さだまさしの名曲「風に立つライオン」に初めて出会ったのは記憶が正しければ中学生の頃だから、この曲が世に出て間もない頃だったのだと思う。父がさだまさし好きで、父に教えてもらったのが先か、それとも中学生の頃家族全員でさだまさしのコンサートに行ったことがあるのだがそれが先か、そこまでの詳しい記憶はない。
ひとつ覚えているのは、この曲はいとも簡単に、当時の思春期の分厚い心の壁を打ち破り、まるで東大寺の鐘の中に入って鳴らされたような衝撃を与えられたのだ。なぜか胸がいっぱいになり、あふれる涙が止まらなかった。
この歌では「いま」を生きることに妥協できない純粋で不器用なひとりの男の姿が描かれている。
僕はそれほど熱心なさだまさしのファンではない。さだまさしの曲と僕の関係性はいつも付かず離れず。でも人生の分岐点で道に迷ったり苦しんだり悲しんだり喜んだりしているとき、なぜかいつも、さだまさしの曲が近くにあった。
さだまさしは映画などでこさえた多額な借金を見事に返し切った。おかげでライブ回数はなんと42年間で4300回を越えたらしい。もちろん借金返済のためというのは、さだまさしらしいブラックジョークなんだろうけれど。
お金の問題をクリアしたさだまさしにお願いしてみたいことがひとつある。それは「風に立つライオン」の歌詞(できれば曲)を、パブリックドメインに寄贈してもらえないかということだ。僕はこの曲に何度も勇気をもらい、救われてきた。きっと同じような人がたくさん現れるに違いない。
風に立つライオンの主人公はアフリカに行ったけれど、日本にいながらして、ライオンになる決断をしている人もいる。日本にはライオンはいないからニホンカモシカかな。それとも絶滅したニホンオオカミかな。
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