想像の旅: アイスランドへ

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インドと対照的な極寒の国、アイスランド。
氷と火の国、アイスランド。いちばん行ってみたい国。

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▲ストロックル間欠泉

アイスランドの正式名称はアイスランド語で、Lýðveldið Ísland。

通称、Ísland(イースランド)。
日本語の表記は、アイスランド共和国。通称、アイスランド。
アイスランドは大西洋中央海嶺の直上に位置している。このため海洋プレートの生成が地上で見られる珍しい島で、この大地の裂け目を「ギャオ」と呼ぶ。ヘクラ山を含む多くの火山が活動し、多くの間欠泉が見られる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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▲シンクヴァトラヴァトン湖と大地の亀裂ギャオ

アイスランドは、氷と火山の国。
人口わずか30万人の、小さな国

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▲ヘクラ山(Hekla)の噴火とオーロラ

アイスランドの成層火山。アイスランド南部に位置し、国内で最も活動的な火山である。
『ヘクラ(Hekla)』はアイスランド語で『頭巾』を意味する。

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▲ラキ火山(Lakigigar)

アイスランド本島は北緯63~66度に位置し、国土の一部は北極圏にかかっている。しかし冬の寒さはそれほど厳しくはなく、同緯度にあたるフィンランドやスウェーデンの北部の2月の最低気温が平均-20℃近くであるのに対し、アイスランドのそれは-3℃でしかない。これは、アイスランドが世界最高緯度の火山島であること(温泉も多い)、アイスランドを囲むようにして暖流が流れていることなどに由来する。そのため、オーロラを観測することのできる地域の中では最も暖かい地域となっている。温泉を活用した暖房設備なども整備されたり、お茶を沸かすにも温泉が使用されるなど、石油資源を使うことが少なくなっているため、首都レイキャヴィークは世界的にも「空気のきれいな都市」とされている。

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▲首都、レイキャヴィーク(Reykjavík)

人口は市内のみで約11万人、周囲の市を含めた首都圏全体で約18万人である。アイスランドの全人口の約6割がこの一帯に集中している。

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▲レイキャヴィークのメインストリート周辺

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▲チョルトニン湖

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▲ ハットルグリムス教会

都市のほとんどが島の沿岸に点在しており、島の中央部は舗装路も無い無人地帯である。
主な都市は首都であるレイキャヴィーク、ケフラヴィーク国際空港のあるケフラヴィーク、国内第2の都市のアークレイリなどである。都市人口率は2000年時点で92.4%に達し、モナコやシンガポールなどの都市国家を除けば世界で最も高い。

鉄道は無く、国内の交通手段は専ら自動車と飛行機である。物価が高い傾向にあるアイスランドだが、航空運賃は安く設定されている。また道路網は比較的整備されており、国道1号線(リングロード)が、一部未舗装だが約1,400kmで国内を一周している。氷河に閉ざされている内陸部にも、国道26号および35号が貫通しており、4WDのビッグクルーザーの運転を楽しむメッカとなっている。ただし冬季は通行禁止となる。道路は右側通行。

全体のGDPは少ないが、国民一人当たりでは世界でもトップレベル(2006年時点で世界5位)に位置する。さらに国際競争力も高く、世界4位、ヨーロッパ1位となっており、小国ながら特筆すべき経済力を持っている。

国内の電力は、ほぼ全てが水力発電と地熱発電によって発電されている。家中の電力やシャワーを温めるエネルギーを全て地熱発電でまかなったり、地熱発電所の温排水をパイプラインで引き込んでそのままお湯として利用出来る家や施設もある。

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▲レイキャヴィーク郊外にある地熱発電所

インドといえば神秘的な2大叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」が有名だが、アイスランドの叙事詩といえば「サガ(Saga)」である。

Sagaとは、「物語」を意味する言葉。英語の say と語源が同じだという。
北欧の国々には古代から伝わるサガがある。

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アイスランド・サガとは、ひとつの物語のタイトルではない。12〜13世紀に発達した、アイスランド人のサガ文学の、一般名称(総称)である。当時の、文学のいちジャンルだったと思ってほしい。

12〜13世紀というのはは、アイスランドにキリスト教が広まり、定着した時代。布教と同時に、アルファベットが伝えられ、ものごとを紙に書いて記録するという習慣も生まれた。それまで口伝として語り継がれてきた物語を文章化して記録に残したのが「アイスランド・サガ」と、いうジャンルだ。
口伝から文字記録へと移行するのだから、もちろん、それまで伝えられてきた「喋る」物語とは異なっているだろうし、何度も書き直されているうちに、付け加えられた部分や削られた部分もあるだろう。
また、大元の口伝も、実際にあつた出来事を元にしているとはいえ、歴史そのものではないし、多少の脚色も入っているはずだ。

成立については多少の議論はあるものの、一般的に「アイスランド・サガ」と呼ばれる物語の多くは、「多少の脚色の入った、物語形式の歴史的な記録」と、考えられている。

~「アイスランド・サガ」より

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サガの種類は、一般に、大きく4つの種類に分けられ、「宗教・学問的サガ」「王のサガ」「アイスランド・サガ」「伝説的サガ」と、分類される。この分類は現代人が勝手につけたものだが、その中身や性格はかなり違っているので、区別しておいたほうがいいかもしれない。
ここで取り扱うのは「アイスランド・サガ」なのだが、それ以外の3種類についても簡単に説明しておく。

「宗教・学問的サガ」(司教のサガ)
その名前から予想されるとおり、アイスランドへ布教しにやって来た宣教師や、アイスランドの学者たちが記した、かなり正確な”歴史記録”である。口伝だったものではなく、最初から記録として残すことを目的として学術的に書かれたものだと思っていいだろう。
アイスランドへの移住を語った「植民の書」や「ストルルン・サガ」がここに入る。

「王のサガ」
主に9-13世紀のノルウェー王家の歴史を取り扱っている。
アイスランドに王政は無いが、アイスランド人たちの故郷はノルウェーである。ノルウェーへ戻り、王に重用された者も多くいた。そういった人々がアイスランドに伝えるために作った物語や、ノルウェーで書いた歴史物語…というのが、これにあたる。
サクソの「ゲスタ・ダノールム」などがここに入る。

「伝説的サガ」(古代のサガ)
他のサガと違って歴史的な出来事はほとんど見られない。
成立時代はアイスランド植民よりも前の時代に遡り、「ヴォルスンガ・サガ」や「アトリの歌」などがここに入り、どちらかといえば神話に近い物語となっている。歴史的な要素は、ほとんど含まれない御伽噺に近いサガだ。

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アイスランドは、文化的には北欧圏に属し、特に宗主国であったノルウェーとデンマークの影響が強い。しかしケルト系のアイルランド人が開拓を行った歴史もあり、血統や言語にはその影響も色濃く残されている。そのためスカンジナビア諸国とは似て非なる独特の文化を持つ。また独立後から冷戦の間はアメリカ軍が駐留していたため、近年はその影響も大きい。

冬場は極夜となることなどから、外出は少なくなり、家にこもり読書に耽る人々が増える。そのため、1人あたりの書籍の発行部数は世界的に見てもかなり多い。
多くの人々が文学や詩に親しむ環境にあり、人口数十万の国ながら多くの文学者や音楽家を輩出している。

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アイスランド出身の代表的な現代アーティストいえばビョークだ。不思議な魅力のある歌声に乗せた独自の世界観、どことなく東洋的な容貌。魅力的な女性ミュージシャンだ。ビョークの曲を知らなくても、すぐにビョークの曲だとわかる。
極夜の闇に覆われた北の最果てでこそ生まれるアートなんだろうか。この美的センスがあの島で育まれてきたことを考えると、アイスランドへの興味はさらに強くなる。

2003年に日本からアイスランドへの直行便が就航し、アイスランドへ観光で訪れる日本人は、それ以前の3倍に増えたという。とはいえ、まだまだマイナーな観光地。
インドと比較すると面白い。対照性を強く感じると同時に、文化を超えた人間の普遍性も感じる。

コメント

  1. よもぎもち より:

    そのビョークの歌がイライラしてどうしようもないんですけど、どうしたらいいでしょうか。@@;

  2. うずら より:

    いまは長渕剛が流れてますが?(´▽`)