日本にシリコンバレーができないわけ

リサーチパークの課題

全国各所にあるリサーチパーク発展を阻む課題がいくつかある。

まず、リサーチパークの定義についてですが、デジタル大辞泉によれば

研究開発型企業や国の研究機関など、官民の研究施設を中心に立地した研究学園都市。研究施設を集積することで、研究開発の高度化・効率化をめざす。ハイテクパーク。ソフトパーク。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AF-657585

リサーチパークの詳細および課題について、国会図書館にある次の資料が参考になる。

全国のリサーチパークの現状と課題

文書では、現状のリサーチパークの問題として次の2点を挙げている。

  1. 創業期と成熟期の間の支援の不足
    平成14年度の国土交通省都市・地域整備局が行った全国のリサーチパークに対するアンケートでは、現状の問題点に関して聞いている。問題点として最も多かったのは、「分譲地が埋まらない」であり、企業誘致の難しさが浮き彫りとなっている。
    ただ一方で、インキュベータは、入居率100%を維持しているところが数多く存在している。問題はインキュベータを出た企業に対する受け皿が著しく不足していることにある。
  2. 各主体の統一性の欠如
    平成14年度の国土交通省都市・地域整備局の調査研究では、全国のリサーチパークの評価のためのマニュアルの作成を行っているが、そこで問題にしているのは、リサーチパークの管理・運営においては、設立に携わった公団、3セク、財団、自治体等がそれぞれバラバラに活動するケースが多く、パーク全体での状況の把握が行われていないことである。
    各主体の統一性が欠如している場合、リサーチパークの事業を改善したくても、なかなか進まないという状況が生じている。

各地のリサーチパークやバレー構想には、表向きの理由とあまり表に出したくない理由がある。内容はお察しくださいといいたいところだが、ヒントを得るためには地方行政と民間のコラボレーションという点に着目したい。

カリフォルニア州のシリコンバレーに関しては完全に民間主導というか、スタンフォード大学を中心に、ITトップ企業がこぞって研究施設を立ち上げた流れによって頭脳の集積が発生し、発展の原動力となった。ごく自然な成り行きで発生したものである。

インドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロールが発展した理由はいくつかある。まず地政学的な要因として、周辺国との国境から離れており、国防関連施設の立地として適していたということがある。バンガロールでは1970年代から、国立航空宇宙研究所や軍事産業のとくに研究開発に関わる民間企業が集まってきた。

ステークホルダー

行政は、地域の雇用が増えて、税収が上がり、経済的・文化的に地域の未来に期待をかけて、バレー構想やスタートアップ誘致をしている。

日本国内でいったいどこを探せば、ベンチャーマインドあふれる人たちに出会えるのだろうか。行政やその融資制度は確かに独立のための障壁を下げるのだろうが、一方でそのような制度に頼らずすべて自分で考えて実行していきたいという気概のある人たちを寄せ付けない障壁は上げてしまっていると思う。

そもそもITベンチャーはほとんどお金がかからない。

器を用意しないと動けない?

起業するとき、どこで始めるのか。僕のようにパソコン1台あればどこでも仕事ができる仕事にとって場所って大事なのだろうか。

ひとつ言えることは、今後のAIはロボット産業とのコラボレーションが重要になる。同じ地域にロボティクスを専門とするベンチャーがいたらそれは利であろうか。

同じ志の仲間はどうだろうか。たとえばDLをやっているエンジニアが近くにたくさんいることって何か特別なメリットをもたらすのだろうか。

僕はそこにあまり魅力を感じない。

それよりも問題は、IT誘致やスタートアップ誘致をやっている各地域がすべて行政主導あるいは特定企業主導によってなされていることだ。

リサーチパークに拠点を構える利点はいくつかある。製造業など他のものづくり組織との距離が縮まる可能性があることと、情報交換が容易になる可能性があること。行政の理解があることで行政を絡めたプロジェクトの提案がやりやすい可能性があること。

もし上記のようなことが表面的で実際に機能していなかった場合、それを機能させるために労力を割くことになる。これでは別の場所に拠点を置くのとそう変わらない。なので実際に現地を見て回ることは必要だ。

イノベーティブなことをするのに行政主導でいったい何ができるのか。行政に対して主導権をもてるくらいの流れがつくれなければだめだ。また、特定企業だけが発言の力を持つようなコミュニティの場合は、共益性が損なわれる余地がある。

かずさリサーチパークのケース

構想だけ大きく、内容は古い。実際3セクは倒産しており、土地も余っている。ターゲットにしている経済規模が大きすぎてスタートアップには手が出ないし、実際に地域雇用を創出したり地方税収を増強するためのプランだけはしっかりしていながら人の流れを変えようとする部分はほぼ皆無。ただの作業員でいいならたくさんいますよ的な?

浜松バレーのケース

浜松市のベンチャー誘致に関しては、融資面の優遇、土地の融通等がある。実際に現地視察のためにいま調査をしているが、ある流れが見えてきた。

そこで実際やってる連中がうまくつながっていない。

いくら検索をかけてみても、組織の紹介ばっかりで実際の活動が見えてこない。

実際に新しい! と思えるようなことにチャレンジしている会社は思ったよりも少ない。

浜松市で今、もっとも勢いのあると言われる福祉の企業、「ヒーリングハート」と「咲夢来」。その代表である金島隆裕氏と齊藤良尚氏に、なぜ福祉事業に参入したのか、その理由や福祉の現場の今、そして今後の展望について、存分に語り合っていただいた。(20

これは南会津で僕が入院するまでチャレンジしようとしていたケースに似ている。A型/B型の就労支援は行政が資金面でバックアップをしている。だが資金面で利があるがゆえに、就労支援として成り立たなくても営利のために存在する施設が跡を絶たない。実際、精神障害・知的障害・身体障害を持った入所者の方々をどのように就労支援するのか、効果的なアイディアが実行されているケースがほとんど存在しないことに問題がある。就労可能とするためには、社会に価値を提供できるスキルを身に着けさせなければならないのだが、障害者というレッテルによって様々な歪みが生じている。

GAFAの創業者たちがスタートアップだった頃、リサーチパークの利点など気にもとめていなかったに違いない。新しいものは場所を問わず現れる。大切なのは実際にやることにどれだけの価値があるか。そしてそれを信じられるかどうかだ。

施策に乗るか、ゼロからやるか

リサーチパークへの誘致をしておきながら「各主体の統一性の欠如」が起きる大きな要因のひとつが、やはりカネだ。助成金さえ出たらどこでやっても同じというマインドセットであるからこそ、せっかくリサーチパークに立地した利を活かそうという活動が発起しないのだ。

ここ品川で孤独と闘いながらやるか、浜松のような場所にいくか。

自分の中では答えはもう出ているような気がする。何か既存のものに乗っかるということは、乗っかったものの存続に依存してしまうことに繋がるので、それが僕の好きなやり方ではないのだ。

いまのところこのような意見だが、実際に見てきたらまた記事を書いてみよう。