因縁の対決: 総合勝ち

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先日から体の調子が狂い始めたことを書いているが、今回は鮮やかに(?)打ち勝ったことを記録しておきます。

これは、世の中のうつ病に悩む方々への朗報でもあります。
「うつ病に悩む方」とは、病気の本人に限りません。それを支える家族の方や、会社の同僚、上司、学校の先生、友人などを含みます。

まずはじめに、今回の「3年ぶり」の危機をどう乗り越えたのかについて書いておきましょう。

  1. 【かかりつけの医者を決めておく】
    はじめてうつ病になったとき、良い医者を探すのにさんざん苦労しました。また、医者を見つけたからといってすぐに診てもらえるとは限りません。たとえば私が通っている心療内科は、初診の場合のみ予約が必要です。予約は早くても2週間後くらいです。とにかく今の日本は、精神科・心療内科がとても混んでいます。患者の数が多すぎるのです。だからこそ、かかりつけを決めておくことが大事なのです。
    また、同じ医者にいつも診てもらっていると、経緯を分かってもらえるので楽です。
    私も今回、3年ぶりにかかりつけに行きましたが、先生は自分のことをよく覚えていてくれました。
    とくにうつ病の場合、症状が出てしまうと医者に説明するのも大変なことです。過去からの経緯をすべて話す必要がないだけでも、大助かりです。自分にはどんな薬が合っているのかも、私の担当医は知っています。
  2. 【医学の力で、脳内環境を即座に、応急的に改善する】
    危険信号、あるいはその疑いのある兆候が感じられたら、すぐに医師にかかり、薬を処方してもらうことが重要です。
    なぜ「すぐ」やる必要があるのか。
    私の場合はTCA(三環系抗うつ薬)との相性がよいため、重度のとき以外はずっとアモキサンを使用しているのですが、TCAは効果が発現するまで数週間かかります。効果が出る前に「落ち」てしまったら、日常生活が送れなくなってしまいますから、悪化する前に食い止めるためにも、すぐに服用を開始します。
    また、他の種類の薬(SSRI、SNRI、四環系抗うつ薬など)の場合でも共通するのですが、薬の効果が出る「適量」は個人差があり、また、同じ個人でも前回と今回では違ったりします。適量を見極めるために基本的には少量から少しずつ増やしていく方法がとられますが、適量の服用が開始される時期まで、自分が持つかどうかという問題があります。なので、早めのパブ◯ン、じゃなかった、早めの抗うつ剤なのです。
    ちなみに再燃が怖いからといって普段から薬を飲み続けるのはよくありません。副作用もあります。体に負担がかかります。たとえばTCAの場合、抗コリン作用や肝臓、心臓への負担があります。
  3. 【体力を増強して、万が一に備える】
    ランニングをやっていたおかげで救われました。まず、3年何も無かったのはランニングをはじめ、運動のおかげだと思います。
    ちなみに、いくら体力があってもうつ病に打ち勝つことはできません。トップアスリートでもうつ病になるのですから。
    じゃあ何が違うの?というと、医学的なことは分かりませんが、走ることで脳の環境がよくなっていると思います。
    「思います」なんて不確かな感じでしか伝えられないのが残念ですが、絶対に効果あります。
    運動をしたあとの爽快感、体を使い切ったときの充足感、開放感が、ストレス発散に大いに役立っているのだと思いますし、実際「危険信号」が出てからも、「落ち」てしまうまでの時間的猶予が長くなりました。でも、明らかに危険信号が出ているのに「走ってごまかす」のは意味がないということも分かりました。運動は予防にはなりますが、治療にはなりません。危険信号が出たら、薬は飲んでおいたほうがいいです。
  4. 【生活環境を整える】
    すべてのストレス源を減らす努力を日ごろから行っていました。
    今回ひとつ反省すべき点は、仕事で自分の許容範囲を越えていろいろ頑張りすぎたことだと思います。
    「仕事」と「プライベート」は、キッパリと分けた方がよいです。けじめをつけた毎日が、健康な生活を維持してくれます。
    人間、生きていれば嫌なことは避けられません。そんなとき、信頼できる人がいるかいないかで、結果が大きく変わります。上司、同僚、部下、友人、家族など、周囲の人間関係を良い状態にするための努力を欠かさないことです。
    それから食事。朝、昼、晩、きちんと三食とる。あまり遅くなりすぎたら、夕食は抜いたほうがいいようです。(あくまで自分の場合です)
    それから睡眠。睡眠は、人間に与えられた最高の癒しだと思います。睡眠をたっぷりとることが重要です。眠れない日々が続くなら、それは立派に危険信号ですから、医者に相談しましょう。睡眠導入剤などを処方してくれます。

これらの組み合わせ、まさに、合わせの一本による「総合勝ち」
あと1週間早く診てもらえば、もっと楽だったのにと、少し反省していますが、次回もし同じような事態になっても、いまの生活も仕事も続けながらうまく対処できそうです。これはものすごい安心感です。「なんとかなる」という保険がついたようなものですから。
医者に行くのが遅れたのは、医者に行くことで「ぶり返したのか」と家族を心配させるかな、と思ってしまったためです。
これはまったく逆です。病気を防いで毎日の生活を無事に過ごすことこそが、家族の安心につながりますからね。

いままで病気と闘ってきて、いろいろ考えて、調べて、感じて、思ったことをちょっとだけ書きます。

なぜうつ病が治らないのかということについて、私なりに辿り着いた現時点での結論です。
うつ病とは、精神状態のひとつの状態、あるいは癖を表しているものであり、「腫瘍」や「インフルエンザ」のように、病気であるとはっきりわかるものではありません、と以前から書いてきましたが、うつ病とは、健康な人と何ら変わりの無いものです。
つまり、うつ病と診断されるほどのダウンした精神状態に「なりやすい」か「なりにくい」かの個人差こそが、違いであります。
全人類が、うつ病になる可能性があると断言します。だから、うつ病になる人は器質的な(生体組織的な)欠陥を持っているわけではないということです。
例えば、ストレスに鈍感な人、あっけらかんと受け流せる人はうつ病になりにくい。しかしそんな人でも、一定のストレスを溜め込んだら、必ずうつ病になります。
包丁で人を刺したら血が出る、ということと同じくらい当たり前の事なのです。

銀河ヒッチハイクガイドに出てくる「マーヴィン」というロボットをご存知でしょうか。

201003132344.jpg銀河ヒッチハイクガイドはSF映画であると同時にスラップスティック・コメディでもあります。この作品は、映画も小説も大好きですが、万人にお勧めできる作品ではありません。:)
この作品に出てくるマーヴィンというロボットがとくに大好きなのです。

シリウス・サイバネティクス社によって作られた、人間の50,000倍頭の良いマーヴィンは、GPPという機能をはじめて搭載したロボットです。GPPとは、Genuine People Personalitiesの略で、人間の個性を完全に再現する機能のことです。だからマーヴィンは人間っぽいロボットなのです。

このマーヴィンですが、prototype(試作品)だったので、人間のprototype(原型、基本型)な性格が備え付けられました。
そのため彼は「根暗」で、常に「憂鬱」と「倦怠」に苛まれています。

"I didn't ask to be made: no one consulted me or considered my feelings in the matter. I don't think it even occurred to them that I might have feelings. After I was made, I was left in a dark room for six months... and me with this terrible pain in all the diodes down my left side. I called for succour in my loneliness, but did anyone come? Did they hell. My first and only true friend was a small rat. One day it crawled into a cavity in my right ankle and died. I have a horrible feeling it's still there..."

ここに、マーヴィンが歌ったとされる歌の歌詞があります。

Marvin's lullaby

Now the world has gone to bed
Darkness won't engulf my head
I can see by infra-red
How I hate the night

Now I lay me down to sleep
Try to count electric sheep
Sweet dream wishes you can keep

How I hate the night

何が言いたいかというと、人間はもともとネクラでウツ気味だってことです。

そんな中でも、うまく生きていく方法が見つかれば、それでいいんじゃないかってことです。

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