ボリビア。日本からいちばん遠い国。
僕はボリビアでまた、試される。
先進国へ進出することについて、答えは出ていた。イエスだけど、今はノーだ。
最近わかってきたこと。世の中に価値を与えれば経済は自然に流れるのと同じように、僕はビジネスで成功することよりも、自分がやりたい生き方で生きることができていることを優先する。
すべては5歳のあの日、目の前で潰れてしまったイチゴの体験につながる。あの日から僕は、たったひとつの生きる目的をブレさせずに生きてきた。
若い頃は欲張るものだ。同時にたくさんのことを実現したいと願うものだ。僕もたくさんのことを望んでいた。しかし今残っているのは、そのたったひとつの願いだけなのだ。
すべての人が笑顔で毎日を幸せに暮らしていける社会を作ること。
それが僕の願いだ。
長い旅路をひとりで闘ってきた。失敗も挫折も数え切れないほど味わった。しかしどれだけ転んでも僕の目は前を向いていた。どんなに苦しい時でも、絶望に打ちひしがれている時でも、1ミリでもいいから前に進もうとする想いが途切れることはなかった。
妥協しなかったことが、今の幸福感につながっている。
ボリビアで解決できそうな課題は、すでにいくつか見えてきている。現地の人たちと話をするのが楽しみだ。
ボリビアから南米各地に広がると同時に、国内で今まで関わってきた地域とも繋がっていく絵が見える。
僕にとって忍耐とは、ただその場に止まって耐え切ることではない。耐え忍びながら、次の一手を繰り出すチャンスを虎視眈々と狙うのだ。次のチャンスを見つけたら必ず切り込むと決めることが大事だ。
リスクの扱いがまるで違う。切り込まずに倒れゆくリスクと天秤にかけてそれよりも重いリスクなどない。勝とうが負けようが、チャンスのために耐えてきたそのバネを、たったひとつのチャンスを逃さずに完璧なタイミングで繰り出すのみ。
それで失敗しても次があるのだ。
失敗経験から学ぶことを繰り返していくと、自ずと得ることがある。それは、同じ失敗をしないための対策の積み重ねの結果、どんな環境でも失敗しない、強い自分が育つことだ。極めていくと、失敗したくてもできないくらい強くなる。
そこで初めて言える言葉は、ドクターXと同じだ。
「わたし、失敗しないので」
日本という狭い地域で失敗しない自信がついたら、次は世界だ。
僕はお金を作ることよりも、ひとつひとつのビジネスで価値を収めることよりも、自分が強くなることを大事にしている。
なぜ強くなりたいのか?
それは冒頭に書いた願いがあるからだ。
とてつもなく大きな願いであることは分かってる。ずっとずっとそのことについて考えてチャレンジしてきたから。これから先の人生にも高いハードルがたくさんあるだろうということも、容易に想像がつく。
でも僕は負けない。倒れずに、生きている限り常に目は前を向いて、少しでも前に進むことを諦めない。この決意は、たとえ神であろうと曲げることはできない。そして神がこの決意を曲げようとしないことも僕は知っている。
僕に与えられた毎日の時間、生きるはずのなかった時間を与えられている理由は、成し遂げて、受け取るべきものを受け取るためにある、と神は僕に言った。瀕死の救急車の中で僕に2度もそれを伝えた。
ボリビアで何が待っているのかなんて予測できない。でも僕が確信しているのは、そこに行けばわかる何かが僕を待っているということだ。
そして南米は、より大きなステップのための第一歩でしかないことも知っている。
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