数々の作品が映画化され、いまだ衰えることのない人気のSFの巨匠、フィリップ・K・ディック。
ディックの作品を読んだことがある人は少ないだろうけど、ディック原作の映画をみたことがある人は多いと思う。
ブレードランナー(原題「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」)
トータル・リコール(原題「追憶売ります」)
バルジョーでいこう!(原題「戦争が終わり、世界の終わりが始まった」)
スクリーマーズ(原題「変種第二号」)
クローン(原題「にせもの」)
マイノリティ・レポート(原題「少数報告」)
ペイチェック 消された記憶(原題「報酬」)
ネクスト(原題「ゴールデン・マン」)
僕がディックの作品に出会ったのは、19歳の夏。
忘れもしない、水道橋の旭屋書店で初めて読んだフィリップ・K・ディックの作品。それが、「暗闇のスキャナー」だ。
・・・ということを、約2年前に、ここで書いた。
↓旧訳
↓新訳(タイトルが変わってます)
繰り返しになるが、ここから僕はディックの世界に没頭していくことになるんだけど、この「暗闇のスキャナー」という作品が、世の中に知られているディックの作品像とはだいぶ毛色の異なるものだということに気づいたのは、しばらく後になってからだった。
映画化されたタイトルの数々をみると想像できるかもしれないが、ディックといえばハードなSF。ちょっとディックを知っている人はそう考えるけど、彼の作品は晩年、より人間の内面へと没入していき、宗教的、精神的世界を展開する。
この「暗闇のスキャナー」は、初期のバリバリSFなディックと、晩年のディックの中間に位置づけられるものだと思う。
SF的な小道具(この小道具のアイディアもディックのいいところのひとつだ)こそいくつか出てくるものの、実際に現代でも起こりそうなストーリーだ。
「暗闇のスキャナー」は、こうしたわけで自分にとって特別な作品のひとつだったんだけど、先日TSUTAYAにこれの映画化作品、「スキャナー・ダークリー」が置いてあったので借りてきた。
あまり話題にならなかった作品だがキャストは豪華で、主演がキアヌ・リーブス。彼女役がウィノナ・ライダー。いま話題になってる映画「アイアンマン」に出てるロバート・ダウニー・Jr.も出演している。
この作品の最大の特徴は、実写ではないということ。
じゃアニメか?というと半分Yesで半分No。
ロトスコープという手法がとられている。
実写で撮影した映像をトレースしてアニメを製作するのだ。
だからアニメのくせに、実写のようなリアリティがある独特の映像になる。
これが、観終わった感想としては、なかなかよかった。
で、肝心の映画の内容はというと……。
原作読んでなければ、いい睡眠薬になるはず。
つまり、原作を読んでいない人にはお勧めできない。
たぶん、1回観ただけじゃ内容を理解できないと思います。
自分は本がボロボロになるまで原作を読んで、原文(英語版)まで読んで内容は隅々まで知ってるので、まったく内容を知らない人が観たらどうなるかはよく分からないんだけど、たぶん理解しにくいんじゃないかな。
でも原作はとてもいいし、原作読んで気に入った人には、100パーセント、おすすめの映画です。
興味のある方は、以下のリンクのレビューが参考になるかも!
内容とは関係ないんだけど、このロトスコープを実現するためにはすごい努力があったようだ。
映像特典でみたんだけど、50人のアニメーターチームで1コマずつアニメをトレースしていったらしい。1分間の映像に500時間くらいかかるんだって。
とてつもない作業時間。
でも、それだけの努力をした結果、いい味のある映像になっていると思う。
普通のアニメではできない表現だと思う。
コメント
「暗闇のスキャナー」というタイトルを見て、スキャナーの調子が悪いんかな?
って思った私は間違いなくSF音痴です。
ごめんなさい。。。(´・ω・`)
この映画は知らないなぁ。
このキャストであまり話題にならなかったか。
ジョディフォスター主演の「コンタクト」と同じ感じかな。
あれも小説を読んだ人だと面白いらしい。
Ambieさん>
まあ普通の人はパソコンの周辺機器のスキャナーを思い出すよねw
SF(とくに小説)は人を選ぶからねえ(´▽`)
ちゃぼさん>
内容が一般受けしない麻薬の話だし、ストーリーは映画だけだとわかりにくいし、しかも俳優がそのままフィルムに出てるわけじゃなくてアニメ化されてるってんで、あんまり注目されなかったのかもね。
コンタクトと似てるかも。あれも小説読んでから見ると全然ちがうからね。
でもコンタクトは小説の前に映画みたけど、映画だけでもそれなりに面白い作品だったな。
遅くなりましたが転職おめでとうございます^^
ロトスコープってすごいですねぇ@@
一旦撮影してからアニメにするだけでも手間がかかりそうですのに…
ありがとうございます(´▽`)
わざわざ撮影してからアニメにするのは大変そうだよねー。
実際、役者を使って撮影し終わってから、アニメ化が終わるまで2年近くかかったみたい。