治らない病気との付き合いは難しい。それは、闘うというよりは共存すると言ったほうが近い感じだ。こうした状況に置かれると、考えるのをやめたくなることがよくある。しかし今のままでは満足していないわけで、今後のやり方について考え続けていかねばならない。当然初めての試みだらけとなる。
まず、治療の目標。完治が全てではないはずだ。そもそも完治の定義がよくわからない。病気の診断(断定)もよくわからないけど。腫瘍のように見えるモノがあるわけでもなく、定義も掴みどころもよくわからないような病気に対峙すると、目標設定すら困難である。
ここでは、「治ること」と「上手く付き合いながら一生を過ごしていくこと」は同義であると考える。
今の薬を飲み続けていればいいじゃないかという意見もあるが、今の投薬によって完璧な予防はできないということは、調べた結果明らかだ。症状を遅らせたり和らげたりすることはできても、防止することはできない。いつかまた起きるのではないかというリスクを恐れながら生きていくのは、心から不安なことだ。安心して生きていきたい。
また、薬の副作用にも辟易としている。身体の震えや食欲の増減などのように直接身体的に影響のあるものから、精神的な問題も多い。たとえば物忘れが激しくなるとか、眠いとか、深く集中できないとか。
生活できてるんだからいいじゃん、という問題じゃない。自分も最悪の状況のときには、それくらいの副作用で済むならそれでいいと思ってたことがあるけど、いざ経験してみると辛いものだ。特に、自分の心がコントロールされている感覚が一番苦手だ。目の前で起きている自分の決断は、本当に自分の決断なのだろうか?と自問自答しながら生きていくことになる。
治療方針
トランキライザーの類をなるべく使用したくない。つまり、脳内物質を化学的にコントロールすることは避けたい。
こうした薬はすべてgive & takeだ。良いとこ取りができない。気分が安定する代わりに頭の回転が遅くなる。穏やかな性格になる代わりに物忘れが激しくなる。悪いことに対して鈍感になる代わりに、素敵な情景や人の感情に対しても鈍くなる。とても困る症状を抑える代わりに、他のとても困る副作用をもたらす。
要は、薬からの脱却を図りたいのだ。
失敗時のリスクを考えるとなかなか踏み出せないでいるのだが、恐れてばかりいては何も変わらない。
成功のメリット
- 副作用からの脱却
- 自信の獲得
- 常備薬に頼らない安心感
- 病気に対する精神的束縛感からの解放
失敗のデメリット
- 失職
- 生活の崩壊
- 破産
- 生命の危機
個人的には、双極性障害のモノアミン説を強く信じている。モノアミンとは神経伝達物質の総称で、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミンなど様々な神経伝達物質が存在するが、その中でも精神疾患と密接に関わりがあると言われているのが、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンだ。この3つの物質の三角関係は、人間の気分に非常に深い関わりをもっている。
セロトニン … 抗うつ、ドーパミンやノルアドレナリンの感情的情報をコントロール、精神安定、ホルモンとして消化器系制御、気分制御、睡眠覚醒同期、心血管系制御、痛みの認知、食欲制御。トリプトファンから合成。SSRI、SNRI、MAO阻害剤。セロトニンの再取り込みを阻害→シナプス間のセロトニンが増える→うつ症状の改善
ドーパミン … 過剰→統合失調症。不足→パーキンソン病。覚醒に関わる。中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。
ノルアドレナリン … ノルアドレナリン系における変化は憂うつに関係する。SNRIは、脳内のシナプス後細胞で、利用可能なセロトニンとノルアドレナリンの量を増加させることによって、うつを治療する。最近はノルアドレナリン自己受容体がドーパミンも再取り込みするかもしれないといういくつかの証拠があり、これはSNRIがドーパミン伝達をも増加させるかもしれないことを意味する。一部の他の抗うつ薬(例えばいくつかの三環系抗うつ薬 (TCAs) )もまた、ノルアドレナリンに影響する。いくつかの場合、他の神経伝達物質に影響しない(少なくとも直接ではない)。
こうした個々の神経伝達物質の機序を解明し、コントロールしようとするのが現在とっている治療。
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