うつ病は精神科に原因を求めてはいけない

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先日のエントリーで、三田文学に掲載されて話題になった「アパシー」という作品について述べましたが、どこかのブログで目にしたそれに対する記事。「ここ1~2年、自殺者が増えている」と問題視した上で、いじめを苦にした自殺や、過労のサラリーマンの自殺などについて述べていました。

この方は、うつ病というものを誤解しています。うつ病で自殺するということと、いじめや仕事を苦にして死ぬということは、まったく違うのです。余計なトラックバックは避けておきますが、この記事の執筆者は多分、「アパシー」を読んでいません。うつ病で自殺するということが、健常者から見てどれだけ理不尽で救いようのないように見えることか。そして患った本人は、本当に救いようもなく、苦しんでいるのです。
うつ病で、自殺によって命を奪われていく人が後を絶たないのは事実です。この場合、自殺とはいえ、逆らいようの無い状態であるので、「命を奪われる」が正しいと思います。
この病気にかかると、精神状態というものが人間の行動のすべてを制しており、それが機能不全に陥ることで圧倒的な負の力に飲まれてしまう、弱い人間というものを実感するのです。うつ病のために、前にも後ろにも進むことができず、どうにもならない状況になっている人がたくさんいるのではないでしょうか。
うつ病も軽いときは、行動することができます。しかし重くなるとなにもできない。自殺すらできない。こんな状態の患者が、「自殺しないように助けてくれ」と誰かに懇願することができるでしょうか。傷病手当の申請や精神疾患の障害者届を役所に提出する(その準備をする)ことができるでしょうか。できないと思います。これは不幸なメビウスの輪です。第三者??行政でもかまいません??がそういった部分をサポートできなければ、実際にその補助を必要としている人が、受けられないという事態になるのです。僕の場合は幸いなことに会社がこういった病気を理解してくれていることと、結婚して家内がいるということで、自分ひとりですべてをやる必要がなかったため、なんとか前に進もうとしているのですが、それでもかなりきついと思うのですから。
うつ病を根本的に解決するには原因の特定と解決が必要であると僕は思っており、うつ病を再発するたびにその思いは確信に変わりつつあります。そして、原因特定を目的として精神科へ通い続けても、結局辿り着くところは不幸なところでしかないということについて書きたいと思います。
うつ病はよく、心の風邪と言われます。しかしそこには、普通の風邪との決定的な違いがあるということに気をつけなければいけないと思います。それは、風邪は原因が明白(菌に感染)であるということです。だから、風邪は単純に症状を改善することが最終目標になり得るのです。
うつ病はどうでしょう。医学の進歩は、抗うつ剤の進化にも貢献しています。三環系、四環系、SSRI、SNRIなど、様々な薬があります。そして、睡眠誘導剤などの補助薬もあります。しかし薬で症状を治して、それで治療終わり、でいいのでしょうか。僕はそれに対して常々疑問を持っているのです。
この病気は、再発しやすいと言われています。実際僕自身も、何度も再発していて、医者に通うようになる前に、あれもそうだったのかもしれないという数を含めると、もう回数で数えるよりは、グラフにしてみたら多分バイオリズムの線のように治ったり悪くなったりを繰り返していると思います。
僕の経験上、精神科ではその原因まで追究してくれません。カウンセリング等でそうしてくれると信じていましたが、精神科は、うつ病であるという診断をすることと、それに対処するために必要な薬を、個人差のある必要量だけ処方し、西洋医学的に治療するところなのです。
うつ病の発生原因を解決しないと、再発ということになりかねないのですが、多くの場合、ストレスの原因を探る必要があるのではないでしょうか。ストレスに負けない身体を作るというのは、突然できることではないですから。原因の究明のために、何をしたらいいでしょうか。明白な原因が思いつく方は、それを改善すべく努力することができますが、原因に思い当たることができない場合は多分、一人では何も解決できないと思うのです。
そうしたときは一体どうしたらいいでしょう。心理療法がいいのかもしれません。
実際僕は心理療法を受けたことがありませんが、いま興味を持って調べています。心理療法では、原因の追究をするそうです。原因が特定できれば、対処のしかたも少しは想像ができるというものですよね。
うつ病は本当に厄介です。どんな病気でもそうでしょうが、本当になった本人にしかわからない辛さがあると思います。そして、いまだに誤解されている病気でもあります。
僕のまわりにも、うつ病の経験者が増えています。あるいは、世の中の誤解が解けてきて、カミングアウトする人が増えているだけなのかもしれませんが。
最後にもうひとつ。
最終的には、自分が強く(鈍感に)なるしかないと思います。それが僕の現時点での結論です。

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