明晰夢II

2日連続で明晰夢を見るのは初めてのことだ。

2日目も吉夢。この世のものとは思えない荘厳な建物(歴史の重みを感じさせるような造りで高貴な雰囲気なのに、建物が高層で未来的)。

先日とはまた異なる自室。素敵な部屋なのだが、造りが非現実的。家の中に木の階段があって、階下(別の住人の家)とつながっている。その階段はずっと下の階にも続いているらしく、つまりお互いの家の中を行き来できてしまうのだ。

自分の階にも、見知らぬ客がたくさんくつろいでいた。寝転んで肩肘をついている者もいれば、ソファでゆったりしている者もいる。

僕はその階段の先になにがあるのか知りたくて、そっと降りていく。するとシーンが変わって僕は外にいる。自室に帰ろうとして振り返ると高層ビルの荘厳な入り口があるが、果たしてこの建物で合っていたかわからなくなる。なにしろ隣の建物との境界線がよくわからない、不思議な造りをしているのだ。

確かここだったはず、と入り口をくぐる。10段ほどある階段を上り、さてどうしようかと見回すと、そこが美しい大広間になっている。目を奪われる。天井が見えないほど髙い。

和洋折衷の複雑なデザインの広い大広間に立つ。周囲の柱や梁の装飾は和の華美なもので、息を呑む。しばらく視ていると、梁が下にゆっくりと移動している。梁が動いているのではなく、今いる大広間がまるごとエレベーターのようにゆっくりと上昇しているのだ。あちらこちらに装飾など輝くもの、陰と陽、あらゆる色彩を神々しく使いこなした美。

上階の襖がゆっくりと自分の高さに降りてくる。僕はこれもまた美しい襖を開ける。言葉にできない薫りの香が焚かれている。高貴で、澄んでおり、体中の余計な力が抜けて、体が軽くなり、謙虚な心持ちになる薫りだ。

襖の先には畳の間がいくつも横に続いている。前には渡り廊下があり、欄干が渡されている。欄干の向こう側は、水墨画のようなこれまた息を呑むような世界が広がっている。小川のせせらぎのような、鳥のさえずりのような、なんとも表現しがたい音色。とても高貴な人のための場所だ、と感じ、ことわりもなく足を踏み入れてしまった非礼を恥じたところ、近くにいた女性が咎めるような視線を僕に送った。視た瞬間、この女性はこの階層を管理している方だとわかった。背中より視線を感じ、振り返る。顔がよく見えなかったが、平安時代の貴族のような服を纏った男性が微笑みながら、よいのじゃ、よいのじゃ、こちらに来て、一緒に眺めようではないか、と僕とその女性に言った。

その男性のほうに僕は近づいていった。畳の縁を踏まないように注意しながら歩いた記憶が印象的だった。近づくと、左斜め前のほうの帳が上に巻き上げられていくところだった。奥には赤い生地で覆われた幅広い階段があり、赤い生地は金色の飾り刺繍があり、美しいものだった。階段の左右には雛壇に飾るような雪洞(ぼんぼり)が薄明るく灯っていた。その中央から、真っ白な服をまとった女性が降りてきた。鴨居が視界を遮っているため、最初はつま先しか見えなかったが、ゆっくりと赤い階段を降りてくるにつれ、胸のあたりまで見えたところで目が覚めた。


明晰夢から覚めるときはいつも、失見当識になる。いまいる場所がどこなのか理解するまで時間を要するのだ。さっきまでいた場所から一瞬でこっちの世界に転移してきたような感じ。

時間は幻想で、無限の可能性を秘めた宇宙は、同時多発的に進行しているのだ。