このネジネジ。
これのことを僕は「ねじれドーナツ」と呼んでいたんだけど、相方は「これはねじれパンだ」と主張する。
こいつは一体ドーナツなのか、それともパンなのか?
そもそもドーナツって何?パンとの違いは?
ところでドーナツは英語で書くとdoughnutで、複数形だとdoughnutsだけど、みんなドーナッツって発音しているのに、どうしてカタカナで書くときは小さい「ッ」が消えてドーナツになるのだろう?僕が子供の頃はみんなドーナッツって書いていた気がするのだけれど、これはもしかして僕の祖父母の世代がオレンジのことをオレンヂと書いていたようなものなんだろうか?
ドーナツとパン、調べてみると材料はほとんど違いがない。
でもおかしいな。パン屋さんのドーナツと、ドーナツ屋のドーナツには何か決定的な違いがある。
そう、ふっくら加減が違う。
どうしても、ミスタードーナツのオールドファッションと、この「羊男のクリスマス」にも出てくる「ねじけ」(パンなのかドーナツなのかはっきりするまで、そう呼ぶことにする)が同じ食べ物には思えないのだ。
この話題になってしまったついでにもうひとつある。
あんパンとあんドーナツ。
あんパンとあんドーナツの違いは、まわりに砂糖がまぶしてあるかないかと、生地が揚げてあるかないかだ。
つまり、揚げたものがドーナツで、オーブンで焼き上げたのがパンなのか?
と、思いがちなのだが世の中には揚げパンというものもある。
給食によく出てきたアレだ。あれはしっかり揚げてあるし砂糖もまぶしてあるのに、パンである。
献立表にそう書いてあるのだから間違いない。
もしかして、パンとドーナツの違いというのは曖昧で、そのときの気分か何かで決めるものなのかな?
じゃあねじけはねじけでいいか、と思いかけたところで、思い出した。
「羊男のクリスマス」の中では村上春樹はしっかりと、ねじりドーナツと書いている。あのストーリーの中では、ねじりドーナツはねじりドーナツでなければならない。だって羊男はドーナツ・ショップで働いていたし、羊博士はシナモン・ドーナツが大好きで、だからこそこのねじれドーナツがもしパンだったらストーリーの展開上まずいことになる。 あるいは羊男の働いていたドーナツ・ショップは、これがパンでもドーナツでも全然構わないようなゆるいお店だったのかもしれないけどね。
いろいろ調べているうちに、ひとつの結論が出た。
はじめに書いておくと、インターネットには間違っている情報もあふれているということを、とてもよく実感できる調査だった。クックパッドみたいなところに、堂々とドーナツなんて書いてあるレシピが、じつはドーナツじゃなかったりするのだ。
結論を書こう。パンは、イーストでふくらませたものだ。それをオーブンで焼き上げたものだ。
そしてドーナツは、イーストでふくらませない。そして、焼かずに生地をそのまま油で揚げるのだ。
はじめのヒントは、記憶の中にあった。子供の頃に読んだ学研の「ひみつシリーズ」に、パンが生まれるまでのお話があったのだ。いまでも絵柄が思い出せるほどしっかりと覚えている。確か、メソポタミアかどこかで、小麦で作った生地を熱い石の上で固めたのが始まりで、初期のパンは発酵のため酸味があったと書いてあった。時代とともに、ふっくらとふくらませる技術が発達して、いまのパンになったのだ。だから、パンに「イーストでふっくら」と「焼く」のふたつは、欠かせない。
いっぽう、ドーナツについては、よくわからない。調べてみると、どうやら菓子の発展形である。だから、揚げるという行為は欠かせない。イーストについて記述は無い。事前に焼くこともない。
問題は、現在この手の食べ物の分類は、パンとドーナツだけではないところにある。
パンでもドーナツでもないものがあるのだ。
何と呼んだらいいのかわからないので、ドーナツパンとか、パンドーナツとか、適当に名前をつけておこう。
このドーナツパン(あるいはパンドーナツ)は、ドーナツとパンのハイブリッド。
パンのくせに、揚げてある。
ドーナツのくせに、イーストでふっくら焼いてある。
イーストの入った生地をふっくらと焼きあげて、さらに揚げてしまう。
だから、あんドーナツは性格には「あんドーナツ(パン)」であり、このねじけは、ねじれドーナツ(パン)あるいはねじれパン(ドーナツ)である。カッコの中は発音しない。
給食で出た揚げパンはどうかというと、パンを揚げるという、まさにこのハイブリッドモデルの工程を名前で表現しているので、揚げパン(ドーナツ)とは言わないだろう。揚げパンドーナツと呼ぶのは、韓国の「チゲ」を「チゲ鍋」と呼ぶのに等しい間違いなのである。(「チゲ」は韓国語で「鍋」の意味らしい)
あえて違う呼び方をするとしたら、コッペパンドーナツが正しいのだ。
ところで先日、どこかのJRの駅を歩いていたら「油で揚げないドーナツ」のお店があって、なかなか繁盛していた。油を使わないのでヘルシーなことがウリらしい。しかし揚げていないドーナツは、ドーナツなのだろうか?
焼きドーナツとあるが、これはただの、イーストのないパンではないのだろうか。
それから最近、生ドーナツなんてものも人気があるらしいけど、これも揚げていない。ドーナツではないのだ。
しかしドーナツというのは、日本では人気の食べ物だとつくづく思う。
クリスピー・クリームも当初はものすごい行列だったし、何かにつけては「新しいタイプのドーナツ」に行列ができるのだ。
ところで日本ではミスタードーナツが繁盛していて、ダンキンドーナツはまるでダメだけど、本場のアメリカでは逆だ。20年前にダンキンドーナツがミスタードーナツを買収してしまった。
そうそう、ミスタードーナツといえばこのDポップ、
ドーナツのまんなかの穴をあけたときにくり抜いた生地を使って開発された商品なのだ。
今はもう専用の機械でぽんぽん作ってるらしいけど。
すばらしいアイディア商品。エコだね。
コメント
私は・・・揚げパンかな?あんまり名前呼んだことないですw
そういえば最近そういうパン見かけてないです@@;
目に入ってないだけかしら?
見かけたら名前チェックしてみます!
> クリスさん
なにー!第三の意見がw
こういうパンは、パンやさんに行けばあるとおもうよ!
主食がパンでおやつがドーナツだ!
> ちゃぼ
パンが無ければドーナツを食べればいいじゃない!
ですか。