ずっと前から言い尽くされてきたことだけど、ゴミの分別には、現時点では何も意味がない。
正月にも有名な学者さんを集めて、テレビでやってました。
いま仕事をしている客先のビルでは、とにかく細かくゴミの分別を要求される。
ペットボトルなんて、フタと本体とラベルを別にしなければいけない。
ゴミ分別が現時点で無意味なことは理解していたが、
TVで堂々と学者がこぞってそれを主張したのは、初めて見た。
いままで自治体を信用して、ゴミの分別にまじめに取り組んできた人たちには、腹立たしい番組だったに違いない。
しかし身近には、ここまでの事実があるにもかかわらず、
エコのためにはごみ分別が必要だと主張する人がたくさんいます。
みなさん御存じだろうか。
分けたゴミは、結局のところほとんどがまた一緒にされて燃やされるのだ。
みなさん、ゴミ焼却炉って、何を燃料にして燃やしてると思いますか。
石油をぶっかけて燃やしているわけではありません。
ガスバーナーで焼いているわけでもありません。
ゴミ自体に着火して燃やしているんですね。
まあ、当然ですね。
では、紙(段ボール)やプラスチックが取り除かれたごみ(つまり生ゴミ)に火をつけて、燃えますかね。
燃えないですよねー。
いま世間で問題視されているダイオキシンは、低温でゴミを焼却すると大量に発生します。
ゴミは高温で燃やすと安全なのですね。ダイオキシン的な理由だけでなく。
不完全燃焼は、有毒ガスの原因になるわけです。
燃焼したあとに残る灰も、完全燃焼後のものは、白くてサラサラした灰になります。
そうでないものは、黒い灰ですね。完全に燃えきっていない。
ペットボトルなどのプラスチックごみは、よく燃えます。
ごみ焼却のための燃料になるのです。
だから、わざわざ分別したペットボトルを、また一緒にして燃やしてる。
その分別/戻し作業にかかっている税金は、相当なものらしい。
なんでリサイクルしないのか?
まず、ペットボトルは洗浄しなければそのまま再利用できません。
これは、ジュースがガラスのビンに入っていた頃と同じ。
ペットボトルを分別して出す自治体の方々は、きれいにボトルを洗ってから出しているようですが、もちろんその程度の洗浄で再利用できるはずがない。きちんと洗浄・消毒しないと使えません。
でもペットボトルは石油製品なので、下手な化学薬品を使うと、溶けてしまいます。
また、その化学薬品の調達には、お金がかかります。
そして、使い終わった化学薬品は、どこに捨てればいいのでしょう?
ペットボトルを粉々にして、溶かして、また新しいペットボトルを成形する材料にするという方法もありますが、
石油原料から一発で作るのに比べ、何倍ものコストがかかります。
単純に考えても、使用済みボトルの回収、不純物の除去(ラベルとかキャップとか)、もしかしたら簡単な洗浄も必要かも。
溶かしたボトルにはゴミなんかもついてるだろうから、フィルターを通す必要だってあるだろうし
熱して溶かすなら、そのための燃料も必要だし。
こうした様々な問題がクリアできない現在、ペットボトルの再利用は、非現実的です。
ちなみに自分は大昔、IT業界に入るまえ、プラント設計業界にいました。
鹿児島県で、とある実験プラントのプロジェクトに参加し、設計と現場管理に携わったことがあります。
スタイロフォーム再生プラントです。
発砲スチロールを回収し、プラスチックの原料となるチップに再生するための工場です。
ですから、再生にはいくつものプロセスがあって、お金がかかるし、決してエコとは限らないということは十分承知しています。
たとえば回収。
他のゴミとは別にしておく必要があるので、ゴミ収集車に放り込むわけにはいきませんよね?
だから、別のトラックで収集する必要があるのです。
発砲スチロールの場合、重量に対して体積が大きい(軽いのにかさばる!)ので、そのままではトラックにたいした量が載せられません。
かといってトラックで何往復もしていたら、人件費、ガソリン代は増える一方だし、トラックは走っているだけで大気汚染するものです。
そこで考えたのが、トラックに、発砲スチロールを溶かす装置をくっつけることでした。
回収用のトラックは、それを使って回収しながら発砲スチロールを液化してドラム缶に詰められます。
これで、かさの問題はほぼ解決。
ペットボトルも同じではないですか?
いくら頑張って潰してみたところで、中は空洞です。軽いのに、かさばる。
しかも、フタを別にして出すなんていったら、ボトルの中の空気を抜いてから栓をして、つぶれた状態を維持することもできません。
回収が済むと今度は、加工に適した品質にしなければなりません。
発砲スチロールの例では、すでに液化していますが、その前にはたとえば、発砲スチロールにゴミがついていないかとか、ステッカーやラッピングなどの余計なものがついていないかを確認する作業があるのです。手作業です。
ペットボトルは普通そのままの姿で回収されていますから、液化できる状態にする必要があります。
たとえば、ラベルを剥がしていないボトルがいくつかあるだけで、溶かした時の成分が変わってしまいますよね。
フタを取り忘れたボトルがいくつあるでしょうか。
もしかしたら、まだ中に飲み物の残りが入っているボトルだってあるかも。
そんなものをまぜて材料にしたら、まずいことが起きるのは素人でもわかりますね。
ここで手作業による確認が必要になります。
機械で自動的にそういったものを除去できるのなら、そうするでしょう。
でも、機械で自動的にできるのなら、わざわざゴミを出すときに、分けてから出すルールにはしませんよね?
そうです、機械には、剥がされていないラベルをはがしたり、たまについたままのフタをとったり、たまに残っている中身を捨てたり、できないのです。
厳密にいえばできなくもないですが、そんなことができる機械を開発したら、ものすごいお金がかかります。
さて、不純物を取り除いたら、液化です。
材料を溶かして、新しい形になれるようにするのです。
発砲スチロールは、当時新開発の特殊な液体に漬けるだけで、液化できました。
(実はこの液体が発明されたことで、その再生プラントの話が現実化したのでした)
ペットボトルはどうやって溶かすかご存じでしょうか。
まずは、破砕機にかけて、粉状にします。(粉体化)
そのあとは、材料を何に生まれ変わらせるかによって工程がちがいます。
まあ共通しているのは、溶融しなければいけません。
そのためには化学薬品も必要だし、熱も必要です。
熱だって無料じゃありません。エネルギーが必要なんです。エコじゃないですよ全然。
一般的に、ペットボトルの再利用では、プラスチックの射出成型用の材料にするのが一番効果的だといわれています。
しかし、射出成型に利用するには、ペットボトルを溶かして作った液体はちょっとばかし、ネバネバすぎるのです。
これは、ペットボトルに含まれるポリエチレン系の樹脂が、かなり高温じゃないとサラサラの液体にならないためです。
じゃあ高温で温めればいいじゃん!って思うかもしれませんが、すると燃料がもっと必要になるんです。
対策としては、高温で熱する必要がないように、問題の樹脂がサラサラになるための加工を行う方法があります。
これだって設備代、エネルギー、薬品、いろいろ必要なんですけどね。
とにかく、一度製品として加工されたものを材料に戻すというのは、いろいろ大変です。
昨晩作ったカレーの中から、じゃがいもだけ取り出して水洗いして、マッシュポテトにして今晩のおかずにするようなもんです。
上記のように考えると、ペットボトルの再生ってひとことで簡単に言うけど、実際には大変なことだというこがわかると思います。
でも、燃やしたらダイオキシンが出るんでしょ?
はい、出ます。
ダイオキシンって、有毒なんでしょ?
はい、フグ毒よりも毒性が高いです。
ここで問題なのは、発生量だと思います。
でもここで大事なのは、
「燃やしてダイオキシンが発生するのは、ペットボトルだけではない」
という事実です。
ダイオキシンは、塩素が存在する状態で、有機物を燃焼させたときなどに発生します。
しかし詳しいことはよくわかっていません。
ペットボトルを燃やさいことで抑制できるダイオキシンの量とは、いくばくのものでしょうか。
それよりも、ゴミ全体を減らすほうが重要だと思います。
ちなみに我が家は、2人暮らしにしてはゴミの量が多いです。
これは、犬を4匹飼っていることも大きいですが、買い物をしたときの梱包なんかも大きいです。
過剰包装、ほんといらない。
人間、生きてる限りゴミを出すのは仕方ないことです。
しかしまあ、正月明けのゴミ集積場の様子とか、
駅前の大きな屑籠が、毎朝いっぱいになっていることとか、
そういうものを見ていると、あのゴミは一体どこへ消えていくんだろうか、
そして、あのゴミよりも多い量が、毎日消費されていて、
その消費の一部は、有限な資源なんだよなと
漠然ながら不安になるのでした。
最後に、日本で発生しているダイオキシンの量を考えてみましょう。
単位は、g-TEQ/年です。
TEQというのは、ダイオキシンにもいろんな種類があって、その種類ごとに毒性が違うので、いちばん毒性のたかい2,3,7,8-TCDDという種類のダイオキシンの毒性に換算した単位です。
年間合計: 約5,140~5,300
一般焼却: 4,300 (全体の約80%)
産廃焼却: 547~707 (全体の約10%)
金属精錬: 250
石油添加剤: 20
たばこの煙: 16
黒液回収ボイラー: 3
木材・廃材焼却: 0.2
自動車排ガス: 0.07
製紙: 0.7
PCNB: 0.06
日本人が摂取しているダイオキシンの平均量は、
体重1kgあたり、26~177pgです。(1pgは、1兆分の1グラム)
食べているものによってかなりの差がでるので、これだけ数字に幅が出るそうです。
しかしダイオキシンは、その毒性だけでなく、遺伝子に対する影響だとか、アレルギーの原因だとか、別の側面での危険をもつ可能性が指摘されていますから、やっぱり減るに越したことはないでしょう。
でも、ゴミ分別はほんとどうにかしてほしいわ。
コメント
プラスチックに関しては、(プラマークがついているもの)製造者が国や地方自治体にリサイクル費を払っているそうです。なので、プラスチックをリサイクルせずに燃やしてしまうと、今度は、製造者から国に苦情が来ます。だから燃やすわけにはいきません。(まぁ日本全国で、「プラスチック製容器包装を燃やすゴミにする」って統一すればいいんですけど)でも、そうすると高温で燃やせず、ダイオキシンが出てしまいます。それを防ぐことは出来ています。なぜなら、プラマークがついていないものは、「燃やすゴミ」ですから。なぜなら、プラゴミは、「プラスチック」ではなく、プラスチック製容器包装ですから、国にリサイクル費を払っていないからです。さらに、紙の方も、アイスの箱や、洗剤、ピザの箱などの汚れている紙は、リサイクル後の商品に支障が出るため、「燃やすゴミ」になります。なので、焼却工場では、生ゴミだけではなく、洗濯バサミや、ビデオテープ、おもちゃ(プラスチック製の商品)や、分別されていないもの、さらに、ピザやアイスのカップなども入っているわけですから、ダイオキシンはあまり発生しません。ゴミ収集車は、天然ガスなどの低公害車が増えてきています。ペットボトルは、収拾車の荷台で潰されるので、あまりかさばらないと思います。確かに、キャップやラベルは人の手で、やらなきゃいけないので、解決不可。プラスチックを溶かすときの熱は、焼却工場の熱を使えばエコで無料です。横浜市の場合ですが、焼却工場の熱で温水プール、発電を行なっています。ほかのことも、横浜市の場合です。
コナンさん
なるほど、横浜市では、そうなんですね。参考になります。ありがとうございました。
日本で1番目か二番目くらいに分別が厳しいので、大変です。分別しないものに罰金が課せられる場合もあります。2000円位だったと思います(何らかの病気などで、分別が困難な方はいいそうです)たまに開封調査もやっているそうで・・・分別されていないゴミは、回収せずに、「分別されていません」という、以下のサイトの画像の紙が貼られます。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20110119/105695/
また、「収集できません」という、粗大ゴミや、家電リサイクル法で定められている冷蔵庫・冷凍庫、エアコン、テレビ、洗濯機・衣類乾燥機等の電化製品などに貼られます。「収集日が違います」というのは、そのままの意味です。横浜市も昔はこんなに細かくなかったみたいです。