人生をクエストに例えてみる

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とあるゲームがある。
クエストと呼ばれる「お使い」をこなして、報酬をいただくことができる。

街の掲示板には、さまざまなクエストが掲示されている。
それを主人公であるあなたは受託して、クエストをこなしていくのだ。

クエスト1
表題:「卵をとってきて!」
難易度:★
推奨レベル:3
依頼者:街のオムレツ屋さん
内容:「卵が足りないので、卵を10個、街の北にあるファイヤーチキンの生息している草原からとってきてください」
報酬:100ゴールド、経験値100

クエスト2
表題:「幻の金属を探して」
難易度:★★★★★
推奨レベル:20
依頼者:街の鍛冶屋さん
内容:「聖剣エクスカリバーを作製するための材料、幻の金属チチンプイプイのかけらを5個集めてきてほしい」
報酬:1000ゴールド、聖剣エクスカリバー、経験値2000

クエスト3
表題:「北のほこらの魔王を倒して!」
難易度:★★★★★★★★★★
推奨レベル:50
依頼者:魔法研究所
内容:「世界中を恐怖に陥れている暗黒の魔王をやっつけてほしい」
報酬:100万ゴールド、魔法防具一式、魔法研究所の永世会員権、経験値500万

ここでいう難易度とは、「しんどい(difficult)」か「ラク(easy)」のことだ。
難易度が高いほど、報酬も大きくなる。

ここで問題は、街の掲示板をみても、それぞれのクエストが「楽しい(fun)」か「楽しくない(boring)」か判断できないところだ。やってみないとわからない。やったことがある人に聞いてみても、その人にとって楽しかったかそうでなかったかを聞くことはできたとしても、自分がやったらどうなのかはわからない。

現実世界も同じだ。
報酬にひかれてクエスト3を選んだとしても、つまらなかったら途中で投げ出してしまうかもしれない。
かといって「ラクだから」といってクエスト1ばかりやっていても、なにも成長しないしお金も手に入らない。

難易度が高くても楽しいクエストは、やりがいがある。
楽しく成長することができる。

・・・・・

ところで、この街には「クエスト代行屋」というお店がある。

クエスト代行屋のメニューは次の通り。

どんなクエストでも代理で実行します!
代金は、クエスト報酬のゴールドの半額!

クエスト1なら50ゴールド、クエスト2なら500ゴールド、クエスト3なら50万ゴールドで代行してくれるようだ。

あなたは代行屋に頼むことにした。

お金は儲かるし、経験値も手に入るし、アイテムもどんどん手に入る。
代行屋に頼んで儲かる。
やめられなくなる。

・・・・・

さまざまなクエストを代行してもらってこなし、レベル99になり、地位も名誉も名声もお金も得たあなたは、ある日、街の掲示板を見て新しいクエストが掲示されていることに気がつく。

クエストX
表題:「姫の救出」
難易度:★★★★★★★★★★★★
推奨レベル:99
依頼者:王様
内容:「謎の魔法使いを倒し、さらわれた姫を無事に救出してほしい」
報酬:1億ゴールド、王位継承権、伝説の装備一式、一等地の大邸宅、経験値1億
このクエストは代行できません

あなたはこのクエストを受託することにした。
代行できないと書いてあるので、自分でやるしかない。
今までのクエスト(代行)で手に入れた強い装備を身に着け、金にものを言わせて必要な道具を揃え、魔法使いや僧侶を金で雇い、万全の準備をした。

いざ出発すると、まず、姫がいるという「西の山脈」への行き方がわからない。
いままでクエストはすべて代行してもらっていたので、街周辺ですら土地勘がないのだ。

あなたは実際の経験が少ないので、トラップには引っかかりまくり、途中ででくわすモンスターの弱点も知らず、途中で立ち寄った街の勝手もわからない。夜になるとモンスターが凶暴化することや、「混乱の魔法」を受けるとどんなにレベルが高くても危険であることも知らないし、毒をくらったら解毒するにはどうしたらいいのかもわからない。

やっとの思いで魔法使いのところまでたどり着いたあなたは、魔法使いのさまざまな攻撃をうまくかわす手段も知らない。
仲間に頑張ってもらおうと思っても、所詮は雇われの仲間たち。いままで苦楽を共にしてきた仲間ではないので、ギリギリのところで皆、逃げ出してしまった。

いくら「経験値」を稼いで「レベルアップ」していたとしても、実際の経験がなければ役に立たない。

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