わたしは真悟

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古本屋で1巻だけ手に入れて読んでいたら、どうしても続きが読みたくなった。
ブックオフなどの古書店を数軒まわったけど、全然みつからない。
仕方が無いのでジュンク堂でコンプしてきました。
息もつかせぬストーリーで一気に読み進め、先ほど読了。

1982年から1986年にかけてスピリッツに連載された、楳図かずおの大作。
リアルタイムで読まなかったこと、そして今日の今日までこの作品を読んだことがなかったことを、足をじたばたさせて悔やんでしまうくらい、凄い作品だった……。

読後感としては「漂流教室」が最も近い。
恐怖的表現は散在しているけれど、決して恐怖漫画ではない。

賛否両論あると思うけれど、SF漫画でもないと思う。
もういちど最初から読み返したら、また違う感想を持ちそうな気がするけど、現時点で強く印象に残るのは「愛」「生命」「意識」「時間」。

漫画コーナーに溢れかえる、安売りされた「愛」のストーリーたち。
現代の漫画業界はより商業主義的になり、漫画家は常に「売れる内容でなければ出せない」という強い出版業界の圧力に曝される。
編集の圧力、出版社の圧力、カネの圧力。
重いものは書けない時代なのかもしれない。

そんな時代にこのような作品に出会えるから、漫画はやめられない。
この作品で描かれる「愛」は、システマチックに大量生産される「愛のストーリー」へのアンチテーゼとして作用している。
どうしようもなく歪んでいながら、とてつもなく壮大で、純真で、無垢だった。

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