開発推進事業(第I期)、および平成16年6 月~平成19年3月:文部科学省科学技術振興調整費産学官共同研究の効果的な推進プログラム『4次元デジタル宇宙映像配給システムの構築』(第II期)という競争的資金によって行われてきたものです。

■4D2U立体ドームシアターの主なスペック

正式名称: 国立天文台 デジタル宇宙公開実験棟

ドーム直径: 10m (傾斜角 10度)

収容人数: 40 名

立体投影方式: 分光立体方式(Infitec)

投影用プロジェクター台数: 13台(内、前方立体視用 右目5台+左目5台、後方投影用 3台)

投影用プロジェクターのスペック: 解像度:XGA(1024x768), 輝度:3000ANSIルーメン

投影用PC台数: 15台 (内、投影用13台、プログラム起動用1台、音声送出用1台)

投影用PCのスペック: CPU: Intel Pentium4 Processor 3.8GHz, GPU: NVIDIA Geforce 7800 GTX, RAM: 2GB, OS: Microsoft Windows XP Professional

音響: 5.1ch サラウンドスピーカーシステム

(PCのスペックは、ウチのより低いんだなw)

東京ディズニーリゾートや、コミケに用事がある人!
せっかく来るんだったら、ちょいと足を伸ばして未来館へGO!

コメント

  1. ちゃぼ より:

    プラネタリウムにはあんま興味がないけど、これはちっと見てみたいなぁ。

  2. シルバードラゴン より:

    昨年の夏に母田舎の鹿児島にいったら天の川見えたよ~
    子供のころに行ったとき天の川って知らなくて、夜なのになんで雲がスジみたいにあるのか聞いたら、天の川っておそわった(^_-)-☆

  3. うずら より:

    ちゃぼさん>
    新しい日記にレビューを書いたよ!
    プラネタリウムの性能が満喫できたかというと、ふたつの機械の競演だったせいもあって不完全燃焼かな。
    あと未来館のプラネタリウムは想像より狭かったな。
    川崎にもあるし、東京にも兄弟機が設置されたカフェ(プラネタリウムカフェ)があるんで、今度はそっちに行ってみようと思う。

    シルバードラゴンさん>
    あれ、実家は鹿児島だったんですか!
    鹿児島は仕事で一度だけ行ったことあります。
    指宿で砂風呂に入ったけど、ホテルの明かりがあったから星空は見えませんでしたねえ。
    天の川って初めて見るとビビりますよねw