被災地へボランティアへ行きたいけれど、県外・市外からのボランティアはお断りされている地域もあり、また、宿泊地や食料の確保まで自己責任といったところがハードルとなって躊躇われている方が多くいらっしゃることを、数多くのお問い合わせを通じて知りました。
僕自身、たったの数日間、しかも1地区でしか活動していないので、全体像を把握しきれていません。災害ボランティアに関する情報交換サイトは多数立ち上がっていますが、あまりにも多数すぎて、情報が一元化できていないようです。従って、ここではあくまで僕自身が経験した3月末~4月頭までの仙台市若林区でのボランティア活動の様子を、わかる範囲でお伝えしようと思います。
1. 準備
1-1. 現地への移動手段
列車・飛行機
仙台への列車による移動は、新幹線も東北本線も動いていない現在、不可能だと思います。また、飛行機は仙台空港が復旧するまでは期待できません。どちらも突貫工事で一日も早くサービス再開すべく工事が進んでいるようですから、もし復旧すれば時間的にも一番お勧めできる移動手段だと思います。
高速バス
現時点では一番おすすめの方法です。
多くの会社が仙台行きの高速バスを運行中です。ただし東北道が大きくダメージを受けており、バスがスピードを出すことができないため、通常よりも時間がかかります。
自家用車
自家用車の場合、多くの物資が運べる、車内泊できる、被災地での移動が楽、他のボランティア要員を乗せてあげることができるなど、便利な点がたくさんありますが、被災地の多くでは未だにガソリンの入手が困難な状況です。震災から3週間経ったいま、当初よりもガソリンスタンドの行列は緩和された地域も増えているようですが、都心とは違い現地の方々にとってガソリンは生活必需品。現地で給油することは避けたほうが賢明です。ですから、往復+現地の活動に必要な燃料を自前で用意できる人以外は、自家用車による移動は避けるべきだと思います。
また自家用車で長距離を運転してくる場合、現地に向かうだけで疲れてしまうので、到着後すぐに活動ができないというデメリットがあります。
1-2. 現地における移動手段
宿泊地からボランティアセンターまで移動する手段は自分で用意する必要があります。現地の公共交通機関について事前に調べておく必要があるかもしれません。折り畳み自転車等を持ち込めると便利です。自分が燃料!の自転車はとても強力な道具です。
1-3. 宿泊地
現地のボランティアセンターや市区町村役場に、宿泊施設の斡旋を期待してはいけません。現在、そのような斡旋を行っている地区は無いと思いますので、現地の方にご迷惑をかけないようにお願いします。ホテルの予約も非常に難しいと聞いていますし、家を失った被災者の中には、ホテル住まいしている方々もいます。場所によっては、公民館などの施設をボランティアの宿泊所として提供しているところもあるようですが、希望者が殺到するのをおそれて、空きを公示していないケースもあります。テント持ち込みをしているボランティアの方もいるようです。
1-4. 食料
活動期間中に自分が口にする飲み物、食べ物はすべて自分で準備する必要があります。僕の場合は前の記事にも書きましたが、今回は火や水を使わなくても食べられるものを前提に、以下のものを準備しました。(活動期間に対してちょっと多すぎたので、余りましたが)
- バナナ 2房
- りんご 2個
- カロリーブロック 5箱
- ゼリー飲料 5パック
- ロールパン 2袋
- 野菜ジュース 1ケース
- 魚の缶詰 5個
- 500mlペットボトルのお茶など 5本
1-5. 活動に必要な道具
以下のURLにある、宮城県発行の「ボランティアマニュアル」が役立つと思います。活動内容によっては不要なものもあるかもしれませんが、ご参考にしてください。
2. 活動内容
2-1. 登録から活動までの流れ
ボランティアスタッフとして登録
僕の場合は若林区役所で行われている募集に登録してきました。登録の際には、氏名、住所、電話番号、緊急連絡先、職業、年齢、性別、血液型(Rh型)、特殊技能(看護、介護、医療、建築、語学など)の有無、などの情報が必要です。登録が行われると、ボランティア保険に自動的に加入されます。万が一の事故に備えてのものです。ボランティア初日の方は、この登録用紙に記入したうえで、登録受付に並ぶ必要があります。自分の番号などが発行されます。
活動受付
登録が完了すると、今度は活動受付に並びます。活動2日目以降は、まずこちらに並ぶことになります。
受付されると、活動のために必要な名札が渡され、注意事項を説明され、次は待機所に移動します。
待機
待機所では多くのボランティアの方が集まっており、スタッフの方が大きな声で支援要請を読み上げます。「場所」「活動内容」「募集人数」などです。その活動に行きたい人は、自ら手をあげます。
ボランティアの支援要請は朝に集中しているので、午前10時くらいになると、ほとんど新規での要請は無くなってしまうそうです。早めに手を上げたほうがいいです。
チーム編成
活動は必ず複数人での行動になります。ひとりきりということは無いはずです。同じ場所に行くメンバーが決まったら、その中からひとりリーダーを選出します。すでに同じ現場での活動をしている人がいる場合、リーダーが既に決まっている場合もあります。リーダーは、すべてのメンバーの名前と連絡先が記入してあるカード(付箋紙)を集め、書類に添付します。
現地への移動
車を出せるメンバーがいる場合や、歩いて行くことができる場所を除き、現地への移動は、市区町村が用意したタクシーチケットを使ってタクシーで移動するか、ボランティアセンターが用意した自転車(あるいは自分で乗ってきた自転車)に乗って行くかのどちらかになると思います。
2-2. 活動
活動の種類
医療などの特殊技能を持っている人を除くと、現在要請がある活動はだいたい以下のようなものになります。
- 瓦礫や泥の撤去
- 家屋内の家具片付けや掃除
- 避難所の活動支援
要請は、公共機関からのものもあれば、企業や個人からのものもあります。瓦礫や泥の撤去作業は、かなりの重労働です。水をたっぷり含んだ泥はとても重たいですし、釘やガラスの破片などの危険物も混じっています。体力に自信のない女性などの場合は、スコップを持って作業するよりは、ゴミの片付けや掃除などの軽作業、あるいは避難所での活動支援(配膳、掃除、給油など)のほうが役に立てるかもしれません。
活動時間
どこのボランティアでもだいたい活動時間は午前9時~10時から、午後3時~4時くらいまでです。
疲労は事故のもと。無理のない範囲で作業を行いましょう。怪我などしてしまったら、士気も落ちますし、かえって迷惑をかけてしまうことになりかねませんから。
2-3. 活動後
毎日の活動後には、ボランティアセンターに戻り、活動報告をします。リーダーが行います。翌日も継続して同じ場所で作業を行う場合には、その調整があるかもしれません。
3. ボランティアの募集
3-1. 募集の確認
ボランティアの募集については事前にきちんと調査してから行きましょう。
地域によっては県外や市外からの支援は募集していない場合もたくさんあります。
また、よかれと思って支援物資を持って行っても、物資の種類によっては受け付けていない場合もあります。義援金についても同じです。
以下に、役立ちそうなリンクを掲載しておきます。
- 宮城県災害ボランティアセンター
- 福島県ホームページ - 寄付金・義援金・義援物資・ボランティアの受け入れについて
- 福島県災害ボランティアセンターのブログ
- 岩手県 - 災害ボランティアの募集について
- 茨城県 - 災害ボランティアに関する窓口
- 東北地方太平洋沖地震に係る支援について/千葉県
3-2. 今後の継続した活動
今は学生さんが春休みということもあり、全国の若い学生さんたちのパワーがボランティアセンターにあふれています。しかし春休みが終わると、ボランティアに来られる人の数は大きく減ると思います。
そして現地では、未だ手がつけられていない瓦礫と泥にあふれた土地がたくさんあります。まだ一般人が立ち入ることのできない地域もあります。それらの地域が開放されると、ボランティアの出番なのですが、その頃には人が足りなくなっているのではないかと、勝手に危惧しています。
以上、ざっとまとめてみました。直すべき点があれば適宜更新します。
コメント
写真が全部おかしいのは仕様ですか?w
@よも
何も間違えていません。
お疲れさまです。
ガソリンが供給できるようになるといいねー
軽い気持ちじゃ行けないね。
逆に迷惑になりそうだ。
@らーちゃん
ガソリンだいぶ手に入れやすくなってきたみたいだけどね。
木曜日にあった余震でまた停電してたりするし。
現地の人は本当に大変です。
@Chabo
おちゃらけた気持ちじゃ当然いけないけど、それほどハードルが高いもんでもないよ。
寝るところさえ何とかなれば。