究極のB級グルメは一見さんお断りだった

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縁があり、「一見さんお断り」のお店に行ってきました!

一見さんお断り。京都の高級料亭のような、高嶺の花というか自分には分不相応な響き。凄いところに行ってきたようなイメージがあるけど、想像とはまったく違い、一般庶民な自分でも居心地が良かった。しかしそこは、別の意味で凄いところだった……。

B級グルメの会

これまで長く続いてる、しかもブログネタとしては最高の活動なのに、なぜか一度も書いたことがない。

数年前(詳しい年はよく覚えていない)、公私ともに仲良くしていただいている方が主催した飲み会に参加した。そこに出席したメンバーの気が合って飲み会を重ね、いつしか「B級グルメの会」という名目で四半期に1回くらいの割合で飲みに行くようになった。こんなに長い付き合いになるなんて、当時は誰も思っていなかっただろうけど、今も続いている。

メンバーは自分を入れて6人で、仕事もバックグラウンドもバラバラで、みんな年上でしかも経歴・経験が凄い人たちばかりなんだけど、年齢差をまったく感じさせない付き合いを続けていただいているお陰で毎回とても楽しい。家族以外で気兼ねせずにざっくばらんに話をしながらお酒をいただくことができるという貴重な機会でもある。

「閉じこもり期」があるため人付き合いを限定せざるを得ない自分が長く続いているのは、理解してくれている方がグループにいるから。以前もブログに書いたけど、たいていの人は「閉じこもり期」に付き合いが無くなってしまうんだよねえ。でも数十人に一人くらいの割合で、付き合いを続けてくれる人がいるんです。ありがとうございます。

B級グルメの会という名前が示す通り、この飲み会の表向きの主旨は、数あるB級グルメ店を巡り美味しいものと出会うようなことになってる。どうせ飲むなら美味しいところがいいよね、ということだ。

我々にとってB級グルメとは、「おいしいお酒と料理、そして予算はひとり5,000円以内」という暗黙のルールのようなものがある。

幹事は毎回持ち回り制で、幹事となった人がオススメするお店に行くんだけど、オススメできる店を知らなければ自分で調べて気になるお店にみんなでレッツゴーということになる。選ぶお店は幹事によって性格が出て、それがまた面白い。

いままでそれはそれは数多の安くて美味しい店に出会ったもんで、「家族を連れてこないと自分だけ美味しい思いをして申し訳ない」と毎回思うのだった。実際、何軒かはツレをツレてった。

こういうイベントでもないと一生行かないだろうなあという地域にも行くことができて、「知らない場所を訪れる」ことが大好きな自分にとって素敵な生活のスパイスになっている。

究極のB級グルメ

このお店に関する写真は残念ながらWebに掲載できない。お店との約束で、できない。それじゃどこまで情報を載せていいのかというと、よくわからないので具体的なことは何も書かないことにした……。23区内とだけ書いておこう。

今回そんなお店に行くことになったのは、B級グルメの会のひとりがここの常連だったから、連れていってもらえることになったというわけ。

一見さんお断りというものが具体的にどうだったかというと、常連の伝手で信用を担保する会員制のようなもので、お店の電話番号も公開されていないし、登録されていない電話番号からかけても出てもらえないらしい。場所も大通りから外れているし、看板も出ていないし、知らない人が特定するのは難しい。予約は数ヶ月待ちで、予約のキャンセルや人数変更をすると紹介してくれた方の信用がなくなってしまい、最悪お店に入れなくなってしまうそうで……

「参加表明した人は絶対に来ること、どうしても来られない場合は代わりに来る人を用意すること」

と、紹介してくれた方から事前に言われていた。
ひとり仕事でトラブって参加が危うくなりヒヤヒヤしたけど、無事に全員参加できることになり、良かった良かった。

緊張します。一体どんな店なんだろう。

何も足さない、引かない、絶妙なホスピタリティ

最近ちょっと流行りだと聞いているのが、料理好きの方が自宅などの一戸建てやマンションを使用して営業するスタイルの個人経営レストラン。看板も出さずに口コミだけで成り立っているらしいのだけど、最近はそんな「隠れ家」が自己満足のために乱立しているフシがあって、サービス・料理の品質がイマイチなところが増えているそうだ。という話を、詳しい人から聞いたことがある。

今回訪問したのはそういう個人が自宅でやるような「隠れ家」的お店ではなく、知る人ぞ知る超スゲーお店らしい。ググってみるとやはり情報は少ないんだけどなぜかご法度のはずの写真もいくつか出てきたりして、レビューも当然あって、とにかく酒好きにとって聖地のようなところだけど、行きたくても行けない人がたくさんいるということは理解した。

無駄な愛想は一切ない。しかし、出す料理や酒への愛情と、客を大事にする気持ちはシッカリと伝わってきた。素晴らしい。店内の雰囲気はいたって普通の居酒屋さんだけど、食べ物のメニューは一切なく、壁は日本酒の銘柄が書かれた紙と酒蔵の旗?で埋め尽くされている。出てくるお酒は圧巻で、料理は飾り気のない「かーちゃんの手作り風」で、メニューとしては奇抜なものはなく、そこら中の居酒屋で見るようなものばかりだが、とにかく旨い。超絶旨い。なぜここまで旨いのか首をひねる。そして料理に合わせたお酒が何種類も。これまた旨い。

酒に強くない自分が4合~5合くらい飲んでしまった。しかし酔いは心地よく、翌日は一切残らずサッパリ。事前にそう教えられていたのだが、本当にそうだった。この理由が「仕込み水」だそうだ。

仕込み水っていうのはその名の通り、酒の仕込みに使う水だ。これが一升瓶で売ってるなんてまず知らなかった。酒と同じ酒蔵が造る仕込み水が一番良いらしい。

見たこともないような酒を何種類もお猪口でチビチビというかグビグビやりながら、酒と一緒に出てくる仕込み水をゴクゴクと飲む。ほどよく冷えた水で舌がリセットされるから、次から次へと出てくる酒の味の違いがよくわかる。

料理はすべておまかせだ。個別の料理のメニューは存在しない。飲み物は日本酒と水しかない。そのかわり日本酒は数百種類もある。以前「日本酒が40種類ある」というお店に行ったことがあるが、そのお店ですら日本酒の種類が半端ないということだったので、数百種類というのがどんなに凄いものなのか。

酒は自分で選ぶこともできるが、おまかせできるところがまたいい。肉じゃがが出てきたとき「ご飯と一緒に食べたら旨いだろうなあ」と思ったら絶妙なタイミングで心を見透かされたかのように「ご飯のようにお米の味がしっかりとしたお酒を持ってきますね」と言われて出てきたお酒がまた旨い。

すべてがこんな調子で進んでいく。薀蓄も知識もいらないんだな。ただただ美味しい思いをすればいいんだなあ。

B級と言える所以

このお店の驚くべきところは、どれだけ飲んでも5千円ぽっきり。

税込み5,000円。

食べ過ぎなくらい満足に食べて、普通の居酒屋だったら会計時にちょっと心配してしまうくらい呑んだのに5千円。

実際には、酒や料理の量よりも、その質に対するコスパの良さに驚いた。日本酒ってこんなに美味しくて身近な存在なのかと、深い沼の入り口を魅せつけられた気分だ。

これこそ究極のB級料理ではないか?

もっとジャンクなB級料理も大好きだけど、こうした答えもアリだなあ。

是非家族を連れていきたいところだが、1度や2度連れてきてもらったくらいでは予約できるようにならない。何度か通って顔を覚えてもらわないとダメなんだって。

いつしか常連になりたいと心から思うお店でした。

コメント

  1. Chabo より:

    値段が安いってだけでまったくB級に思えないんだけど。w

    • うずら より:

      だよね。書きながらそう思ったんだけど書き直すのめんどくさくて。
      ただの居酒屋だよなー