『人はさまざまな制約の中で戦っている』。
東京ビッグサイトの見えるベンチに座りながら、ふとそう思った。
言うは易し、行うは難し。
経験の伴わない言葉は空虚に消える。
第109回薬剤師国家試験。
今年Aが受ける会場はここ、有明だ。武蔵野大学の有明キャンパス。
彼女もまた、さまざまな制約の中で戦ってきた。
僕もそうだ。
制約のほとんどは環境がトリガーになるが、それを受け入れるか否かは本人の問題である。
それを自分の意志で覚悟をもって受け入れているかどうかは、僕にとってはとても大切なことだ。
例えば今僕が日本にいる理由は、はっきりしている。Aがいることと、猫がいること。
でも不思議なことに、それで日本にいて良かったと思えることがたくさん起きる。
つまり、意識できていた理由はAと猫だけど、結果を振り返ってみれば理由はたくさんあったということになる。こうした経験は無意識という、覚醒状態にある我々には認知し難いものと深く関わり合いがあることを僕は経験則から学んでいる。
人によってはそれを運命とかご縁と呼ぶのかもしれない。
兎も角どうあれ、自らの意思決定による選択には後悔は伴わない。それだけは間違いがないようだ。
世界中を飛び回って、世界中に友達を作りたい。これは僕の願いのひとつだ。
世界に飛び出さないでいる今、面白いことに日本にいながら世界中の人と友達になる機会をたくさん得ている。
そして僕にとって、世界を飛び回ることよりも優先事項があるらしい。
家族、パートナー、友人たちとのつながり。
考えてみりゃ当然だ。日本にいる友達を大切にできなくて、どうして世界で友達を作れるだろうか。
いま日本は病んでいる。
複雑な問題だ。
日本は経済的には恵まれている。
GDPで豊かさを測るなんてあまり意味がないが、GDP世界一はアメリカ合衆国。僕はあの国のことを結構知ってる。国が高い経済力を有していることと、国民が幸せであるかどうかは比例しないことを強く感じさせられるのが、昨今のアメリカだ。
第2位は中国。中国が経済的に豊かになったことで、果たして国民は幸せになっただろうか。中国出身の友達も多いから色々聞くけど、やはりお金と幸福は相関関係はあれど因果関係にはないことがわかる。
つい先日、日本はGDPでドイツに抜かれたらしい。
しかし、アメリカ・中国・ドイツを除く地球上すべての国は日本よりもGDPが低いのだ。
日本には皆保険制度もあるし、介護保険もある。さまざまな年金制度もある。法治国家として機能しており、問題を抱えながらも高いレベルでさまざまな課題をクリアしてきた国だ。
お金のない国では到底できないようなことができる。
いろんなことにお金が出る。
でも大切なのはそこじゃない。
お金が出るのにどうして日本は停滞しているのか。
そこについてより多くの人が等身大で受け止めていく必要がある。
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