不動産業界はオワタの話

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我が家のポートフォリオには不動産という言葉はないので(持ち家は負債であり資産ではない)、不動産業界の動きがウチの家計と関係ないかといえば、大いに関係がある。

なぜなら、うちのかみさんは不動産業界で働いているから。
主に市街化調整区域を扱っている会社なのだが、いま資金繰りが大変らしく、話を聞くと最近は不動産なら何でもやっているようだ。
もともとそんなに儲かっていなさそうな会社だったが、まあなんとか、かみさんの給料が毎月(遅れることはあっても)出るくらいにはギリギリでやってきたようだ。
しかしこの半年くらいは本当にヤバいらしく、先月から給料も出ていない。

会社そのものをみれば、付き合っている業者の質とか経営戦略とかいろいろ疑問だらけなんだけど、そんなの関係ねえ!っていうくらいに不動産はやばい。

そもそも不動産というものが、ローリスクでハイリターンな資産であるという話が、神話。
いまだに不動産こそが最強の資産だと信じて疑わない人たちがかなり多く見受けられるけど、不動産はそもそも、流動性は低いし、価値の変動も激しく、ハイリスクな投資対象なのだ。

90年代のバブル崩壊によって、そういった不動産神話のヴェールが剥がされて、日本の不動産は一気に低迷した。
不良債権の処理に困った銀行や企業が次々と不動産を処分。
不動産の売買は極度に低迷した。
同時に、金融規制緩和もあり、不動産の流動性を高め、をよりローリスクな金融商品にしようという意図で不動産の証券化がはじまった。
これが日本版REIT(Real Estate Investment Trust: 不動産投資信託)、J-REITの始まりである。
J-REITには多くの不動産会社が上場し、そこに米国を中心とした外国資本がたくさん投入された。

――この時点で、日本の不動産は世界の金融市場と密接に連動してしまったことを意識すべきである。

米国ファンドには住宅ブームの影響で資金の余裕があった。
いくつかのファンドは東京の都心を中心に投資を行い、しばらく低迷していた日本の不動産価格は、東京を中心に上がっていった。
これでまた調子に乗ってしまって誰にも歯止めがきかなくなるのが不動産業界の宿命。
バブル時代の甘い蜜を忘れられないご老体たちが多すぎるんじゃないの?
あの時代を基準にして物事を考えることをやめられないんだろう。
危機感を持っている人は少数派になった。

しかし去年あたりから、米国の住宅価格が下り坂になった。
それが原因で、サブプライムローンの問題になるわけだ。
サブプライムという言葉は今やあちこちで聞くけど、じゃあサブプライムローンっていったいなんなのよ?といったら概略すら知らない人が多い。
サブプライムローンとは、低所得者を対象とした住宅ローンのことだ。
日本もそういう傾向があるでしょう。
年収が低くて、貯金もなくて頭金すら払えないのに、ローンの審査に通っちゃって家やマンションを買っちゃう人が増えてる。
低所得者にお金を貸すということ自体、当然だがハイリスクだ。
しかしハイリターンでもある。なぜならサブプライムローンは他のローンと比べて金利が高いからだ。
金利が高いのは、返済されない可能性があるからだ。

サブプライムローンの仕組みとしては、借りた人が返済できなくなってしまっても、住宅を売ってしまえばローンを回収できるというものだったんだけど、これは住宅の価格が上がっていることが前提になっていた。
ところが住宅価格が下がり始めてしまい、サブプライムローンは回収できない不良債権になってしまった。

これだけだったらまだ問題は小さくて済んだのかもしれない。

しかし問題は、サブプライムローンが金融商品として証券化されていたことにある。
世界中の証券会社や銀行がこれをもっていた。
リーマン・ブラザーズの破綻は、この影響によるもの。
日本では、国内の経済状況的に米国のサブプライムに投資できるような状況になかったことが幸いしてか、サブプライムによる直接の損失は他国(欧米)に比べて少なかったらしい。

しかし米国での金融危機により、日本の不動産に投資していた米国系の資金が一気に引き上げていった。
そのために、外国資本に頼っていた日本の不動産会社は資金不足に追い込まれ、バタバタと倒れていった。
追い討ちをかけるように、金融庁の指導によって不動産会社への融資が激減。
世界的信用収縮の余波である。

そしてJ-REIT市場で初となる、破綻企業が現れた。
ニューシティ・レジテンス投資法人。

投資法人の破綻というのは一般法人の破綻と異なり、価値の基準が運用している不動産にあるわけで、破綻したからといって企業価値が一気に下がるということは本来ないのだが、破綻というキーワードが市場全体に与えたショックは少なくない。

今回の破綻は、資金調達できなくなって首がまわらなくなったせいだが、
今後の不動産業界は、資金調達により苦労することになる。

全体の流れとしてこういう事情があるのだ。
個人投資家や同業者、同業専門の金融から資金調達しているかみさんの会社では、きっとこのような情勢によって貸し渋りされて、お金が入ってこない→不動産を仲介できないという悪循環に陥っていると思われる。

長くなったが、こういうわけで、うちのかみさんの未払い給料は、もうたぶん入らない。
まあ、働きたいならきちんと給料もらえるところで働くか、
自分で事業をおこすか、
専業主婦になって我が家の財務会計管理をやってもらうか、
そのどれかしか、ないんじゃないかな?

コメント

  1. harepanda より:

    不安定な市況が続きますね。数日前の私の予測どおりになってしまいました。

    このたびの株価急落に関して、歴史・政策の観点からのレポートを書きましたので、興味がありましたら当方のBlogの、最新2つの記事をご一読ください。(10月21日に、次の記事を予定しています)

    たった数日前の予測ですが、楽観論を吹き飛ばすのに十分な内容でした。そして先日、日経平均は1000円下げました。翌日は少々、反発しましたが、到底、元のレベルに戻りません。

    週刊文春によると、REITを売っている東証一部上場企業の破綻リスク第9位は、なんと野村不動産HD(転売用不動産を除いた当座比率ワースト10にランクイン)であり、スイスの銀行大手UBSは国家規模より4倍も大きく、UBSの破綻はそのまま国家の破綻につながる可能性があるとのこと。

    お気に召しましたら、当方の麻生ロゴを個人ブログのサイドバーなどに貼っていただけますと、幸いです。この不況は政治の不手際で拡大する恐れがあります。

    よろしくお願いいたします。

  2. ミチノキ より:

    こんにちは。ご無沙汰しています。
    どうしてるかな~?と思って立ち寄ってみました^^
    私は中央区の某商社にお世話になってまもなく2年になります。

    >サブプライムローンが金融商品として証券化

    私の友人も、不動産ではないですが某外資系銀行のSEに
    去年転職したばかりだったのですが
    そこは無利子でリーマンに貸していたんで
    かなり大変みたいです。。

    ワーキングプアな私には無縁の世界ですが^^;

    私も年齢だけはどんどんととって行くので
    次に雇用先がなければ、自分で何かやるしかないです。

    バーベキューのお肉も、格下げになっちゃう>< ←このネタw

  3. うずら より:

    > harepandaさん
    はじめまして。コメントありがとうございます。
    たしかに短期的、ミクロ的にみるとひどい状況で、麻生内閣の匙加減で今後の日本経済が大きく変わっていくことでしょうね。
    ただ麻生は市場にもそれなりに詳しいですし、日本国民が保有する1600兆円とも言われている金融貯蓄をどう上手く市場で活用できるかによって、評価されるべきかなと考えています。
    この個人金融貯蓄の数パーセントでも株式市場に流れれば、世界中がいま一番注目している日本の市場が世界の中心になるのではないかと思っています。

    > ミチノキさん
    お久しぶりです!!!!
    もう連絡がとれないかと思いました……。
    中央区で働いているんですね。
    自分は日比谷で働いてます。

    バーベキュー、なつかしいw
    もーもさんとか、りえこちゃんとか元気なんでしょうか。連絡とってます?

  4. ミチノキ より:

    うずらさん

    私は東銀座です。歩いていけますね☆
    ふたりとも、たまにですが、連絡とってますよ^^
    距離的には今いちばん私がうすらさんと近いですね。
    私はメールアドレスが代わったのですが、
    このコメント書いておきましたので、今後とも、
    よろしくお願いします♪

  5. うずら より:

    ミチノキさん、

    連絡先、ありがとうございます!
    東銀座、すぐそばですね。
    みなさんと連絡をとっていらっしゃるようで、なによりです。