現役の据え置き型ゲーム機の市場は、任天堂、ソニー、MSと、三つ巴の様相を呈している。
ネット上の掲示板やブログなどでは、それぞれの支持者に派閥が分かれ、熾烈な罵り合いが日々展開されている。はっきりいってかなり醜い。なんでこんなに他社製品を罵るのか、心理状態がよくわからない。
以下のような方々がいらっしゃるのだと想像している。
- 特定のハードを買っちゃって、他のハードにお金がまわらない。なので、持っているハードがコケたら非常に困る
- とにかく会社が大好き。(MS命って人は、あんまり見ないが、任天堂LOVE!とかソニー命!って人は、よくみかける)
個人的には、ソニー神話はとっくの昔に崩れ去っているが。昔は、アップルコンピュータのような魅力のある会社だったのに。 - 日本製品至上主義
- 画質音質至上主義
- ハードウェア性能至上主義
ハードウェアの総合性能について。
まず処理能力をみると、ポテンシャルとしての性能差はあるのかもしれないが、単純にハードウェアの性能差だけで比較できない要素が多すぎる。あまりにも設計思想が異なる。
現在、それぞれのハードウェア向けに提供されている開発環境の差などを勘案した上で、市場に出せるソフトウェアの現実的な品質を比較してみると、目立った差は無い。
と、考えている。
実際、いま両ハード向けに出てるゲームを見ればそれが証明される。
Xbox 360の決定的な弱点は、記憶メディアでPS3に大幅な遅れをとっている点に尽きる。
まず、外部記憶メディアがDVDであること。SCEは、さまざまなビジネス的リスクがあったにもかかわらず、PS3にBDを搭載した。BD陣営の思い入れは知ったことではないが、技術的視点で評価する限り、本体の総合性能に見合ったものを選んだと思う。
しかし結局、BDの部品調達問題やら、BDのコストやらがPS3ビジネスの足を引っ張っている事実があるから、総合的に考えると微妙なのだが。これを言い出すと、結局HD画質レベルのハイエンドゲームを、お茶の間に持ってこようとする時期が間違っていたという個人的結論になる。
いくら誰がなんと言おうと(クタが、PS3の位置づけはゲーム機じゃないと言おうと)、事実上ゲーム機というものは、ゲームやコンピュータに精通した人たち「以外」の人たちがメインターゲットだったのだ。すくなくとも前世代まではそうだった。
PS2の世代で、過当競争になりつつあったが。
PS3世代では、ビジネスの自由競争による争いが、市場の要求を超えたところで加熱してしまったのだ。
だから、PS3は失敗し続けているのだ。
しかも、PCのようにパーツ交換できないコンシューマゲーム機が、性能を売りにして、何年もの間、市場に君臨することなど、できるはずがない。コンピュータ技術は日進月歩なのだ。
PSもPS2も、リリースされたときには、価格対性能でみて、当時のコンピュータとしては超高性能だった。でもそれはすぐにPCによって超えられた。
それでも売れ続けたのはなぜか。
外部記憶メディアの話で長くなってしまったが、次に、ハードディスク搭載の有無。これも、記憶メディアの問題だ。
PS3にもXbox 360にもHDDは搭載可能だが、決定的な違いは、「標準搭載」しているかどうかだ。
Xbox 360にはコアシステムという廉価版がある。このモデルは、ハードディスクドライブがオプション扱いなのだ。
これがどういうことを意味するかというと、市場においてPS2と同等だってことだ。
(PS2もHDDが別売りだが、これは時代のせい)
Xbox 360のHDDが標準ではない、ということがどれだけ重大なことかというと、
- HDDにインストールすることを前提にしたソフトウェアが出せない
これに尽きる。
ちなみに、もともとゲーム業界における販売網で力のないマイクロソフトは、近所のジャスコでも最低の扱いを受けている。ものすごく狭くて奥まったスペースにコーナーがあるのだ。しかも、店頭デモ機は、HD画質を見せ付けることができない、小さなテレビに接続されている。
だから、他の機種よりもマルチなチャンネルで販売戦略を展開する必要があるのだと思っている。その場合、Xbox 360の豊富なオンライン機能が生きてくるはずなのだが、ここで体験版やXbox Live アーケード以外に、本命ソフトのラインナップをダウンロード販売できないのは、上記の理由が大きいのではないだろうか。
それから、HDDにインストールするメリットをもうひとつ。Xbox 360の大きな弱点のひとつ「ドライブの回転による騒音が激しくうるさい」が回避できるのだ。
記録メディアの進化というものは、ハードウェアの世代交代にとって、とてつもなく大きなインパクトを持っていると思う。
カセットテープが、フロッピーディスクになったとき。
ランダムアクセスを容易にした。全てメモリにロードしなくても、ゲーム中にロードが可能になった。ゲームが、コンピュータのメインメモリ容量に依存しない時代がやってきた。
フロッピーが、CDになったとき。
大幅な大容量化を実現した。それまでハードウェアの再生性能に音質が左右されたFM音源やPSGなどから、録音された生音をBGMに使う時代がやってきた、簡単なムービーを使える余裕ができた。
CD-ROMが実現する直前、フロッピーディスクで10枚組のソフトとか、ざらにあったものだ。
平行して、ROMカセットという選択肢があったが、当時はROMにかかるコストは非常に高く、コストメリットではCD-ROMに逆立ちしても勝てなかったのだ。
そして時代は進歩し、ソフトウェアがCD-ROM 1枚におさまらなくなってくる。
CD-ROMが出た当時、「CD-ROMに収まりきらないゲームの出現などありえない」なんて世論もあったが、見事に覆されたのだ。
たしかに当時のような開発手法でゲームデータだけでCD-ROMを埋めるのは凄いことだが、容量の大部分は動画、画像、音声になった。
そしてCD-ROMでも2枚組とか4枚組というソフトが出現しはじめた。
時代はCDから、DVDになった。
本格的なムービー時代の到来である。
先日購入した「ロストオデッセイ」は、DVD4枚組だ。
ムービーの多いゲームや、HD画質のゲームにとって、DVDたったの1枚というのは、容量がきつい時代になってきたのだ。
Xbox 360にとって、ここが将来どの程度影響してくるか。
PS3は買ってないけど、見捨ててもいない。
もうちょっと頑張れよ
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