病気について

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昔からこのブログを見てくれている人なら周知のように、あるいはこのブログの「双極性障害」カテゴリや「BPDO」タグを見てもらえば、(多くの記事がパスワード保護されているけれど)お分かりいただけるように、僕は双極性障害という病気を抱えている。昔の言い方だと、躁うつ病ということだ。そして、この病気であるという事実をプライベートでもビジネスでも隠しているわけでもない。興味のない人にわざわざ教えることもないけど。

多くの人たちと仲良くしていただき、毎日の生活が活発化している中、病気も非常に安定した状態だったので自分もちょっと油断していたが、ここにきてまた病状が怪しい雲行きとなりつつある。他人様に理解してもらおうなんていう期待は全くしていないし、とくに健康な人には絶対に理解してもらえない病気だから仕方が無い。ただ、いまの自分にどのようなことが起きつつあるのか気になる方には、これを読んでおいてもらえればと思います。

「心の病気」なんてオブラートに包んだ表現をするまでもなく、僕は医者から正式に精神病だと診断されている。エミール・クレペリンが三大精神疾患のひとつと定義し、現在も統合失調症と共に「二大精神疾患」と呼ばれているもののひとつ、双極性障害という病気だ。英語では Bipolar disorder と言う。

生涯有病率(一生のうちに患う確率)は0.2~0.3%(1000人に対して2〜3人)と低い。(名前は似ているが異なる病気の「うつ病:major depression」が8~30%、統合失調症が1%)

病態から、うつ病と誤診されるケースが多く、僕の場合も長い間うつ病として治療を受けてきた。なかなか病状が良くならない日々が続き、ある時心を決めて他の病院へ行き、双極性障害の可能性が高いというセカンドオピニオンを得た。その後、主治医からも双極性障害であると診断された。

躁状態から病気が始まれば判別は容易であるが、うつ状態から始まると、うつ病や非定型うつ病と区別しにくく、明確な躁が現れるまで適切な治療を行うことが困難である。親が双極性障害の場合、本人が自覚的にはうつ病であっても、医師に親の傷病の状況を伝えることが望ましい。

病前性格はうつ病のきまじめ・完璧主義(メランコリー親和)と異なり、社交的・板ばさみ状況を呼び込みがちなどの傾向(循環気質)が見られるとされる。発生率は、うつ病とは異なり顕著な性差は見られず、ただ、急速交代型は女性に多い。

双極性障害には2つのタイプがあり、それぞれ双極I型障害と双極II型障害と呼ばれている。僕はII型。

現代医療においてこの病気を完治させることはできない。原因は究明されていないが遺伝性が高く、うつ病とは全く異なる。また、再発する確率が非常に高いため、再発予防のために生涯にわたり薬物投与が必要となることが多い。僕の場合も毎日予防のためにリチウムを飲んでいるけど、医者に尋ねたら一生飲み続けなければならないかもしれないし、突然なんの予兆もなく治ってしまうこともあると聞いた。

双極性障害は「躁状態」と「鬱状態」をくり返してしまうという病気だが、I型とII型の違う点は、躁状態の度合いだ。I型の「躁状態」は、下記のように危険が伴う。

躁状態とは、気分の異常な高揚が続く状態である。躁状態の初期には、患者は明るく開放的であることもあるが、症状が悪化するとイライラして怒りっぽくなる場合も多い。本人の自覚的には、エネルギーに満ち快いものである場合が多いが、社会的には、種々のトラブルを引き起こすことが多い。DSM-IV-TRによる躁状態の診断基準は、以下の症状が3ないし4つ以上みられる状態が1週間以上続き、社会活動や人間関係に著しい障害を生じることである。

  1. 自尊心の肥大:自分は何でもできるなどと気が大きくなる。
  2. 睡眠欲求の減少:眠らなくてもいつも元気なまま過ごせる。
  3. 多弁:一日中喋りまくったり、手当たり次第に色々な人に電話をかけまくる
  4. 観念奔逸:次から次へ、アイデア(思考)が浮かんでくる。具体的には、文章の途中で、次々と話が飛ぶことなども含まれる。
  5. 注意散漫:気が散って一つのことに集中できない。落ち着きがなくなり、心拍数が増加する。
  6. 活動の増加:仕事などの活動が増加し、よく動く。これは破壊的な逸脱行動にも発展しうる。
  7. 快楽的活動に熱中:クレジットカードやお金を使いまくって買物をする、性的逸脱行動に出る。

対してII型のそれは、「軽躁状態」あるいは全く躁状態が無い。

また、鬱状態とは以下のような状態を指す。

双極性障害の鬱状態は単極性の鬱病と症状は似ているが、破壊的衝動のエネルギーを自然と内在するという点で、単極性の鬱病に比べ危険な傾向が強い。また、うつ病は完全な鬱状態だけでなく、中途半端に薬によりエネルギーが回復した時にも自殺が多いとされるが、双極性障害の鬱状態は躁状態へと切り替わる過程で、抗うつ薬なしでもおのずとこの状態へと変移するものと言えなくもない。なお、通常の鬱病と違い、抗不安薬の効果はほぼ期待できない上に、悪化(躁転)する恐れがあるため、その点でも違いがある。基本的に双極性障害の鬱状態は、難治性だと言える。

さらに、躁状態と鬱状態が混在した「躁鬱混合状態」もある。

鬱状態の特徴と躁状態の特徴の両方を有し、気分の高揚と悲観的な気持ちが融合している状態を指す。患者は常にイライラし、焦燥感を覚えながらも無気力で、睡眠欲は減退し、身体は疲弊する。さらには異常行動が見られ、破壊的である。この状態においても自殺の危険は他の精神疾患に比べ高い。I型、II型ともにみられる。ただし、軽度の混合状態は、躁状態、鬱状態でも傾向的に見られるものである。

病気の原因。

関連遺伝子を多数持ち潜在的リスクのある人が、ストレスなどの外的要因にさらされた時に発生するとされ、統合失調症と同様に、ストレス脆弱モデルという概念で説明される。しかし、メンデルの法則が厳密には当てはまらないこと、一卵性双生児であっても発症の有無は70%程度しか合致しないことから、完全な遺伝病とはみなされない。遺伝要因があっても生活習慣で回避できる可能性があり、軽躁的なライフスタイルや薬物乱用、ストレスを避けることが重要である。

物理的には双極性障害は、脳細胞の細胞膜内外でのカルシウムイオンの調整能力が変調をきたす病気であるとの説があり、リチウムやバルプロ酸が、カルシウムサイクルのどこに作用することで病気を改善する効果があるのか、研究が進められている。

多くの芸術家が双極性障害であったとされており、病跡学の観点からも、実際の患者プロフィールからも、芸術の才能や趣味との関連が指摘されることもあるのだが、確たる証拠があるとは言いがたい。

躁状態の弱いII型患者で反復性の鬱であったり、初期症状で軽度の鬱が持続していたりする際に、コンサートや美術鑑賞に行ったり語学教室に通ったりという行動が見られると、自己愛的な性格と勘違いされやすい一面も持つ。ただし、古典的な双極性障害患者像は循環気質と呼び、他人にも受容的な八方美人の傾向があるとされ、自己愛が他責と結びついているわけでもない。

心の状態変化に伴う世の中の見え方の変化ついてはこちらの記事を見てもらえば一部想像してもらえるかもしれない。

コメント

  1. よも より:

    I型っぽい気がするけどⅡなの?

    • うずら より:

      まあIとIIは完全に分かれているわけじゃないからね。
      中間くらいなのかもしれないし、もしかしたらIなのかもね。
      うちの先生、そういうの細かく診断してくれないよね。