わたしが qube cafe をやる理由

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qube cafeはいま、荒川区ですくすくと育っている。

同時に会社のほうも育ってきているようで、さまざまな課題が明確化したり、次のステップに求められていることが経営陣で共有できるようなシーンが多く見受けられるようになってきた。小さいながらも、方向性は誤っていないし、三方良しだ。

……というのは、あくまで僕の視点である。僕の視点はなかなか理解してもらえないことは経験上よく理解している。なのでここで、きちんと説明しておかなければならないと感じていることを説明しておこうと思う。

当社の社員からみたら、「林は会社成長の鍵となる大事な時期になぜ、カフェをやり続けているのか?」という疑問が少なからず存在するだろう。

カフェに出入りしている人からみたら、「林はこのカフェで何をしたいのか?」という疑問が湧いてきているはずだ。

それに対する答えは、たまたまQuoraに投稿した以下の質問への回答にある。

将来記事が消えてしまう可能性もあるので、転記しておく。


質問:

IT系の企業で「社員のスキル」を会社が把握する際に用いる、なにか体系だてられた手法はありますか?

回答:

わたしは国内外様々な企業で働いてきましたが、体系立てられた手法が存在します。

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ある米国系IT企業では、結果がすべてです。研究開発系の職はカスタマーサポートを通じた顧客からのフィードバックを分析して、チームや個人のスキルを評価します

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ある欧州系IT企業では、明確なキャリアパスが提示されており、どの道に進むのかによって、パスしなければいけない試験が規定されていました。試験の内容は技術的な内容の筆記試験や実機を使った試験もありましたが、上級になると世界中から試験実施のためのチームが編成され、個別にメンターチームが割り当てられ、何週間にもわたって仕事中ずっとメンターチームが付いて回ります。メンターは自分がチャレンジしようとしている役職あるいはレベルの先輩方から選ばれ、多国籍です。

メンター期間中、受験者は実務でどのように課題を乗り越えていくのかを観察されます。また、様々な課題を出されます。特定条件におけるビジネスの課題解決、社内外の人々とのコミュニケーションの取り方、計画の立て方、実行の仕方、すべてです。彼らは常にチェックシートを手に、共に行動します。単なるチェックだけでなく、印象なども文章として記録されます。

顧客との会議をロールプレイするような試験もあります。試験官たちは顧客の役になり、難しいことやめんどくさいことを投げかけてきます。それらをどう対応するのか、1ヶ月以上かけて審査されます。

この試験の最中、メンターはアドバイスもくれます。個人的に仲良くなれば、より良いアドバイスも引き出せるでしょう。こうしたことができるのかどうかも、評価に当然影響します。

試験期間中は業務をやらなくていいということもありません。試験の厳しいスケジュールをこなしながら、普段通りの実業務もこなす必要があります。

そのため、次のステージに進むことやランクアップすることを嫌がる社員もいます。面白かったのは、海外のほとんどの支社では、社員自らこの試験にチャレンジしたいと手を挙げるため、上司はその中から試験に臨む人を選別しなければならない状況であるのが常識でしたが、対して日本の社員は応募が少なく、上司が指名して仕方なくやる人が多かったです。

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そしてわたしが立ち上げた会社には、体系立てられた手法は存在しません。様々な評価基準を持った企業を経験したのち、一人の人間が持つスキル、経験、可能性を評価するために、ベストメソッドは無いと言う結論に達したからです。

人を感動させる本物のピアニストを見つけるために、試験や学歴が役に立たないように、本物の可能性を探るためには、何か新しいことをしなければならないと、会社員時代から強く感じていました。

それで立ち上げたのが、地域サロンです。とてもアナログな方法です。パソコンやスマホなど、あらゆるITのお悩みを無料で相談できるカフェ/サロンを立ち上げました。

わたしはそこに集まる市井の方々と肩を並べて対等に接してゆくことで、光り輝く可能性のある、埋もれた才能を発掘する事にしました。

そこでの出会いはときに小さな相談事からであったり、たまたま口コミだったり、様々です。

わたしは自分の目的だけのためにそのサロンを運営するつもりはありませんでした。人間的に輝くものがある純粋な魂を持っているかどうかを見ています。そのような人は心で繋がる友人としても受け入れられますし、大事な仕事を任せることもできる。足りないスキルは失敗しながら学べば良いし、スキルなどいくらでも学べる環境を用意しています。

当社が最も重要視しているのは、人間性です。

決して効率の良いやり方ではないと思います。しかし間違いがない方法であるとわたしは信じています。

短期間で相手を評価するのではなく、相手の人生観や志を知り、生きる上でどのような課題と向き合っているのかを知り、他者と関わることでそれをどうクリアしようとしているのかを知る。その過程はとても楽しく、わたしも全身全霊で相手と向き合います。

入社後もそれは続きます。

わたしがこのような活動の場として qube cafe を利用していることについて、利己的だと感じる人が居る可能性もある。しかしわたしは、ピアニストのようなものだ。ピアニストがピアノを弾くことで人々に感動を与えたいと願うことや、それを人生をかけてやることだと信じて疑わないことと同じように、わたしがいまやっていることも人生をかけてやることだと確信している。

それを無理に理解してもらおうとは思わないが、おそらく理解してもらうためには、わたしが「企業」や「お金」というものを、ただの道具と思っているということを知ってもらう必要があるのだろう。

わたしがなぜ会社を立ち上げたのか。それはより大きな目的のためにそれがベストであると判断したから。会社設立も運営も、手段に過ぎない。

わたしが日々たいせつにしていることは、会社の未来ではなくて、地球の未来だ。志半ばで死んでしまうのならばまあ仕方ないよねと笑っておしまい。うまくいけばみんなハッピーになる。

「自分のために誰か/何かを犠牲にしない」

「誰かのために誰か/何かを犠牲にしない」

「会社のために誰か/何かを犠牲にしない」

・・・

そういうことを突き詰めると、取れる行動の範囲が狭まってくる。これは狭苦しくなってきているのではなくて、自分が向かうべき道筋のピントが合ってきている証拠だ。

そのピントをさらに絞っていくと、マイルストーンが閃くように目前に現れる。

あとは簡単。そこに向かうだけ。

それを淡々と、延々と繰り返してきて、これからも繰り返していく。

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