経済関連の記事がここしばらく続きますが、やはり今一番ホットなのは世界経済の話であり、経済についてろくに学んでいないずぶの素人ながらも、これを語らずにはいられません。
先週一週間、ビジネスのために米国に行ってきました。
久しぶりだったせいもあり、米国の変わったところ、昔から変わっていないところがいろいろと目に付いて、いい経験だったと思います。
新聞やニュースでは金融危機の話題で持ちきりですし、渡米している間に日経平均株価はガタ落ちして、円は1ドルあたり90円台前半になってしまいました。
週のはじめに成田空港で換金したドルを帰国時に日本円に戻そうとしたら、たった一週間しか経っていないのに1ドルあたり15円くらい損するようなレートになっていて、急激な円高を身をもって実感しました。
円高、株安によって、株式市場や外国為替市場に投資をしている人たちからは悲痛の叫びが聞こえてきます。
その声があまりにも大きくて、日本崩壊だとか恐慌だとか言われるようになり、日本のマスコミもそれを煽っているように思います。
しかし、これはバブルと同じで、個人投資家が不良債権を抱えてしまっているというだけのことなのだと僕は捉えています。
異常な高値で取引されていた、石油をはじめとする資源。
サブプライムは、リスクも高く、金融商品としての価値が低いもので、本来であれば銀行などが手を出すような対象ではないのです。
しかし米国の市場主義によって、このような事態が起きてしまったのです。
はじけてしまった今、本来のモノの価値にふさわしい価格がついただけのことではないでしょうか。
日本の株式市場も異常でした。市場の常識が通用しない世界になって、そんな世界しか知らない個人投資家が普通に儲けていただけです。
株式分割しても、価値はそのままなんて、市場原理からしておかしいと思いませんか。
円高はこのまま続くと思っています。
さらに円高になっていくと思います。
いまの為替レートを、テクニカルに読み解こうとしている人たちの意見が多数派になっていませんか?
ここはもっとファンダメンタルに評価するべきだと思いますし、世界中の投資家や投資機関がファンダメンタルに世界市場を評価した結果が、今の為替レートに反映されているのだと考えたほうがすっきりとします。
日本円を中心に見ていると見落としてしまう可能性がありますが、いま強くなっているのは円だけではありません。
USドルも強くなっています。
日本円のほうがドルよりも凄い勢いで強くなっているから、相対的にドルが安くなっているように見えているだけです。
つまり世界の評価としては、いま信用できる通貨はユーロでも途上国の通貨でもなく、ドルだという妥当な判断をしているだけです。
円はドルよりもさらに信用できる通貨だということ。それだけのことです。
世界中が日本円を買っています。これからも買い続けるのではないでしょうか。
それは、日本円が短期的な逃げ場として利用されているのではなく、これだけの世界的な金融危機だからこそ、本当に信頼できる通貨にお金が集まっていると信じられるのです。従って日本円の信用を支えているものが磐石な何かであることに僕は疑いをもっていません。
僕の考えているストーリーはこうです。
今後、円高はさらに進み、それが外資の日本進出につながります。
多くのお金が日本に集まり、日本経済は世界No. 2からNo. 1の座になります。
もちろんそれは永遠に続くものではありませんが、世界が日本を信用する根拠となるであろう日本の総合力を考えると、かなり長い間(10年単位で)日本が世界経済の中心になるのではないでしょうか。
それでは、それほどまでに世界に注目されている「日本の総合力」とは一体何なのでしょうか。
驚くべきことに、そこにピンとこない日本人が多いのです……。
90年代は「国際化」が声高に叫ばれている時代でした。日本は、国際化されていない閉鎖的な国であるということを自覚していたのです。
日本は経済的にはかなり高度に国際化を果たしました。しかし文化的には国際化は果たされていないばかりか、部分的に退行すらしているという印象があります。これには、日本が島国であることや、アジアの東端に位置していることや、政策の問題など、様々な理由があると思います。
文化的鎖国状態が生み出した影響のひとつに、自分たちを「世界の中の日本」という視点で客観的に評価できる日本人が少なくなっているという事実があります。
実際に日本がどれだけ世界に認められる高い総合力を持った国であるのかについて意見を交わすと、経済的、文化的にドメスティックな生活を送っている日本人と、僕の考えにはかなりの乖離があることを強く感じます。
ですから、日本に縛られた日本人は、日本の良さについて語れません。逆に日本のマイナス面ばかり見えてしまい、ひどい国だと思っているんです。
世界のどこを探しても真似のできる国がない、日本だけが持つ力。
たくさんあります。
たとえば、「日本の技術力はすごい」ということは皆さん知ってると思いますが、どの程度凄いのか考えてみたことはあるでしょうか。
僕の意見としては、日本がすばらしいのは技術力のなかに、非常に高い応用力、適応能力、問題解決能力があることだと思っています。
身の回りのものを見渡してみてください。
テクノロジーが絡んでいるもので、日本が関係していないものがどれだけあるでしょうか?
たとえば自動車。
「自動車を発明したのは日本人ではありません。自動車を作れる国なんてたくさんあります。」
こんな意見こそが、文化的鎖国だと思います。
一台の自動車には、ものすごい数のテクノロジーが詰め込まれています。
仮に日本の技術が無くなってしまったら、どこの国の自動車メーカーも、今と同じ品質の車は作れません。
コンピュータだってそうです。
家電製品も、石油精製技術も、材料加工技術も、造船技術も、原子力発電所も、宇宙開発も、航空機も、すべて日本の技術がなければ成り立たないのです。
でも日本の凄いところは、その技術によって得た富(=経済力)を、世界にうまく還元しているところにあります。
ODAをはじめ、日本は「世界の財布」のような存在であり続けてきました。
時には、なんで日本がこれを払わなきゃいけないんだと叩かれながらも、金払いだけはとてもよい国でずっとやってきました。
これは非常に大きなことです。
日本ほど、世界中に知名度があり、かつ、ありとあらゆる国に好感を持たれている国は、他にないでしょう。
日本って、いい意味でとんでもない国なんだなって思います。
圧倒的な技術力と経済力、そして世界に対する柔軟性。
世界の財産ですよ。
欧米至上主義の力もあり、日本は常に二位という立場に甘んじてきました。
しかし世界は、日本を評価せざるを得ない、もう後ろは無い状況になっているのです。
いままでの市場がいったん深いレベルまで破壊され、あたらしい価値がうまれてくるまでの間、日本でも、海外でも、たくさんの企業が潰れたり、統廃合をしていくでしょう。デフォルトしてしまう国だってあるかもしれません。
しかしこれは、経済の浄化なのではないでしょうか。
浄化の果てには、また世界が立ち直るチャンスがあるのではないでしょうか。
そして今こそ、日本が蓄積してきたパワーを世界に対して解き放つときだと思うのです。
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