年越し派遣村に関する話題、盛り上がってます。
まあ正直、自分はこの人たちに何も与えてやることはできない。
偽善でもそうでなくても、いまボランティアで何かしたって、お金を一時的に援助したって、何か違う。
インドでストリートチルドレンに小銭を渡してから複雑な気分になったことを思い出してしまう。
「このお金は、なにも解決しない」
以下、格差是正に関する意見。
年越し派遣村の数百メートル先に銀座の歩行者天国があります。
そこも通りがかったのですが、裕福な人達がブランド品を買い求める姿を見て、まるで違う世界が数百メートルの間を挟んで存在しているのです。
派遣労働者が数万人規模で仕事を失う一方で、正規雇用の給与と雇用は維持される。
この現実が年越し派遣村と銀座の歩行者天国に現れているのだと実感しました。
国や行政の政策を根本的に見直す必要があるのではないかと感じます。
日本人は世界的にみてもかなり「格差」に弱い人種だと思う。とくに現代の日本人の一般的感覚では、差別とか格差に慣れていないんだよね。
いまの社会では、格差は、なくなりません。いくら声を大にして叫んでも、こればっかりは、なくならない。
政策によって、格差がなくなった(減った)ような気になることはできる。
でも、お金に縛られている限り、なくならない。自分も含めてね☆
■正社員=安定ですか?
問題は、正規雇用の「給与と雇用が維持される」ことではなくて、正規雇用の「雇用が保障されること」なんだと思うよ。
不景気で派遣がバンバン切られているいま、能力もないくせに正社員というだけで職を失う心配もなくぬくぬくとしている連中に対して腹が立つその気持ち、分かりますよ。
でもね、そんなのは一部の正社員なんだよ。もっと視野を広く持ってほしい。
たとえば公務員。ひとたび市役所に就職したら、たとえ本人の能力がものすごく低くても、病気のせいで全然働くことができなくなって、本来の仕事量の一割しか働けなくなってしまっても、雇用は維持されるんでしょ。こういうことが、公務員だけじゃなくて民間企業でも存在するんでしょ。
それはとっとと是正してほしいよ。そういう人たちにお金が流れていることが無駄だと思うもの。
でもそのような是正を望むのだとしたら、決して同じような甘い汁を吸う立場になろうとは思わないでくれ。
これがまずひとつ。
■必死に頑張った結果として、今の仕事を得ている人もいる
自分は大学を中退してから、さんざん遠回りした結果、今の仕事を正社員としてやっている。
その遠回りは、常に将来どうするか悩みに悩んで、行動して、その結果歩んできた道だ。
だから後悔もしていないし、不満もない。
その遠回りの最中には、やりたくない仕事なんて死ぬほどやってきた。バイトも契約社員も個人事業主も経験した。無職の時期もあった。
本気で死にそうになったことだって数回ある。それでも、飢え死にはしたくなかったし、乞食にもなりたくなかった。行政のパラサイトになることも考えられなかった。だからいつだって、後がない気持ちでやってきた。背中には断崖絶壁で、前に進むしかなかった。
こんな仕事やりたくないとか言ってる間にその日の太陽は沈み、寒い夜がやってきて、寝る場所に困る。
だから、生きるためにはどんな仕事だっていいって気持ちで働いた。
まずは毎日を生きるためのお金をどうにかして稼いで、将来のことはその次に考えようって思った。
底辺で仕事をしていると気づくのは、職場の多くの人が、その日のお金が得られれば満足してしまうこと。
多くの人が、日払いでもらった給料を酒やギャンブルにつぎ込んでしまう。
家で奥さんや子供が待ってる人たちだっていたのに、仕事が終わってもまっすぐ家に帰らないで、パチンコやるんだ。
そして、新しいことをやることに対する根拠のない不安を持っていたり、自分には能力がないと決めつけていたりして、現状を打破することを諦めてしまっていた。
ここに染まってしまったら、もう這い上がれないって毎日思ってた。
抜け出すためにできることをいつも考えていた。
スキルを磨いた。求職情報は常にアップデートしていた。
チャンスはいつでも狙っていた。自分ができることとできないことを見分けるために、神経を研ぎ澄ました。
そして、できないことはどうしたらできるようになるか、考えた。
当時はネカフェもなければ、24時間営業のマクドナルドもなかった。
ニートなんて言葉もなかったし、あったのは、ホームレスか、それ以外か、それだけだ。
仕事をなくせば、真っ逆さまだ。
助けてくれる友達もいなかったし、家族もいなかった。それは、自分がやりたいようにやることに対する代償だった。
誰にも頼るわけにはいかなかった。
探せばいろんな民間のサポートが得られたのかもしれないけど、そんなもの知らなかった。
それでも、誰にも迷惑をかけずに生きることなんて出来なかったけど。
そういったことを自分なりにクリアして、少しずつ山を登るための道を切り開いて、一歩ずつ前に進んで、いまの生活があるのでございます。
ようやく、茨の道から見通しの良い場所に這い出てきたんです。
だから、いまの職を得ていることは真っ当だと思うし、不況にもかかわらず毎月ちゃんと給料がもらえるのも真っ当だと思う。
このようにしてきた自分も、「正社員 vs 派遣」という構図の中で「給与と雇用が維持される正社員」という一括りで扱われてしまうのは、納得できない。
それを是正するって、なにを是正されるんだよ。
怖いよ。
正社員からもっと税金を取れとか?
正社員の給料を下げろとか?
まじで余計なお世話だ。
給料=自分の仕事の価格だろう。
自分の仕事のことをまったく知らぬ人たちに給料の文句をつけられる筋合いなんてないし。
■問題は、雇用の保障にある
インタビューに答える派遣社員は住む家もないと生活苦を訴える。
次に民主党の小沢一郎がテレビに出ていて、企業が簡単に首を切れなくするように雇用対策法案の必要性を訴えていた。
そして、僕は思ったのだ。
あー、この国は馬鹿ばっかだなーと。
今、必要なのは、企業が簡単に首を切れなくするように規制することではなく、企業が派遣社員だけじゃなくて正社員もどんどん首を切れるようにじゃんじゃん規制緩和することなのに。
企業が簡単に派遣社員の首をどんどん切るのは、正社員を日本の法律では首にするのが難かしいからと言うだけなのに。
だから、派遣社員の方が能力が高くても、正社員は首にして後でモメると嫌だと言う理由だけで、派遣社員はどんどん首になる。
正社員は首にするのが難しいから、企業は正社員を採用するのに非常に慎重になる。
今回みたいに一気に景気が悪くなったときに簡単に首を切れないからね。
だから、法律で首を切りにくくすると、雇用の流動性が失われて、失業率はむしろ上昇して、さらに悪いことにたまたま正社員になっているひととそうでない人の「格差」が温存され、この能力とは関係ない「悪い格差」がどんどん開いていってしまうのだよ。
チャンスも敗者復活もない暗い社会だ。
だから、ダメな正社員は何も生み出さなくても給料がもらえるからつまらない仕事でも会社に必死でしがみつく。
会社にしがみつくのが彼ら無能正社員のいちばん大切な事業なんだからね。
ついでに言っとくと、社員を首にできる権限を持っている経営者も、会社として利益が出せなければ株主が簡単に取りかえれるようにしておかないとね。
今こそ、正社員も簡単に首を切れるようにしよう!
「基本給のXXヶ月分を払えばいかなる会社都合でも会社から無条件で解雇できる」と言う法律を作れば一発解決なのさ。
自分はこの意見に大賛成なのですよ。
使えない奴は切る。
使える奴は切られない。
これだけでいいんじゃないのかな。
使えない奴がいつまでも給料泥棒してると、会社が腐っていく。
でもまあ、ある程度は仕方のないことなんだと思ってる。
2割8割の法則とかあるしね。
世の中の社会人全員が、自分の給与に見合った仕事ができるなんて、理想でしかないですからね。
現実的に無理。
とはいえ、ゴミのような人間がアホみたいに高い給料と終身雇用を約束されちゃってるような職場もたくさんあるから、そういうところから是正したいよね。
具体的にどうしたらいいのかっていうと、よくわかりませんが。
自分ができることといえば、自分が生きていくために必死に働くことくらいです。
使えない奴は切られる。
給料は能力に応じて決める。
まあこれは、何度も言われてきたことなんだけど、なかなか日本には定着しないね。
成果主義とか、老害による妨害を受けて頓挫したような気がする。
ちなみにうちの会社は外資系だけど、成果がない人間は気持ちよく切られていきます。
成果のものさしは、明確です。数字だから。
ある意味、いま問題になっている正社員の問題とはちょっと違う立場ですよね。
正直、仕事ができる人間は、何かの間違いで職を失っても、また見つけられるんだよね。
一方で能力を磨くことを怠ってきた人たちは、職を失ったら次を見つける自信がないから、防衛に入る。
ただしひとつ言えるのは、日本のドメスティックな企業ほど、転職に対して厳しい目でみてるよね。
せっかく能力のある人間がいても中途採用で活用するチャンスを逃してる。
だから能力のある人間は、日本を捨ててしまうんだよ。
これ、未来の話をしてるわけじゃないよ。
実際もう日本を捨ててしまった人たちは、たくさんいる。
まあ自分も日本企業に勤めていないから、日本にいながらにして半分日本を捨ててるようなもんだ。
税金だとか法律だとか政治だとかは、日本のルールに従わなきゃならないけど。
それでも日本に住むことにメリットを感じているから日本にいる。
あとは、「日本に住むメリット>デメリット」の式が成り立たなくなったら日本を捨てる。
価値のある人間には、その価値に相応しい対価を支払う。これが当然。
それは正社員だろうがアルバイトだろうが関係ない。
くそ忙しいバイトして時給750円とか、不毛に思うでしょ?
必死に働いて結果を出しても、派遣業者に半分もピンハネされてワープア状態じゃ悲しいよね。
だから、すべての正社員に対して是正!とかいう論調の記事を読むと、とても暗い気分になるよ。
派遣村にだって、一所懸命がんばってきたのにうまくいかなくて居る人とか、努力を一切しないで居る人とか、いろいろな人が集まってるはず。
それを十把一絡げで語っちゃいけないと思うんです。
能力のある人がどんどんスポイルされたり去ったりして、そこを外国人労働者で埋めていく。
そんな社会が実現してしまいそうな気がしてならない。
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